第17章 恋心




「瑪瑠ーーーーー!!!」









汀兎の声が辺りに谺する
裟羅の腕に宿った電流がバチバチ爆ぜる

瑪瑠はぴくりとも動かない

それを確認した裟羅は小さく息をついた
視線を汀兎達のいる祠へと向ける





「…次は、お前達の番だよ」

「く…!!」











―――その時

僅かな妖気を感じた




「な……に…?」





裟羅が信じられないといった表情で振り返る
そこには、肩を抑え、荒い息をしながら立っている瑪瑠がいた
身体中が黒く焦げ、血が滲む中…金色の瞳だけが、生気を失わずに輝いている
ふらふらと覚束ない足取りで裟羅の方へと歩く





(――あの雷を食らって、生きている…!!?)



「なんて…子…なの……!?」





瑪瑠は顔を上げるとにっこりと微笑んだ







「だって…あなたが、瑪瑠を恨む理由…ちゃんと、知りたいもん…」



「…信じ…らんない……!!」






瑪瑠を見る裟羅の瞳が大きく見開かれる






(妖気が……上がってる!?)








瑪瑠の全身から、先程とは段違いの妖気が溢れ出す
キッと瑪瑠の瞳が裟羅をとらえた

瑪瑠が手をかざすと、巨大な炎の渦が現れた
その巨大さに裟羅は逃れる術が無い




「く…!!」



裟羅はあわてて結界を張った
だが、瑪瑠の放った炎は容易くその結界を破る


「熱…!!」


皮膚が焼ける嫌な匂いと熱さに顔をしかめた


「……クソッ!!!!」


爪で炎を引き裂き、転がるようにその炎から逃げる
裟羅が肩で息をする


――形成逆転、だった



瑪瑠は裟羅に手を差し伸べて言った





「…話をきかせて。あなたが私を憎む理由を」





その様子に裟羅は悔しそうに唇を噛んだ
そして、瑪瑠をきつく睨みつける




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