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Ep.7 四方八方
梅流達が6人目の魔導士を見つける、少し前――…
夜天中学に通う鬼通璃尾子は眠りについていた
明日も明後日も、何事も無く過ぎていくとばかり思っていた
だが――
(璃尾子…)
誰かの声が聞こえ、目が覚める
いつもなら気のせいだと眠りから覚めることはないのだが、この声が自分の知り合いのものに余りにも似ていたから…
思わず璃尾子は身を起こしてしまった
「…琉紅?」
電話でもかかってたかな、等と思い携帯電話を手探りで探す
瞬間、辺りは目映い光に包まれた
何事かと光の方向を見やる
そこには逆光でよく見えないが、確かに人影が立っていた
「ひ…ッ!?」
思わず身が竦む
次第に目も慣れて来て、その人影の人物がはっきりと見えてくる
「琉、紅…?何してるの、こんな所で」
「……」
そこにいたのは先程の声の主、同じ学校に通う友人の岳時琉紅だった
琉紅は悲しそうな表情で首を振った
ピョン、と彼女の背後から黒い猫が飛び出す
『はじめまして!私は、“希咲”!さっそくだけど、私と契約して魔導士になってよ!』
「ね、猫が喋ってる…??」
『あれ?以外と冷静なのね』
「いや…これでも驚いてるんだけど」
『ふ〜ん。そうは見えないけど…まぁいいか。あなたにこの子の手助けをして欲しいんだけど』
「手助け…?」
琉紅を見ると彼女は床に手をついて頭を下げた
「ちょ、ちょっと琉紅!?」
「ごめんね…こんなこと、璃尾子にしか頼めなくて…ううん、璃尾子じゃないと駄目なんだけど…」
その声は涙混じりだった
顔を上げ、琉紅は続けた
「助けたい人がいるの…」
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前回の戦いで解ったこと
アルギュロスには四天王なる部隊があり、銀来はその中の1人
四天王っていうと、組織の中でもかなり強い4人ってことになるけど…
麻菜「あの程度の実力で上層部なのか?俄には信じがたいな」
杏「確かに彼が操るフィクシドスターは、普段のそれとは段違いに強いけど…なんか物足りない気がする」
綾子「四天王といっても最初に出て来る敵は大抵雑魚じゃないですか?きっと銀来はそれに当たるんですよ♪」
海里「綾ちゃん、笑顔でひどいことをさらっと…」
夏香「敵は今の所銀来だけかと思ったけど、どうやら違うみたいだしね…」
そう
前回の戦いの時、銀来を攻撃する際に赤い光線によって遮られたんだった
あれは銀来が逃走する手助けをしたんだと思う
という事は、別の四天王が私たちを狙っているのかも知れない
麻菜「こちらも人数が増えたしな…用心に越したことはないだろう」
梅流「問題は…そいつが新しい魔導士達を狙うかどうかって事、だね」
もう既に使い魔と契約している魔導士ならまだしも、まだ未契約の所を狙われたら危ない
ううん、契約していても、四天王が強ければ歯が立たないかも知れない…
どちらにせよ、アルギュロスより早く魔導士を見つけなくっちゃ…!
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――――――魔界の奥深い森の中に、そことは不釣り合いな城が立っている
生半可な妖気の者では決して立ち入る事が出来ないその城は、異様な雰囲気を醸し出していた
銀髪の少女が玉座の間にて、憤りの声を上げる
その先の人物は顔こそは見えないものの、どこか威圧感のある青年だった
「銀来じゃもう役には立たないだろ?もういい、オレが行ってくる!」
「待て、桜雫…次第に魔導士達の力も強まって来ている。銀来の妖力では多少難しいかも知れん」
「だったら尚更…!」
桜雫、と呼ばれた少女が青年を見やる
青年はニヤリと笑うと言った
「だからこそ、“アイツ”がいるんだろう?――銀来にとっては武器であり、弱点でもある…」
その言葉に桜雫は渋々納得する
「でも今回キリだからな!次からはオレが直々に魔導士達を葬ってやる!!」
桜雫はそう言うと荒々しく扉を閉め、部屋を後にした
青年はやれやれと溜め息を洩らす
「聞いていたか?銀来」
「…ああ」
「今の桜雫はご機嫌斜めだからな…それにしても、“アイツ”がこうも簡単に従ってくれるとは…」
銀来は少しだけ翳りのある表情を見せた
青年から視線を逸らす
「…これも、“魂の導き”か…」
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梅流「希咲って子の気配は感じないの?」
ミリィ『うーん…それが最近めっきり何も感じないのよね〜…』
杏「何かあったのかな?」
幻鬼『アルギュロスも本格的に動き出したみたいだし、警戒してるのかも知れないな』
海里「なるほど…こっちから呼びかけることは出来ないみたいだし…」
麻菜「…やはり、地道に探すしかないみたいだな」
カルア『…あ!!』
急にカルアが声を上げる
どうかしたのかとなつちゃんが尋ねると青ざめた表情でカルアが言った
見ると、ミリィも幻鬼さんもどこか不安そうな表情をしている
ミリィ『また、アルギュロスの気配だわ…!』
梅流「えぇ!?」
幻鬼『それも、強力な…!』
綾子「早く変身しましょう!」
ミリィ達の言った通り、辺りは瞬時に閉鎖空間に覆われる
皆で目配せし、チャームを掲げた
梅流「エネルゲイア・ローズクォーツ!」
麻菜「エネルゲイア・アメジスト!」
綾子「エネルゲイア・エメラルド!」
杏「エネルゲイア・サファイア!」
海里「エネルゲイア・トルマリン!」
夏香「エネルゲイア・トパーズ!」
6色の光を放つチャーム
それぞれが光に包まれ、魔導士へと変身する
銀来「さすが使い魔だな。私たちの気配にいち早く気付くとは…」
瑪瑠「銀来!!」
銀来「そう構えるな、今回は私直々にお前らを葬ってやる…」
銀来がそう言うと、彼の形態がみるみる内に変わって行く
その姿は――青白銀の毛並みを持つ、狼のようだった
普通の狼よりも大きく、尾も2本に別れている
亜梨馬「これが、銀来の本当の姿…」
幻鬼『銀来の正体は妖力を得た神狼…元々は神の遣いだったんだ』
海里「神様でも…妖怪の力を手に入れたら、ああなってしまうんだね…」
それってなんだか、悲しい…
何がどうして神様が邪悪な力を手に入れてしまったのかは解らない
でも…今、私達の目の前にいるのは紛れも無い妖怪で、倒すべき敵なんだ…
迷ってちゃ駄目…!!
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