「アンタなんか、大ッ嫌い…!!!」
バッと瑪瑠の手を弾く
「幸せそうな顔しちゃってさ!!!いっつもあの狐と一緒で!!…好きな男と、一緒で!!!」
「え…!?」
「私には、もう何もない…!!振り向いてくれないなら、壊すまでだって思ってた!!だから、幸せそうなアンタ達をまとめて消したかった!!
だから、アンタ達の幸せを壊した!!!…もう、壊しちゃったから…“あの人”も永遠に、私を見る事はなくなった…!!」
裟羅の桃色の瞳に、涙が揺れるのを瑪瑠は見逃さなかった
「裟…」
「――――そう、私には、何も無い。だから、壊してもいいの。」
ガッと裟羅が瑪瑠の首に手をかける
苦しさに顔を歪めながらも…
裟羅の気持ちに、気付いた
(ああ…この子は、きっと…)
(叶わない恋を、しているんだ)
きっと、裟羅だけじゃない
両刃も恋をしていた
叶わない恋をする、この少女に
瑪瑠の瞳にも生理的ではない涙が浮かんでいた
(なんて、哀しい連鎖なんだろう…)
手に入らない想いが哀しくて、悔しくて
少女は腹いせに全てを壊してしまった
だが、それは少女さえも壊してしまった
少女は後悔しているのだ
そんな選択しか出来なかった自分に
瑪瑠はゆっくりと裟羅を抱きしめた
「…ッ!!」
「大丈夫、だよ…苦しかったよね。あなたのその想い、きっと私にもわかるから」
「うる、さい…!!」
裟羅の手に、力がこもる
それでも瑪瑠は裟羅は、彼女を抱く腕を緩めることはなかった―――…
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