リボーン複数主 | ナノ


▼ 標的75

爆発に巻き込まれたなまえは、ぼんやりとした頭で目に映る景色がぼやけて見えるのを呆然と見ていた。しかし、すぐにハッとなって起き上がる。

「由良っ!くるみっ!」

自分を庇うように両側から抱きしめる形で倒れていた2人に呼びかければ、小さな呻き声を出しつつも2人とも目を開ける。2人の意識が戻ったことで安心したなまえは目に涙を浮かべ、ホッとしながら2人の名前を呼んだ。

「!なまえ!無事!?」
「なまえちゃん大丈夫!?」
「私よりも、2人のが心配だよぉ…!」

いつもの様になまえを優先する2人に泣きながら心配したと言うなまえ。3人とも爆発に巻き込まれたからボロボロで、なまえを庇った2人は体中痣や火傷が出来ていたが、ちっとも気にしておらず、なまえが無事だったことにホッと安心していた。

「私は大丈夫。くるみは?」
「えっ…」

なまえを落ち着かせる為に大丈夫だと言った由良の問いに、くるみは一瞬反応が遅れた。しかし、すぐに理解すると満面の笑みを浮かべ、私も大丈夫!と答えた。


生存確認の為にやってきたチェルベッロが皆の無事を知らせ、更に守護者戦も終了したと宣言した。スタスタと外に出ていくチェルベッロの後を肩を貸し合ってついていく3人の姿はボロボロだが、表情は酷く晴れやかだった。

「くるみ!」
「由良っ…」

ツナ達のいる観覧席に着いた3人の元に山本、クロームが駆け寄るが、離れようとした2人をグッと引き留めたなまえによって近づくことは出来なかった。山本、クロームはまるで非難するようななまえの目線に気づき、ピタリと動きを止める。
そんな彼らを他所に、チェルベッロが口を開いた。

「雪のリング戦は、第三者の介入により引き分けとし、両者とも守護者となることになりました。」
「えっ!?2人とも!?」

チェルベッロの言葉に驚いたツナがあげた声にはいと答えたチェルベッロは、続ける。

「9代目の勅命に、もし2人とも生き残り、リングに認められたのならばそうするようにと書かれていましたので。」

言って、証拠とでも言うように見せてきた9代目の死炎印が施された紙を手に持つチェルベッロは理解が追いついていないツナ達などお構い無しに話を進めていく。

「明日はいよいよ最後の守護者戦。雲のリング戦となります。」
「ヒバリの出番だな。」
「ああ!」

チェルベッロが告げた内容に、くるみは皆と離れて見ていただろう幼なじみがいそうな屋上に目をやった。その間、リボーンがXANXUSにヒバリが勝ったらどうするのか聞き、XANXUSは負けることがあれば全てをくれてやると答えてそのままヴァリアーの面々は消えていった。
ヴァリアーがいなくなり、シンとした空気の中、ツナは意を決したようになまえの方へ向かった。

「みょうじさん…あの、ごめ」
「謝らないで。」
「!」

なまえに遮られたツナは目を見開き、獄寺はてめー10代目のお言葉を遮ってんじゃねえ!と憤る。しかし、なまえは反応せず、俯き黙っていた。そんな彼女を由良、くるみが心配そうに見つめる。
やがてなまえは顔を上げ、困ったように笑ってみせた。

「ごめんねっ!本当は私がここにいちゃいけないのに、変に出しゃばって…でも、私はズルい人間だから、今ツナくんが謝ったらきっとツナくんを責めちゃう。ツナくんだって、巻き込まれてるはずなのに、大変なはずなのに、私はそんなこと考えずに、きっとツナくんを責めてしまう。そんな、酷い人に、私はなりたくない。言えないなら、言わないで。誤魔化さなくていいから、言わないで。だから、謝ることもしないで。」

お願い。
強い意志を持った瞳で見つめるなまえにツナは一瞬言葉を詰まらせ、でも、と言おうとして、やめた。代わりに分かったと頷いて、苦しげに顔を歪め、俯いた。それはツナだけでなく、獄寺、山本、了平、クロームも同じで、皆何も言えなかった。

「ところでリボーン、雪のリングはどうするんだ?守護者は2人になったが、リングは1つだろ?」

そんな少し重苦しい雰囲気を変えるようにディーノがリボーンに聞いた。リボーンはそうだな、と言ってなまえの指に嵌められたリングを見る。視線に気づいたなまえは自分の指に嵌っているリングを見て、静かに息を呑み、視線を戻した。

「あれ?みょうじさんリング指に嵌めてたっけ?」
「えっ?」
「ホントだ。アンタいつの間に…」

リボーンの視線に気づいたツナが首を傾げて聞けば、なまえはギクリと肩を跳ねさせ、隣にいた由良、くるみは今気づいたようだった。呆れたように言われたなまえはダラダラと滝のように汗を流しながら視線をウロウロと動かし、やがて泣きそうな声でツナになんで、と零す。

「なんで気づいてしまうのツナくん…!嵌めてないよ!嵌めた記憶一切ないしなんなら今まであの装置に入れっぱだったヤバいって思ってたのに何故か嵌ってたんだよ!」

一息に言いきったなまえはリングを外し、これいらない!あげる!とツナに渡す。が、リングはまだツナを認めていないのかツナの手を弾き、その勢いのまま地面に転がった。かと思いきや、突然ふわりと浮かぶ。

「え…」
「う、浮いてる…!?」
「浮いてる!」

理解出来ず声を漏らすだけのなまえ、驚き声を上げる由良、目をキラキラと輝かせながらはしゃぐくるみと三者三様の反応を見せた3人に、リボーンは自我が強いからな、と訳の分からないことを言う。そういう問題じゃないでしょうと由良が薙刀でリングを弾く。さながら野球のバットをスイングする時のような綺麗なフォームだ。

「ほ、ホームラン!」
「由良ちゃんすごい!」

思わず歓声を上げるナマエ、くるみにアンタらね、と答える由良は呆れ顔だ。しかしリングは一定の距離まで飛んだと思うとピタリと止まり、またふよふよと戻ってくる。

「!嘘でしょ…」
「何これ何これ何これぇ!」
「すごーい!!」
「何が!?」

目の前で起こるポルターガイスト現象に信じられない由良、怖がるなまえ、はしゃいで感動するくるみ。そんな3人の様子を見ていたリボーンは由良とくるみの名前を呼ぶ。

「そのリングはお前らが持っとけ。ハーフリングの状態でも、加護の力は発動されるらしいからな。まずツナが触れねー以上、お前らのうちの誰かに管理してもらわないといけないからな。」
「何それ絶対呪われるじゃん!捨てなよ!」
「無理だな。ボンゴレリングは特殊なコーティングが施されていてどんな衝撃にも耐えられるようになってんだ。諦めろ。」

リボーンに呼ばれた2人よりも先に反応したなまえにバッサリ言ったリボーンはどうするんだ?と由良、くるみを見る。2人とも少し考え、互いを見やって、頷いた。

「分かったよ、リボーンくん。」
「このリング面白そうだからいいよ!」
「由良!?くるみ!?」

リボーンの案を受け入れた2人は反対するなまえを無視してリングを2つに割り、それぞれ片方ずつを指に嵌めた。2人の指に嵌ったリングはまるでそれが当然とでも言うかのようにキラリと光った。

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