リボーン複数主 | ナノ


▼ 標的4

あの後急いで教室に戻った私はそのまま担任であろう教師の指示に従って入学式に参加した。式の間は当然恭弥くんだけでなく他の教師からの目がある訳で、隣の子に話しかけるなんてことは出来なかった。そうしてようやく戻ってきた教室。既に私の噂は広まっていたようで、遠巻きにヒソヒソと話されるだけで声をかけられることもなく、一応隣の子にはよろしくと言ったけど怯えられてしまった。
ああ、中学校でも友達が出来ずに終わってしまうのだろうか。
項垂れつつ、つい先程始まったクラスメイトの自己紹介を聞いていく。なるべく早く全員の顔と名前を覚えて、少しでも怖がられないようにしないと!そんな風に意気込む私の目に、とある女の子が目に入った。たった今自己紹介をと指名されたらしい子だ。緊張しているのか、顔は少し強ばっているけれど、軽く深呼吸をしてからガラリと変わった気がした。

「みょうじなまえです!並盛第2小から来ました!と…友達100人作って楽しい学校生活を送ろうと思ってるのでみんな友達になってください!」

以上です!と赤くなった顔を隠すように俯きながらせかせかと席に戻っていくみょうじさん。周りは呆気に取られながら、それでもなんとか拍手はしている状況の中、私はみょうじさんに視線を向けていた。
か、可愛い…!!
自己紹介中終始赤くなった顔を隠すことなく必死にギュッと目を瞑って話す姿、席に戻ってから周りの子達に話しかけられてまだ赤みの引けない顔を嬉しそうに綻ばせて話す空気、何より少し赤らんだ顔に浮かべられる本当に嬉しいと誰が見ても分かるほどの笑顔に私の目は釘付けになった。もし彼女と友達になれれば今よりもっと近い距離で彼女の色んな表情を見られるかもしれない。これは、是非ともお友達になって更に言うならばもっと仲良くならなければ…!

「あ、あのっ…!」
「はいっ!?あ…えっと、川崎さん、だった、よね?」

そうと決まればと放課後になった途端すぐに話しかけにいけば、1度自己紹介しただけの私の名前を覚えてくれていただけでなく呼んでくれた…!う、嬉しい!

「う、うん。でもよく覚えてたね、私まだ全員の名前覚えられなかったや。」
「私も全員は無理だよ。でも川崎さんすごく可愛かったから、印象強くて覚えちゃったみたい。」
「え…」

さっきの自己紹介の時とは違った少し落ち着いた様子で話すみょうじさんの言葉に固まってしまった。どうしよう。耳がおかしくなったのかもしれない。可愛いみょうじさんに可愛いと言われてしまった気がするなんて。これは夢かな?私いつの間に寝てたのかな?

「あ、ご、ごめんね!気持ち悪いよねいきなりこんなこと言うなんて!」
「う、ううん!全然!」

夢じゃなかった…!
今度は青くなった顔の前で両手を振ってあわあわと話すみょうじさん。安心して下さい。嬉しくて仕方が無いという気持ちしかありませんので!
私の言葉にホッとした表情になるみょうじさん。
よし言え。言うんだ私!すぅはぁと深呼吸を一つして、あの、と声をかける。

「私とお友達になってください!」

ばっと頭を下げて叫ぶように言う。
みょうじさんの方から息を呑むような音が聞こえるけど、それ以外の反応は分からない。気配で探ってみても、止まっているような感じしか分からず、どんな表情をしているのか、どんな風に思っているのかが全く分からない。
やっぱり、私じゃダメなのかな。今までの子たちも私の幼なじみを恐れてすぐに断られていた。みょうじさんは友達100人作るって言ってたから大丈夫かと思ったんだけど、やっぱり無理なのかな。私にお友達なんて、出来ないのかな。

「わ、私なんかでよければ喜んで!」

気持ちが下がっていく時聞こえた言葉にパッと顔を上げれば少し赤くなった顔で笑みを浮かべるみょうじさんがいた。信じられなくて、でも嬉しくて本当?と聞けば勿論!とはっきり返ってくる声にじわじわと実感出来て、思わず泣きそうになる。

「ありがとう!!」
「お礼を言うのは私の方だよ!私もずっと川崎さんのこと気になってて、友達になりたいなって思ってたんだ。」

あ、これからは名前で呼んでもいいかな?なんて自然に聞いてくれるなまえちゃん。私も名前で呼びたかったので同じように許可を貰い、くるみちゃん、なまえちゃんと呼び合う仲になった。

「嬉しいなあ、くるみちゃんが友達第1号になってくれて。」
「そんなに?私といてもつまらなくない?」
「全然!むしろそんな風に言った人に一から説明したいくらい。自己紹介の時から可愛い子だなあって思っててね、声も可愛いし仕草も可愛いし可愛いのゲシュタルト崩壊起きてたんだけど、さっき友達になろうって言ってくれた時とかずっと私のこと気にしてくれてたでしょ?可愛いだけじゃなくて気遣いも出来るすっごい優しい子なんだから、つまらないなんて思うわけないよ!」
「あ、ありがとう…!」

嬉しい。今までずっといなかった、ずっと望んでいた存在。私の大切な初めてのお友達。可愛くて守ってあげたくなるようなお友達。なまえちゃん。
いきなり褒められてちょっと恥ずかしかったし照れくさかったけど、なまえちゃんは私が不安になっていた行動を言葉一つで長所に変えてくれた。私のお礼の言葉に更に私の良い所を話すなまえちゃん。本当に、私には勿体ないくらいのお友達だ。恭弥くんに自慢しなくっちゃ。

「恭弥くん見て見て!初めてお友達が出来たの!みょうじなまえちゃん!可愛いでしょ!?」
「…………………学校で携帯を使うのは校則違反だよ。」

この角度盗撮じゃないの、と失礼なことを言う恭弥くん。失礼な。ちゃんと本人に確認は取ってるから大丈夫だもん。しかも可愛いって言ってくれないし。
今度から可愛いなまえちゃんの写真いっぱい送り付けよ。

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