リボーン複数主 | ナノ


▼ 標的29

2チームに分かれてのリボーン考案レオン争奪戦ルールによる雪合戦は獄寺の裏切りやディーノの部下の乱入、更に誘われなかったことで拗ねランボ、イーピンを脅して参加したビアンキの第3勢力の台頭により混沌を極めていた。

「ルールを変更するぞ。」

混乱するツナやなまえ、由良、くるみを置いて落ち着いた調子でリボーンが新たなルールを説明する。
レオン争奪戦は変わらないが、レオンを1番先に捕まえた時点でそのチームが勝ちというものになった。それに伴って、レオンも丸いボール状のものから形を変え、小さなラジコンのようなターボ車に変形した。ラジコンと違いレオンの意思で自由に動き回る為、滑りやすい雪上で捕まえるのは困難だろう。

「んじゃ、第2ラウンドスタート!」

ついていけないツナらを気にかけることも無く、リボーンは無情にも再開の合図を出した。途端ギュルルと独特の音を発しながら結構なスピードで走り出すレオンを全員が追いかける。

「ふぎゃっ!!」
「イワン!」

しかしその勢いもすぐに崩れ、ディーノの部下の1人、イワンが雪玉に当たってそのまま気絶した。しかしその雪玉は決して速くなく、スピードがそこまでない分威力もあまりない。ディーノが信頼する部下ということもありただの雪玉に当たったくらいでは気絶するはずないそれは、もちろんただの雪玉なんかではなかった。

「油断大敵。毒ボーボーよ!!」

イワンに当たった雪玉はビアンキのポイズンクッキングによって毒化したナニカが混ざっており、ビアンキは更に毒入り雪玉を投げてくる。投げられた雪玉を軽々と避けたディーノはそっちがその気なら、と徐に銃を取りだし、撃った。

「実弾入り雪玉!!」

よく見れば銃口から出ているのは弾丸ではなく雪玉で、ズガガガガという発砲音を出しながら向かってくる毒入り雪玉を撃ち落としている。毒牛中華飯、キャバッローネが拮抗している中、ツナたちは今のうちにとレオンを追いかける。

「そーは!」
「させないぜツナ!!」

しかし対するのはどちらも裏社会で凄腕の殺し屋であったりマフィアのボスであったりするビアンキとディーノはすぐに気づき、ツナたちを阻止しようとそれぞれ雪玉を投げてきた。背後からの集中砲火にくらってしまえば命も危ない状況だが、全て避けきることは不可能に近い。

「やっぱり我慢出来ないよ。」
「なまえ、無事!?」
「なまえちゃん大丈夫!?」

諦めかけたその時、突如地面の雪が舞い上がり、大きな壁となって雪玉を弾いていく。更になまえの前には先程獄寺のダイナマイトを防いだ時のように由良とくるみがいた。くるみの両手には先程はなかった拳銃が握られており、なまえは音が響いたのか耳を押えている。

「みんな揃ってるんだもん。ランキングせずにはいられないよ。」
「フゥ太くんの周りに、雪が…!」

由良の指摘通り、雪の壁の原因はフゥ太のランキング能力によるもので、ランキング中フゥ太の周りは無重力状態になるのを利用して雪玉を防いでいた。そのままフゥ太はランキングし始める。

「タケシ兄やっぱりすごいや。走力8万223人中213位。この中ではダントツだよ。」
「ん?」
「それで言えばくるみ姉も240位でこの中だとタケシ兄の次に速いよ。」
「くるみちゃんすごいね!」
「あ、ありがとう…?」
「アンタは自分の心配しなさい。」

フゥ太のランキング結果に反応を示す面々。くるみのランキングには本人よりも早くなまえが反応し、彼女を守っている由良から怒られている。
フゥ太のランキングは留まるところを知らず、獄寺の火力もこの中でダントツと伝え、更に自身の雪の壁と獄寺の火力で雪玉を止め、その隙に山本とくるみがレオンを追いかけるべきと作戦まで考えた。

「なるほど、オフェンスとディフェンスにわかれるんだな。」
「くるみちゃん頑張れ!」
「うん!任せて!」

フゥ太の作戦に異論はないということで、各々動き出す。
まず獄寺のダイナマイトでランボ、ディーノの部下であるボノが気絶しリタイアした。その隙に山本とくるみがレオンを追いかけようとレオンが逃げた外階段の方に目を向ける。

「お先に!」

が、2人より先にディーノが駆けていく。先越されたー!叫ぶツナに落ち着けと声をかける山本はくるみに目線をやる。

「行こうぜ川崎!」
「う、うん!山本くん!沢田くん私たちに任せてね!」

意気込んだ2人がディーノの後を追う。走力が高い2人ならディーノにもすぐに追いつくだろう。チームの勝利を確信したなまえ、由良、フゥ太は期待に満ちた表情で2人を見る。そんな中、ツナは思い出していた。

「(そういえば、ディーノさんって、部下がいないと運動ダメだったような…)」

今走っていったのはディーノ1人で、部下の中で生き残っているロマーリオは頑張れと声援を送っていた。つまり階段を駆け上がったディーノは部下が見えない=部下がいない状態になる。

「おわっ!!」
「なっ!」
「ええ!?」
「うそぉ…」

案の定とも言うべきか、階段の踊り場付近で足を滑らせたディーノはそのまま階段を転げ落ち何故か巨大な雪玉となって後を追っていた山本とくるみに迫ってきた。驚きながらも必死に逃げる2人。雪玉に巻き込まれながらミスった!というディーノに何をミスったらこうなるんですか!?と尤もなツッコミをするツナの声に必死で頷くくるみだったが、回転する雪玉の方が速かったようで、山本共々巻き込まれ身動きが取れなくなりリタイアとなってしまった。

「くるみちゃん大丈夫ー!?」
「大丈夫だよ!勝てなくてごめんね!!」

由良に不用意に動くなと行動を制限されているため、遠くから叫んでくるみの無事を確認するなまえ。声を聞く限りは大丈夫そうだと分かりホッとする。

「ラッキーだわ。これで主力はだいぶ減ったわね。」

ここぞとばかりにビアンキら毒牛中華飯の面々が毒入り雪玉を投げてくる。手に持つ薙刀でなまえとフゥ太に向かってくる雪玉を払いながらどうすべきか考える由良が何かをするより早く、雪玉に巻き込まれたディーノがそいつはどーかな、と意味深な言葉を口にする。

「ダイナマイトで溶けた雪の上にアイツを落としちまったみたいだ。」
「アイツ?……っ!!」

不思議がるビアンキの足元近くにバシャバシャと溶けた雪の上で動く何かがあった。それはむくむくと大きくなっていき、やがて校舎を優に超える程の大きさになった。

「エンツィオ!」
「えん…なんて言った?」
「発音難しいね。」

青い顔で叫んだツナの言ったエンツィオとは、ディーノのペット、ではなく相棒のスポンジスッポンで、水を吸収して体を大きくする性質があった。ドライヤーの温風などで表面を乾かせば小さなカメに戻るが、今のように大きくなるとなんでも食べてしまうし、凶暴になってしまう非常に厄介なカメだった。
なぜ山の神が!?と変なことを言って驚く獄寺と早速ランキングするフゥ太。そんなフゥ太に祈れと怒る獄寺にビアンキが叫ぶ。

「何してるの隼人。逃げなさい!隼人!!」
「ごはっ!!」

弟を危険から遠ざけるために自分のことよりも弟のためを思って逃げるよう叫ぶのは感動的なシーンだが、最後の最後、獄寺が倒れずにいられたビアンキの顔を隠していたゴーグルがビアンキの手によって外され、顔をモロに見てしまった獄寺はその場に倒れ、そのままリタイアとなってしまった。獄寺のトラウマ、幼少の頃よりビアンキのポイズン化したクッキーを食べさせられまくったことから顔を見るだけて腹痛等の体の不調が出るようになったことを知らなかった悲劇である。
そして凶暴化し危険とされていたエンツィオだが、冬は冬眠の時期ということもあり、巨大化した状態で眠ってしまい、そのままツナたちがいる方に倒れ込んだ。

「うわあああ!!」
「なまえ!!」
「由良!」

ツナの悲鳴をBGMに近くにいたなまえを突き飛ばし、エンツィオに潰されないようにした由良。そのお陰か、なまえは間一髪エンツィオの下敷きになることはなかったが、由良がエンツィオが倒れ込む衝撃に巻き込まれ、リタイアとなってしまった。

「由良!!」
「由良なら無事だぞ。雪合戦が終わったら助けてやる。」
「リ、ボーンくん…」

青い顔で由良を探すなまえに今の一瞬で確認したかのように平然と言ってのけるリボーン。しかし、リボーンの言う通り大丈夫なような気がして、落ち着きを取り戻した。

「って、残ってるの俺とみょうじさんだけー!?」
「えっ………本当だ。」

気づけば残ったのは運動があまり得意ではないツナとこの中でダントツで運動ができないなまえだった。

「強運もボスの資質だぞ。」
「あのラジコンつかまえてケリつけてこい。」
「なまえちゃんファイトー!」

狼狽える2人に気絶せずリタイアとなったディーノ、山本、くるみから後押しされ、2人はレオンを追いかけることになった。ちょうどそんな2人の前にレオンターボが現れる。

「こんなんで勝っちゃっていいのかなぁ〜。後で恨まれないかな?」
「なんか、ズルしてる、気分、だもん、ねっ…」
「みょうじさん大丈夫!?」
「雪、結構、キツい、ね…」

雪玉を作ったり、ダイナマイトや実弾入りの雪玉、毒入りの雪玉という諸々の衝撃で地面には所々穴が空いていてデコボコしていた。それがすぐに冷えて固まったために足が取られやすく、滑りやすくなっている。

「うわっ!」
「沢田くん大丈夫!?わっ!」

慣れない雪の上を走っていた2人はどちらも足を滑らせ、ツナは前の方に滑り込むように転び、なまえは尻もちをつくようにして転んでしまった。そんな中、レオンターボを手にする勝者が現れた。

「何これ。あとあのデカいカメ。」
「ヒバリさん!!」
「あ、恭弥くん!」
「何してるの、くるみ。」

パカーンと小さな旗が飛び出したレオンターボを持つのは寒いにもかかわらず学ランを羽織るだけのいつものスタイルのヒバリだった。思わぬ遭遇になまえの顔に自然と熱が集まる。と、ヒバリと視線が合った。

「君も何してるの、風邪引くよ。」
「わっ…」

自然な流れで近づいたヒバリが座り込んで動かないなまえの腕を掴んで持ち上げる。ヒバリに立ち上がらされたなまえはコート越しにも感じるヒバリの自身の腕を掴む手を意識してしまい、益々真っ赤になり、俯き、小さくすみません、と伝える。

「あ、あのっ!」
「せっかくの雪だ。雪合戦でもしようかとね。」

ツナが聞くより早くここにいる理由を答えたヒバリはといっても群れる標的に一方的にぶつけるんだけど、と続け、なまえにちらりと視線を寄越してからツナを見た。

「ここで会ったのも何かの縁だ。今日は君を標的にしようかな。」

いつの間にかターボから最初の丸いボールに変わっていたレオンを構えたヒバリはツナに標準を合わせたようだ。そんな!青い顔で悲鳴をあげるツナにレオンを投げるべく大きく振りかぶったヒバリ。

「と、思ったけど、風紀委員の仕事がたまってる。またね。」

しかしレオンを投げることはせず、そのままポイと落とし、そのまま校舎の方に向かっていった。なまえを掴んだまま。

「ちょっ、恭弥くん!?なまえちゃんどうするの!?」
「くるみがその状態なんだ。君の友人とやらの彼女に仕事をさせる。」
「なんでそんな夢無いの!!」
「えっ?えっ??」

叫ぶくるみに静かに言ったヒバリはそのままなまえを連れて校舎に向かう。引っ張られるなまえは戦線離脱したと判断され、リタイア扱いとなり、残るはツナだけとなった雪合戦。それはヒバリとなまえの背後で起きた大きな爆発により、引き分けで終わった。

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