リボーン複数主 | ナノ


▼ 標的27

由良、くるみ、なまえの3人がランボ達の相手をしている間にツナたちで雪合戦をすると話がまとまったらしく声がかかった。チーム分けをどうするのかとなったところで戦国武将がよく着ていそうな甲冑を身にまとったリボーンが寝る時間を削ってまで考えてきたというので任せることにした。甘すぎるとツナは言っていたが、他にいい案がないので仕方ないと思って頂こう。

「んじゃ、発表するぞ。だがその前にみょうじなまえ。」
「えっ!?」
「俺はリボーンだ。よろしくな。」
「あ、うん。よろしく…?」

由良とくるみの陰に隠れるように存在感を薄くしていたはず(感覚的な問題)なのにバッチリ見つかり目が合ってしまった。ようやっと挨拶できた2人の様子にギョッとしたのは由良だ。

「え、待って待って。リボーンくんなまえと会ったことなかったのになんでこの子の連絡先知ってたの?」
「俺は一流の殺し屋だぞ。一般人の情報なんてヨユーで調べられる。」
「………………沢田、あとで話がある。」
「俺!?」

赤ん坊だからといって何でもかんでも許せるような甘い人間ではない由良はリボーンの教育をしっかりするようツナに一言言わなければと頭を抱えながら思った。

「んじゃ、気を取り直してチームを発表するぞ。東軍はツナ、山本、イーピン、フゥ太、くるみだ。白マフラーだぞ。」
「よかったぁ、運動神経いい山本と川崎が一緒で。」
「川崎と同じチームか、よろしくな!」
「う、うん!よろしくね、山本くん!」

東軍に選ばれたメンバーは自然とメンバー同士で固まっていく。

「対する西軍はディーノ、獄寺、了平、ランボ、なまえだ。由良は俺と審判な。西軍のマフラーは赤だそ。」
「えっ!?」

西軍メンバーの発表を聞いた誰かが驚きの声をあげる。

「待ってくださいリボーンさん!なんで俺が10代目と違うチームなんですか!?」
「なまえと私同じチームじゃないの!?」

ツナと同じチームではなかった獄寺と、てっきりなまえと同じチームになってフォローをするものだとばかり思っていた由良が抗議する。

「謎だ。」
「迷宮入りスかー!?」

一言で片付けられ、言及できなくなった獄寺に対し、納得いかないという様子でムッとする由良。再度抗議しようと口を開くがそれより早くリボーンが口を開いた。

「獄寺のは謎だが、由良を審判にしたのはちゃんとした理由がある。」
「理由…?」
「お前もくるみも、なまえに過保護になる節がある。今回の雪合戦はなまえの体力アップも兼ねてんだ、お前らどっちかと組ませれば最悪守られて何もせずに終わる可能性もあったからな。敢えてだ。」
「………………。」

リボーンに言われたことに由良もくるみも反論出来なかった。リボーンの言ったことは2人とも思い当たる節がない訳では無い。
由良は去年体育の授業で必ず同じチームになり、なまえのフォローとして色々と手を回したり動いたりしていた。くるみも先日の体育で行われたドッヂボールの時に一緒のチームになり、なまえがボールに当たりそうな時は必ず受け止め、なまえを護るように動いていたし、それ以前のチーム分け自由の科目であれば絶対になまえと同じチームになり、なまえの分まで動いていたこともあった。

スっと目を逸らす由良とくるみを見てほらな、と内心嘆息したリボーンは今回の雪合戦のルールを説明する。
ルールはこの日の為の特別なもので、リボーンの相棒、形状記憶カメレオンのレオン争奪戦となった。両チームボールに変化したレオンを30分間奪い合い、30分後にレオンを持っているチームが勝利となる。その間雪玉にいくら当たってもよく、気絶したらリタイアと一通り説明したリボーンは雪玉と塹壕を作ってから30分後に開始と言って由良を連れて両チームから少し離れたところに向かった。


東軍チームでは、ツナと山本が塹壕を、フゥ太、イーピン、くるみが雪玉を作ることになり、それぞれ雪を集め形作っていた。

「みょうじか?」
「っ…!や、山本くん…」

イーピン、フゥ太と和やかに談笑しながら時折不安そうに相手チームに目を向けるくるみに声をかけたのは塹壕を作り終え、雪玉作りに参加した山本だ。ツナはイーピンとフゥ太の相手をしており、完全に彼らのお兄ちゃんのような状態になっていた。

「なまえちゃんの運動神経は、クラスみんなも知ってるくらいだから、こうして事情を知ってる人がいないチームって初めてで。それに、私も違うチームになったことなかったし…」
「そんなに気にする程なのか?」

頷いて答えたくるみに確かにリボーンが過保護と言うはずだと思えるほど気にする様子に疑問に思ったことを投げかければ、ぎこちなく頷くくるみ。横では気になっているのかツナも視線を寄越してくる。

「なまえちゃんの運動神経がっていうよりは、なんていうのかな…なまえちゃんって結構ドジって言うか、おっちょこちょいっていうか、よく転んだりぶつかったりしちゃうんだけど…たまに何が起きたのか分かってない時とかあって、それが結構二次被害になりそうな時に起こりやすくて…」

そうならないか不安で。困ったように笑うくるみに似たような所があるツナはなんとも言えなくなり、山本はそっか!とカラリと笑う。

「でもあっちには獄寺も笹川の兄貴もディーノさんだっているから大丈夫だろ!」
「そ、うだね…!そんな気もしてきた…!ありがとう、山本くん!」
「おう!絶対勝とーぜ!」

確かに言われてみれば、意外と面倒見のいい獄寺、妹がいる為年下の世話に慣れている了平、現キャバッローネファミリーのボスで多くの部下をまとめあげるディーノがいるのだから、咄嗟のフォローはなんとかなるかもしれない。
先程の不安そうな顔もどこへやら、今は励まされたからか少し調子を取り戻し、笑顔で子供たちと雪玉作りを再開した。


一方由良は審判とは具体的に何をやるのか聞かされるのかと思いきや、何処から用意したのかセッティングされたこたつセットで暖を取りながら両チームの様子を見守っていた。

「やっぱ過保護だな。」
「………………。」

由良が用意した緑茶をズズっと音を立てて啜りながらリボーンが言った言葉に図星をつかれたせいか視線を下に向ける。
由良がなまえの体力の無さ、運動神経の悪さに気づいたのは同じクラスになってすぐの事だった。教室でよくぶつかり、よく転ぶ様子に最初は驚き、次第にその頻度の多さに心配になったのは世話焼きの性格から自然の事だった。なまえは1日の内1回は何処かにぶつけたり何も無いところでコケたり、転んだりする。仲良くなってから近くで見たが、一種の才能か?と思うレベルでその回数は多かった。
同い年なのに妹のように思え、どうしても子どもを心配する親のように接してしまう所があったのは自分でも自覚していたが、正直彼女のそれが無くならない限り一生変わらないだろうという自信はある。

「あの子、全部一生懸命なんだ。」

由良やくるみがなまえを気にするのは、なまえは常に一生懸命に頑張るのだ。その姿を見て、彼女に少しでも達成感や満足感を感じてほしいと思って、自分が出来る最大限のフォローをして彼女の頑張りを報えるようにしていた。今も先程まで寒い寒いと文句を言って冷たくなった手をポケットに入れて温めていたのに、手が冷たくなるのもなんのその、ランボや獄寺と一緒に大きくて硬い雪玉を作ろうとせっせと雪を集め、力を込めていた。

「時には現実を見せることも優しさだぞ。」
「あの子はちゃんと理解しているよ。」

なまえだって馬鹿ではない。己の実力はよく分かっている。体育祭で借り物競争を選んだのだって、自分が他の競技で足を引っ張ると思ったからだし、きっと今も、雪玉を作って渡すというのはやるだろうけど、投げたり自ら走ってレオンを取りに行ったりというのはしないつもりだろう。だからこそ、雪玉作りに全力を出している。

「ちったぁ無理させてみろ。」
「……………もしかして、そのつもりで?」

リボーンからの返事はなかった。


由良はリボーンと、くるみは東軍チームで話しているところで、なまえがいる西軍では獄寺と了平が怒鳴り合っていた。

「テメー雪持っていき過ぎなんだよ芝生頭!」
「なんだと!?そういう貴様の作る塹壕ではすぐに突破されそうではないか!」
「んだと!?」

互いに睨み合い、今にも殴り合いを始めてしまいそうな2人を宥めるのは年長者のディーノで、幼いランボは面白がって大きな声で笑っている。

「か、カオスだ…」

笑って乱入しそうなランボを止めつつ雪玉を作るなまえは、いつも彼らを止めようとするツナの苦労を身をもって知った。今度何か労るプレゼントでも贈ろうかな。常日頃苦労しているであろうツナを思って何を贈ればいいか考える。

「お前、なんだこの小さ過ぎる雪玉は!」
「えっ…」

どうやらディーノがうまく話をまとめたようで、雪玉作りに獄寺が加わり、一緒に雪玉を作っていたディーノは塹壕作りに向かったようだ。そんな獄寺が指摘したのは獄寺の手の3分の1くらいのサイズの雪玉。なまえの手の大きさで結構大きめに作ったソレは獄寺が言うように確かに小さく見える。

「えっ?私、結構大きめに作ったよ?」
「どう見ても小せーだろーがナメてんのか。」

文句を言いつつも小さいと指摘した雪玉に新しい雪をかぶせて大きくしていく。ようやく獄寺の満足のいく大きさになった雪玉はなまえが作った物より何倍も大きく、頑張って作ったのにこんなに違うのかと少しショックを受けた。

「おらとっとと作り直せ!」
「う、うん!」
「ランボさんもやるー!」
「アホ牛…」
「じゃあ一緒にやろっか。」

獄寺に急かされ、慌てて作り終えていた雪玉に雪をかぶせて雪玉を大きくしていく。そばに居るランボも夢中になっているのか、なまえが十分だと伝えてもまだ足りないと言って結果として大きく硬い雪玉が何個も出来上がった。

「待たせたな。俺達も手伝うぜ。」
「極限に任せておけ!」
「あ、ありがとうございます!」

塹壕作りを終えたディーノ、了平も加わり、なまえ、ランボは雪を足して雪玉を大きくしていき、獄寺、了平、ディーノが新たな雪玉作りと、なまえたちが作った雪玉の強度を高めるために仕上げを担当した。
由良やくるみちゃんだったら、こんな手間をかけたりしなかったのになあ。
2人がいないことで、初めて後悔するなまえは、楽しみながらこれじゃあダメなのかも、と思い始めていた。


それぞれ準備を整えているとあっという間に時間は過ぎ、30分終了の合図が出された。

「んじゃ、始めっぞ。」

リボーンの声と同時にいよいよ雪合戦が始まった。

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