あなたに逢いたくて | ナノ


 4 組み分け



沈黙が部屋を支配した。




最初に口を開いたのはダンブルドア校長だった。

「いやはや……衝撃じゃのぉ。これは…信じる他なさそうじゃ…」

「ごめんなさい…本当にごめんなさい……」

「なに、謝る必要はないぞぃ。ワシらが話せと言ったのじゃから。それに……きちんと配慮もしてくれたじゃろう?」

校長はそう言うと私にウィンクをしてくれた。


本当に怒ってないの?私だったら……耐えられないけれど。あんなデリケートなことを言ってしまったのだから…。

「スネイプ君もごめんね?もっと…違う事を話せば良かったわ……」

教授に向かってそう言うと、彼は眉間にシワを寄せていたけど(やっぱりもうこの頃からトレードマークは健在なのね!)、ぼそりと返事をしてくれた。

「……仕方ないことだ。でも…これきりにしてくれると助かる……」

「うん、そうする」

私は速攻で返事をした。
あんなプライベートな事、ぺらぺらと話すようなことじゃないもんね。

私はすっかり冷めてしまった紅茶を一口飲んだ。取りあえず信じてはもらえたみたいだけれど、私はこれから先どうしたらいいんだろう?
普通に考えたら、まず魔法省へと送られるんだろうな。


そこで尋問されたり…場合によっては拷問されたりして知っていることは全部吐かされて。
その後は監禁よね。最悪アズカバンに送られちゃったり。

待ってたらシリウスに逢えるんだわ……そんなの嫌だ!!



そんな最悪なシナリオを頭の中に思い描いていたら、校長先生が突然手を打ってきた。にこにこと笑っているみたい。どうしたのかしら?

「良い考えじゃのぉ〜♪」

「ダンブルドア校長……何が、ですか?」

教授が突っ込む。この図式は昔も今も変わらないらしい。

「シズノは突然この世界にやってきたのじゃろう?」

「そうです…けど…」

「何故なのか、理由もわからぬし、暮らす家もない」

そう言えばそうかも。私、着の身着のままだった。お金だってない。

「……そのようです…」

私飢え死にするかも。どうしよう〜!
そんなことを考えていたら、ふいに、校長先生が言った。

「解決策があるんじゃ!」

「「解決策?」」

教授と仲良くハモっちゃった。恥ずかしいけど嬉しいなぁ。自分の頬が赤くなるのがわかった。



だって恰好良いんだもん教授ってば。
私が思い描いていた通りの貴方なんだもの。

どうしよう。今更ながら隣に貴方がいるってことを再認識しちゃった。ドキドキが止まらないよぉ。

そんな乙女なことを考えていた私は、校長先生の次のセリフに文字通り口をあんぐり開けてしまうことになる。

「ホグワーツの生徒になれば良いのじゃ!!」

「「ええっ?!」」




*****



「……本当に、これを、被るんですか?」

本当に?私もハリー達みたいに、組み分けされるの…?



私の問いに、校長先生はニッコリと笑うと、目をキラキラさせて言ってきた。

「そうじゃそうじゃ!ホグワーツに入る生徒は、必ず組み分けをする決まりじゃからのぉ」

私、若くないんですけどね……いいのかな、年齢詐称に当たりませんか…?

けど、住む場所もないし、お金もない。保護者もいないんじゃあここに住むしかないのも事実。
第一ここに居れば恰好可愛い学セブ君を見放題というわけで。
組み分けを拒否することは私には不可能だった。だって誘惑が大きすぎるんだもん!

なので私は組み分け帽子を被ることにした。





(ん……?ワシの出番かね?)

(そうみたいよ?よろしく!組み分け帽子さん)

(ほぉ……可愛らしい御嬢さんじゃの!それにちと……変わった運命を背負っておるな…)

(変わった運命……?)

(魔力もかなりのものじゃのぉ……異界の娘なのか……なるほど……)

(魔力……ってそんなもの私にあったんだ……)

(うぬぅ……グリフィンドールかのぉ……)



やだ!!絶対セブと一緒がいい!!



(セブと一緒セブと一緒セブと一緒にしてえ〜〜〜!!!)

(?セブ……とはあそこにいる少年かね…?)

(そう!スリザリンスリザリンスリザリンですぅ〜〜〜!!!)

(いやしかし……君はグリフィンドールに向いていると思うのじゃが……)

(お願いスリザリンにしてッ!!私……彼の側にいたい……お願い組み分け帽子さん…)

(それほどまでに……あの少年を愛するか……)

(うん、大好き……世界で一番大好き………)

(………………仕方ないな……では……後悔せんことじゃ…)




「スリザリン!!!」






「やったぁ!!」


嬉しくて嬉しくて私は思わずその場で飛び跳ねてしまう。帽子を放り投げ、思わず教授に抱きついてしまった。

「スネイプ君一緒だよ?!私もスリザリンになった!!」

「わかった。わかったから……少し落ち着け…」

「無理〜!」


嬉しくて嬉しくて。
私は教授の両手を持つと、クルクルと廻る。

「おい……目が回る……」

「えへ……ごめんね?嬉しくてつい…」


しばらくするとやっと落ち着いてきた。でも嬉しい!!教授と一緒だよぉ……。
教授はしばらく苦笑していたみたい。そうして言ってくれる。


「ホグワーツへ…そしてスリザリンへようこそ、ニイザキ………」


私は笑うと教授に抱きついた。

「ありがとう!」


(H23.07.24)



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