第2章 別世界
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運命と追憶の扉は開かれた
白き狐の、姫君の手で
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ゆっくりと扉を開ける
途端に、眩い光が梅流を刺激した
「きゃ…ッ!」
その眩しさに、耐え切れず梅流は眼を閉じた
―――途端、頭の中で声がした
複数の、男女の声
『あなたは、この世界の――』
『それでも、僕は待ち続けるよ』
『ごめんなさいごめんなさいごめんなさい』
『―――瑪瑠』
とても大きな情報を頭の中に入れられたみたいに、ガンガンと痛む
その痛みに思わず頭を抱える
光が、梅流の体を包んだ
まるで見えない大きな力に引っ張られてるように、前へ前へと流されて行く
―――自分は、これから何処に連れてかれるのだろうか
そんな疑問が、割れそうに痛む頭の隅で微かに浮かぶ
その時、光の波と流れて来る情報がピタリと止まった
恐る恐る眼を開ける
そこは、辺り一面が雪原の銀世界だった
キラキラと光が反射する
「綺麗……」
不意に、そんな言葉が口をついて出た
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