(大丈夫だよ。怖がらないで。私について来て)
その声は前方から聞こえたような気がした
慌てて前を見ると、そこには一匹の猫のような狐のような小さな獣がいた
(こっちだよ)
その獣は梅流をチラリと見ると、ついて来るよう促した
「あ!ま、待って…!」
――私、どうしてあの子について行こうとしてるんだろう?
――何処に連れて行かれるかも分からないのに…
――あ…そうだ…
――待ち合わせも…
(さぁ、着いたよ)
気付くと、梅流は路地裏にいた
何度かこの路地裏を見た事がある
しかし、今目の前にある路地裏は、梅流の記憶の中の路地裏とだいぶ違っていた
狭い通路の先の、行き止まり
そこまでは一緒だ
しかし、決定的に違っていたのは、その行き止まりの壁に扉が付いているという事だった
(さぁ、『瑪瑠』、あなたの手で開けて。『運命』と『追憶』の扉を―――…)
――――
――――――
―――さぁ、今一度
終わらない協奏曲を奏でましょう―――
――――――
――――
- 4 -
[*Prev] | [Next*]
*List*
Home