(大丈夫だよ。怖がらないで。私について来て)


その声は前方から聞こえたような気がした


慌てて前を見ると、そこには一匹の猫のような狐のような小さな獣がいた



(こっちだよ)



その獣は梅流をチラリと見ると、ついて来るよう促した


「あ!ま、待って…!」



――私、どうしてあの子について行こうとしてるんだろう?

――何処に連れて行かれるかも分からないのに…

――あ…そうだ…

――待ち合わせも…








(さぁ、着いたよ)


気付くと、梅流は路地裏にいた

何度かこの路地裏を見た事がある

しかし、今目の前にある路地裏は、梅流の記憶の中の路地裏とだいぶ違っていた



狭い通路の先の、行き止まり

そこまでは一緒だ


しかし、決定的に違っていたのは、その行き止まりの壁に扉が付いているという事だった






(さぁ、『瑪瑠』、あなたの手で開けて。『運命』と『追憶』の扉を―――…)








――――

――――――




―――さぁ、今一度



終わらない協奏曲を奏でましょう―――








――――――

――――


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