リボーン複数主 | ナノ


▼ 標的139

5日後、ミルフィオーレ日本支部の主要施設を破壊すること。それが、この時代に飛ばされたツナ達に出された指示だったが、その指示を出した首脳陣に了平が働きかけ、日本のアジトの行動に関しては10年前のツナが決断を下すことで収まらせたことで、ツナは今日中に決断を下さなければならなくなった。

「中止の場合は首脳に俺が伝えにいく。しっかり頼んだぞ、沢田!」
「なっ!ちょっと…!」

プレッシャーに押しつぶされそうになるツナの肩を掴み、明るく言葉をかける了平。その勢いに押され、ツナは反論しようとしていた言葉を飲み込んでしまう。そのツナの様子を心配そうに見ていた由良だが、了平の明るく元気な大声で意識が逸れる。

「さーて、俺は極限飯食って寝る!!」
「そんな!困ります!!待ってください!!!」

ツナの静止の声もなんのその、聞く耳持たずでスタスタと部屋を出て行こうとする了平。その姿にツナは諦め、リボーンに向き直るが、1人、なんとしても了平を留まらせようとする人物がいた。

「待ってください!笹川先輩!」
「!川崎。」
「くるみ?」

黙ってツナ達の話を聞いていたくるみだ。両手を上げて歩いていく了平のスーツの裾を掴み、逃がさないとばかりに手前に引いて、了平の顔から視線を逸らさず見上げている。驚き目を見張る了平と、後ろで困惑しながらも不思議そうに自身の名前を零す由良の声を聞きながら、くるみは口を開いた。

「ここに来るまでに、由良ちゃんと何を話したんですか?」
「!」
「未来で、何が起こってるんですか?確かに、私たちだって守護者だけど、状況が分からないと、何も出来ません!」

教えてください!そう叫んだくるみに、了平は気まずそうに目を逸らし、閉口する。由良よりも事情を知っており、良平よりも話しやすいはずの山本も、くるみの名前を呟くだけで、未来で何が起こっているのか、彼女の大切な友人がどうなっているのか、説明しようにも、寸でのところで言葉が喉に詰まり、出てこない。
勿論2人とも、今後の作戦を考えれば、くるみにも、由良にも説明した方がいいということは理解している。しかし、了平はここに来るまでに自身の失言で由良を酷く傷つけてしまったことを気にし、山本はこの時代のくるみと話した時に伝えていたように、なまえに何かあった時に必ず無茶をするという確信があったからこそ、知りたがるくるみに伝えることを躊躇した。

「くるみ!ごめっ…」
「話したのか、了平。」

自分のあからさまな態度が原因でくるみに余計な気を遣わせてしまったと、由良が謝るより早く、リボーンの鋭く冷たい、固い声が了平を問い詰める。息を呑み、肩を跳ねさせてリボーンに視線を向ける由良、驚いたように目を丸くしするくるみに反応することなく、その大きくつぶらな黒い瞳は真っ直ぐ了平を射抜いている。対する了平は目を逸らし、すまない、と一言発した。

「てっきり、知っているものとばかり…」
「………………ま、事前に聞いてた情報があればそうなるだろうな。共有出来てなかったこっちのミスでもある。悪いな。」
「いや、構わない。」

了平の言葉に嘆息したリボーンは先程までの剣呑な空気を潜め、軽い調子に戻った後、困惑し、様子を窺っているくるみと由良に向き合った。

「由良、くるみ。今からお前達に話すことは、今までで一番辛く、苦しいものになる。それくらい、ショッキングな事だ。だが、お前達はツナの、ボンゴレ10代目の雪の守護者になった以上、それを乗り越えなくちゃならねぇ。だから………覚悟して、聞いてくれ。」

リボーンの言葉は、酷く重く、目に見えない何かに押し潰されそうになる程苦しいものに感じた。しかし、リボーンの言う通り、自分は半分ではあるものの、雪の守護者を担うのだ。生半可な気持ちで聞いてはいけないのだ。コクリ、と自分の不安や恐怖を息と共に飲み込んだくるみは、震えそうになる手を胸の前で押さえながら、頷いた。
対して、隣にいる由良は、リボーンの言葉を聞きながら、ぼんやりと少し前に了平から言われた言葉を思い出していた。
「みょうじのことは、残念だった…」
まるで、何かを惜しむように伝えられたその言葉は、最悪の事態を想像するのに、難くはなく、実際、先程ビアンキに確認した時も、同じような反応が返ってきたのだから、そうなのだろうと、信じたくはないが、確信を持っていた。それでも、自分はそれを乗り越えなくてはならない、というのはリボーンの言う通りなのだろう。ぐっと唇を噛んで、震えそうになるのを抑えるように拳を握りしめた由良は、同じようにリボーンに向き直る。

「受け入れるしか、ないから。」

いつの日か、骸から言われた言葉を自分に言い聞かせるように言いながら、くるみと同じように頷いた。それを認めたリボーンも同じように頷き、もったい付けずに言うぞ、と言い、口を開いた。

「この時代で、みょうじなまえは、約1ヶ月前に死んだ。」
「!リボーン!!」

咎めるように叫ぶツナに黙っとけ、と言い放つリボーン。2人のやり取りを、言葉を発することなく見ていた由良、くるみは瞳を大きく見開いて、息を呑んで、戸惑う声を零さないように抑えることに一杯一杯だった。

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