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Ep.5 恋模様





ついに魔導士が4人揃った
残りの魔導士は、あと半分…
これまでに共通していることは、みんな何かしら私に関係のある人物だという事
前世の記憶だとか、先祖の血筋だとかで惹かれ合っているのかも知れない
私は他に交流のあった人たちを当たってみることにした



(とりあえず、小学校、中学校で仲の良かった友達を調べてみるね)

『頼んだわよ、梅流!』


授業中、ミリィと心の中で通信をする
まずは、近場から探してみよう
高校の友達で1番仲の良い子は…由子ちゃんだ
次の休み時間にそれとなく聞いてみることにした


「ねぇ、由子ちゃん、ひとつ聞いていい?」

「なに?」

「えっと、その――由子ちゃんって、こういうのに見覚え――きゃっ!?」


鞄からローズクォーツを出そうとしたらうっかり手が滑って床に落としてしまった
あわわわ、誰かに踏まれたりしたら大変…!
慌てて手を伸ばして拾おうとしたけど、それより先に別の誰かの手がそれを拾い上げた


「はい。これ、亜門さんの?」

「み、南野くん…!?」


拾ってくれたのは南野君だった
その優しい笑顔にドキッとする
でも、ここは教室で、心無しか女の子達の視線が痛い…!
私は南野君からチャームを受け取ると御礼を言った


「あ、ありがとう南野君…!」

「どういたしまして。それ、大事なものなんでしょ?」

「う、うん…!」


なるべく平静を装わなきゃ
変に勘違いされて校舎裏に呼び出しとかごめんだよぉ〜!!
その時、救いの声か否か、南野君の部活の先輩らしき人が南野君を呼びつけた
ホッとして胸を撫で下ろす
由子ちゃんを見るとなんだかニヤニヤしている…けど、きっと見間違いだよね!うん!


「…でね、由子ちゃんってこれに見覚えあったりしない?」

「ん〜?なぁにこれ?可愛いチャームね」


由子ちゃんは意味深にチャームを弄くり回す
…本当に何も知らないみたい、かな?
あ、と由子ちゃんが何かを思い出したように声を上げる


「でも、似たようなのを持っている子なら見たわよ」

「!ど、どこで誰が!?」

「えっと〜…同じ塾の子なんだけど…名前までは解らなかったなぁ。これ、なんなの?」


同じ塾…由子ちゃんの通っている塾は多摩市の方角…だったよね?
ということは、そこの近くの高校を探れば…!


「ううん、ありがとう、由子ちゃん!」


由子ちゃんは不思議そうな顔で首をかしげた
友達に隠し事をするのって苦しいなぁ…



それから家に帰って、由子ちゃんの通う塾周辺を調べる


「周辺に学校は…っと、」


私の目に留まったのは一つの学校だった
――都立藤ノ宮学院
盟王高も名門校だけど、ここもかなりの名門校だ
ここに通っている私の知り合いって…心当たりがひとつだけあった
私は携帯を取り出すと亜梨姉、杏、綾ちゃんに連絡を取るのだった








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「好き、きらい、好き、きらい、好き…」

「海里、何やってんだ?」

「え?…にゃあああっ!!?し、慎人!?な、なななんでもないよっ!?」

「なんでもないって…何だこれ?花…?」

「だ、だからなんでもないってば…!」

「まさか、花占い?今時?」

「ほ、ほっといてよ!」



花弁だけになった花を握りしめ、“海里”と呼ばれた少女が全力で逃げて行く
名門藤ノ宮学院の校舎裏で海里は盛大に溜め息をついた


「あぁ〜〜…もう、なんであんなタイミングで来ちゃうのかな〜…」


半べそになりながら花弁をもう一度見やる
花占いの結果的には運はいい方に向いている
だが、今の海里にとってはただの気休めでしかなかった


「…なつや、梅流ちゃんだったらどうするのかな…」


壁に寄りかかり、ずるずると腰を下ろす
親友とかつての友を思い浮かべ、海里は静かに瞳を閉じた
その時、携帯の着信が鳴る
見てみると非通知になっていたが、なんとなしに電話に出てみることにした





「――――梅流…ちゃん?」













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――よかった、繋がった!
私は安堵して胸を撫で下ろす
魔導士(候補)が見つかったという感情よりも昔の友達に久しぶりに会えるという感情の方が大きかった


「うん、そう。私、亜門梅流だよ!覚えてる?」

『お、覚えてるよ!うわあああん、梅流ちゃん会いたかったよぉ〜〜!!』


電話越しの海里ちゃんは本当に泣いているらしかった
何があったのか聞くのは野暮だと思うから、聞かなかったけど、どうしたんだろ?


「あのね、海里ちゃん…私、ちょっと気になることがあって…今から会えないかな?」

『ふぇ??今から…?私は別に大丈夫だけど…』


そして互いに連絡先を交換し合い、私は海里ちゃんと会う事になった
藤ノ宮学院にいる、私の知り合い
中学までは同じクラスで仲良しだったけど、高校に入ったらなかなか連絡がとれなくなっちゃった
この子が魔導士なのかはわからない…けど、今は海里ちゃんに会えることのほうが嬉しかった


電車を乗り継ぎ、約束した場所で海里ちゃんを待つ
数分もしない内に、海里ちゃんは元気な笑顔で現れた


「梅流ちゃーん!」

「海里ちゃん!久しぶり!」


久しぶりの再会に思わず抱き合う
それから軽く互いの近況状況を告白した
やっぱり海里ちゃんも学校の勉強が忙しいみたいね…
そして…私はさっそく本題に入ることにした


「海里ちゃん、これに見覚えない?」


ローズクォーツが夕方の光を浴びてキラキラと光る
海里ちゃんは少し考えてたようだけど、小さく頷いて言った


「――うん、あるよ」

「そ、それじゃあ――」

「それの色違い、確か“なつ”が持ってたんだよね」





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