リボーン複数主 | ナノ


▼ 標的167

ツナと行動を別にして、敵に見つからないようにダクト等を使って敵アジト内を進んで暫く、ジャンニーニ特製のインカムからザザッというノイズが数回入った。ほとんどの者は特に気に留めることなく進んでいたが、獄寺だけは何かを聞き取っていたようで、ピタリと立ち止まった。

「聞こえたか!?」

獄寺の言葉と、彼が止まったことで、全員が彼に注目し、歩みを止める。殿を務める了平がどうしたタコ頭と問えば、獄寺はインカムを耳に押し当てながら今リボーンさんの声がした、と答えた。思い当たるのは直前に聞こえたノイズで、もしかしてと次に聞いたのは山本だった。

「ああ、間違いねぇ!」
「お前は耳がいいんだったな!でかしたぞタコ頭!!おそらく警備システムを破壊したことで外部との通信を妨害するものがなくなったのだ!違いない!!」

確信したように山本に肯定した獄寺に対し、了平も恐らくと推測しているが、確信めいて先程のノイズと、現状を伝えた。獄寺が聞き取ったリボーン、仲間の声と、了平が推測した仲間と連絡が取れそうにある現状に、場の空気が少し明るくなる。3人の会話を静かに聞いていた由良とくるみは、嬉しそうな顔を隠すことなく見合わせた。

「で、なんと言っていた?」
「それがほとんどノイズでよ…」
「ここ地下12階だろ?あまり深い階だと電波が届かねーってジャンニーニが言ってたぜ。」
「それなら、急いで上の階に行かないとだねっ。」
「ツナとも合流したいしね。」

しかし喜んだのも束の間、まだ確実にリボーン達と連絡が取れる状況ではないらしい。獄寺が聞き取ったのはリボーンの声のみで、何を話していたのかまではノイズがひどすぎて聞き取れなかったらしい。それに対し、山本がジャンニーニの説明を思い出し原因と思える内容を説明する。
仲間と連絡を取るのも、自分たちが自由に動けるようにするのも、敵を倒し、安定した環境に行かなければならないことは変わらないようだ。
先に進もうと声をかけたくるみ、由良の言葉に頷いた一同は会話をしながら足を動かした。動きながら、先程のノイズ、リボーンの話していたことはなんだったのかについてが話題に上がる。唯一声を聞き取っていた獄寺は疑問を投げかけた了平に自分の推測を答えかけ、いきなりハッと何かを思いついたような顔になる。

「まさか10代目に何か良くないことが!!」
「待ていっ!!」
「おっと獄寺!!」
「あぶなっ。」
「3人とも、大丈夫?」

不自然に言葉を区切ったかと思えば、くるりと1人だけ方向転換した獄寺に、了平と山本が抑えるように獄寺の腰を掴み、勢い余って3人が倒れ込んだ。ちょうど巻き込まれそうな位置、了平と獄寺の間にいた由良とくるみだが、何かを察知したくるみが咄嗟に由良の手を引いて避けたお陰で2人は倒れることなく、3人を心配し声をかけた。しかし2人の声は届いていないのか、3人はわいわいと騒いでいる。

「沢田のことだ。心配はいらん!デンドロとの戦いを見ただろう!!」
「そーそー!それにまた通信が来るかもしんねーし。」
「ノー天気野郎どもが!!」
「おーい、私らいること忘れてません?」
「落ち着いたみたいだし、先に進もっか。」

ツナを案じた獄寺に楽観的とも言える説得をする了平と山本だが、ツナに対する信頼が垣間見えた獄寺は立ち上がり、素直に答えずしかし満更でもない様子で悪態をついた。そんな3人に由良とくるみが声をかければ、まるで思い出したかのように3人とも「あ」と声を零すので、くるみは思わず苦笑した。そして流れで視線が了平の肩に向き、表情を曇らせる。気づいた山本より先に、くるみと同じように視線が自然と流れた獄寺が了平に向かってラル・ミルチはどうだ?と問うた。しかし返ってくるのは変わりないという言葉だけ。
先程までの騒ぎで通常ならば注意するはずの彼女は、ジンジャー・ブレッドとの戦いで疲弊したためか、ツナと別行動を始めて少ししたタイミングで意識を失ってしまい、今もまだ目覚めずにいた。彼女を自分で運ぶことができなかったくるみは事ある毎にラルの様子を気にしていたが、彼女が目覚める様子は一向になかった。
この状況で、もし敵が多数集まっている中で遭遇したら、それだけでなく、この時代に来たばかりの獄寺や山本を重傷にしたγ程の敵が現れたら、いくら強くなったと言っても、ラルを守りながらの戦闘はどこまで通用するのか分からない。

「急ごうぜ、主要施設の破壊。」

戦闘だけでなく、ラルの体調も考えて、急いだ方がいいと獄寺が皆に声をかける。それにいち早く同意したのは山本で、作戦のために作られたルートを示したマップが入った端末を手にしていた了平にあとどれくらいで着くのか問うた。裏道だからと少し計算した了平はあと20分ほどはかかると答え、端末に映し出された、この作戦の目的である白くて丸い装置を見せた。

prev / next

[ back to top ]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -