6 選択肢が限られる
『あたた…ッ……いったぁ……。何処だろう?ここ……』
私は身体に付いてしまったホコリを払いつつ当たりを見渡した。
……ここって、どうみてもダイアゴン横丁なんかじゃなさそうよ?
だって、気持ち悪いモノばっかり置いてあるんだもん、ここ。
蛇のカタチをした置物とか(しかもすっごいグロテスク!)、変な剥製とか。
薄暗くて、ホコリまみれだからどこかの倉庫…?
倉庫に暖炉があるのも変かもだけれど。
出口はどこかしら…。
ここにはフルーパウダーはないから、もう一度ホグワーツに戻ることは不可能だろう。
私は教授のことを思った。
発音を間違えるなって注意されたばっかで間違えるとかお約束すぎないか私…。
教授、怒ってるかもしんない…。
『浮かれすぎたのね私。ホント馬鹿……』
歩きながら出口を探した。変な銅像がある横から、明かりがさしているような気がする……でもあの変な銅像の目、オカシイ……?
なんか、生きている…み た い ?
じーっと見つめていたら、ふいに突然、その銅像の目が動いた!!
『きゃー!!!』
思わず叫んでしまう。だって怖い!なにあれ何アレーーー!!!
後ろに後ずさった私は、思い切り何かにぶつかった…って何だこれやわらかい…?
まるで人間みたいな感じ――って思ったとたん、後ろから口を塞がれた。
『むぐうっ』
「騒ぐな馬鹿!」
ってその声は教授!!
驚く間もなく教授は呪文を唱えてきた――ってその呪文は!
空間が歪む。思わず目を閉じた私が次に目を開けると、そこはお店の目の前のようで――ってあれ?
教授が盛大な溜息を付いてきた。
「まったく…。フルーパウダーを使わせただけでいきなりノクターンへ行くとは…お前、一体何を考えてる?僕が言った言葉を聞いていなかったのか?」
「ううう、ごめんなさい……」
教授はたとえ子供時代だったとしても、すごい目力があった。睨まれたら怖い。
私がちっちゃくなってたら、教授はもう一度溜息を付いた。そうして杖を振ると私の体に付いたホコリを払ってくれる。
やっぱり優しいね教授は…。
「ごめんなさい…そしてありがとうスネイプ君」
「その呼び方は好きじゃない」
スネイプ君じゃ駄目?
「じゃあ…なんて呼べばいいの?」
「スネイプでいい」
「それは嫌」
「嫌って…何故だ?」
「なんか嫌」
「なんかって…理由になってない」
「うんとね……じゃあ次の中から選んで?
一番目はね…セブ!…二番目はねぇ……スネちゃま……それから三番目はねぇ…セブセブ!」
「………セブでいい」
ダメもとで言ったのに!言ってみるもんだね嬉しいな!
私は笑うとセブに言った。
「ありがとう!じゃあセブはね……私のことシズノって呼んでね?Ms,ニイザキなんて嫌よ?」
「わ…解った」
「フフ……私達、ホントにデートするみたいね!」
だって名前で呼ぶなんていかにもそうみたいでしょ?と私がそう言うとセブは一人でどんどん進んで行ってしまう。
「無視しないでよぉ〜〜!」
「ふざけた事ばかり言っていると置いて行くぞ?時間だって大して無いんだからな」
「待ってよぉ〜」
ここで置いて行かれちゃ堪らない。私一人じゃあダイアゴンの中を短時間で見て回るなんて不可能だから。
なので私は必死で教授を追いかけたのでした…。
(H23,07,28)