9 意外に早かった
教授はあの後、観念したみたいで服を一緒に選んでくれた。
やっぱり教授は保守的な服が好きみたい。やたらと地味だったけど。
私は教授の意見を一応聞きつつ、自分の好みも取り入れつつ、という感じでいくつか服を買った。
下着を買う時はさすがに1人で買った。教授に選んでもらうのは違うよね?
まだ、早いよね……?
いつから、両想いになれるのかな…。
教授は、リリーのことが大好きだもんね。今はまだ……。
それから、急いで杖を買った。
服屋さんですったもんだを繰り広げたから、あんまり時間がない。
「だから、急げと言ったろう…!」
「わ〜んごめんなさい……」
謝りながら、急いで“オリバンダーの店”へと入る。映画そっくりの造りの店に。
私の杖はあっけなく決まった。
三本目の杖を振った時、風が起こったのだ。
「ふむ…。樫の木に…妖精の羽、ユニコーンのたてがみ…22p。これが貴方に合う杖のようじゃな」
ユニコーンってあのユニコーン?
もっと詳しく話を聞きたかったけど、夕食の時間を過ぎていたので諦めた。教授だってお腹空いてるだろうし。
代金を支払って店を出た。
「やっと終わったか。“漏れ鍋”へ向かうぞ」
「煙突で帰るの?」
「そうだが…、今度は発音を間違えるなよ?」
「うん、今度は大丈夫だと思う…けど……」
そんなことを話しつつ漏れ鍋へ。煙突にフルーパウダーを入れ、私は言った。
「ホグワーツ!」
「けほっ……粉っぽい……」
げほげほと咳をしながら服に付いてしまったホコリをはらっていたら、一瞬で身体に付いていたホコリが綺麗になった。
「どうやら終わったようじゃの。買い物はできたかね?」
ダンブルドア校長が魔法をかけてくれたみたい。
私は笑顔でうなづくと言った。
「はい、セブに付き合ってもらえたので大丈夫でした。ダンブルドア校長…お金、ありがとうございます。いつか必ずお返しします…」
頭を下げお礼を言った私に、ダンブルドア校長は笑ってきた。
「出世払いで頼もうかのぅ?なに、ワシは返してもらうなどとは思っておらんが、シズノが気になるようなら、大人になったら返してくれれば良いのじゃ。
セブルスもご苦労じゃったの」
私の後ろで杖を振って身ぎれいにしている教授は、ぼそりと言ってきた。
「いいえ、そんなことは……」
「すまんがのぅ、夕食の時間は過ぎておるのじゃ。じゃからの、今日はここでワシと一緒に夕食を食べておくれ。セブルス、シズノ、それで良いかの?」
校長先生の目がキラキラと輝いている。
私は教授と顔を見合わせた。
うん、教授と一緒にお食事なんて素敵!
「勿論!ありがとうございますダンブルドア校長先生…」
「僕は構いません。お気遣いありがとうございます、ダンブルドア校長」
それから私達校長室で、夕食を食べたのでした。
(セブ、にんじんも食べなきゃダメよ)
(………野菜は嫌いなんだ)
(ふぉっふぉっ……初々しいのぅ……)
(H23,08,02)