リボーン複数主 | ナノ


▼ 標的26

あと1ヶ月程で春休みに入る2月半ばの日曜日。なまえは以前と同じように昨夜遅くまでスマートフォンのゲームをやっている途中で寝てしまい、充電ケーブルの挿さったスマートフォンを手に置いてすぅすぅ寝息を立てていた。

「っ…!」

そんな折、またも着信を知らせるバイブで起こされ、誰だよぅ…と寝ぼけ眼で上手く画面が見えないままひとまず電話に出ることに。昨日と違い、いつもよりも一段と寒いと、布団にくるまって携帯を耳に当てもしもし、と寝起き特有の掠れたような声で応答する。

「ちゃおっス。みょうじなまえ。」
「ん〜…?ちゃお…?」
「今から並中に来い。由良を迎えに行かせたからな。ちゃんと起きとけよ。」

じゃな、と一方的に言うだけ言って切られた携帯をボーッとした様子で見ていたなまえだが、すぐに気温の低さにやられ、寒っと震えたと思えば布団にすっぽり収まってしまった。そして布団の暖かさでやってくる眠気に抗うことなく、先程までの電話などすっぽり抜け落ちもう一度寝た。


朝起こされた時寒い寒いと思っていたらどうやら雪が降っていたようで、吐く息が白い。加えて雪によって周りの景色が白いせいで余計寒く感じられる。なまえはポケットに手を突っ込んで肩を縮こませた。

「寒っ…」
「文句言わない。リボーンくんから連絡あったんでしょ?」
「寝起き直後じゃ分からんて。」

リボーンに言われなまえを迎えに来た由良に母親のように叩き起され、話をよく理解していないまま着替え、コートを羽織って家を出た。コート以外の防寒具を一切着けなかったせいで手先が冷たくジリジリと痺れる感覚がする。
第一、由良が言うようにリボーンから確かに連絡があり、並中に行くように言われたが、そもそもなまえはリボーンを知ってはいるが、実際に会ったことがないのだ。初めましてをする前に連絡先を知られ、電話までかけてこられたことに流石というファン心と、純粋に怖いという恐怖を抱く。

「おーい神崎!みょうじ!」
「おっせーぞお前ら。」

2人が並中に着けば前方から獄寺と山本がやってくる。その横には京子の兄である了平と、ツナの兄貴分であるディーノがいた。え?え?どういうこと?と戸惑うなまえを引っ張って由良はごめんと謝りながら4人の元に向かう。

「お前が軟弱な体を鍛えたいというみょうじか!」
「えっ?」
「京子のお兄さんだって。」
「笹川了平だ!座右の銘は極限!」
「あ、と、隣のクラスの、みょうじなまえです。妹さんとは、仲良くさせていただいて…」
「で、こっちが沢田の兄弟子?の人。イタリアから来てるんだって。」
「ツナの兄貴分のディーノだ。よろしくな。」
「あ、沢田くんの友達やってます、みょうじなまえです。よろしくお願いします。」

いきなり主要メンバーと初めましてとなり戸惑うなまえは由良に言われるがまま初対面である了平、ディーノと挨拶を交わし合う。そんな彼女に流石に誤魔化すのは可哀想か、と思った由良は種明かしをする事に。

「最初は山本から私に沢田の子守りを手伝わないかって連絡があってね、雪も降ってるからはしゃいだ子どもたちの相手は大変だろうからって。なまえもって誘われた時1回断ろうとしたんだけど、アンタの体力があまりにも悲惨だったから、ちょうどいいと思って連れてくることにしたの。」
「腹筋10回出来るようになったよ?」
「そんなんでヒバリとの約束果たせるとでも?」
「……………っす。」

由良の正論に何も言えず、目を逸らしたなまえ。了平が言っていた体を鍛えるとはつまりそういう事だったらしい。出来ることなら暖かい部屋でぬくぬくダラダラゴロゴロしていたかったなまえだが、由良が以前にも増して心配するようになったのと、ヒバリとの約束まで時間もあまりないので抵抗は諦めた。

「お!川崎ー!」
「山本くん!ごめんね!遅くなっちゃって…!なまえちゃん!」
「おはよーくるみちゃん。」

そんな中、山本はくるみも呼んでいたようで、何故か校舎の方から制服姿のくるみがパタパタとやってきた。聞けば休日の今日も風紀委員の手伝いで駆り出されたらしく、ヒバリに必ず戻るからと約束をしてこちらに来たらしい。大丈夫なのか聞けば、ちょっと機嫌悪くなったくらいだから平気!とのこと。流石幼なじみである。


暫く皆で談笑していれば、遠くから子供特有のキャラキャラとした高めの声やツナの注意する声が聞こえてきた。見ればツナにランボ、イーピン、フゥ太、リボーンらがおり、リボーン以外の子供たちは雪に興奮してはしゃぎ回っている。
そんな彼らに10代目!と獄寺が声をかけるとツナはギョッと驚きどうして皆が!?と疑問を口にする。

「由良ー!遊べー!」
「由良姉雪だるま作ろうよ!」
「いいけど、もう少し厚着した方がいいんじゃないかな?あれ、君は新しいお友達?」
「イーピン…!」
「そっか。よろしくねイーピンちゃん。私は由良っていうんだ。」

ツナの代わりに子供たちの面倒を見に来たと説明する獄寺たちの横で、ランボ、イーピン、フゥ太は由良に遊んでとせがんでいる。

「前々から思ってたけど、由良ちゃんって子どもに好かれやすいタイプ?」
「割とね。まあ下に兄妹いるからだろうけど、扱い慣れまくってて。」
「?お前らも遊べー!!」
「わっ…」
「お、おぉう…」

子どもたちに引っ張りだこな由良の様子にコソコソと話すなまえとくるみ。そんな2人を暇だと思ったのかランボが目ざとく気づき、絡んでくる。そこから芋づる式にイーピン、フゥ太も集まって、由良も交えた3人は暫く子どもたちの相手をしていた。

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