リボーン複数主 | ナノ


▼ 標的116

ツナ達が未来にやってきて約2週間が経過した。
漸く獄寺、山本の怪我も全快し、くるみの目も覚め、由良も動けるようになった。ツナの怪我はすでに回復しており、遂に過去からやってきたツナ、獄寺、山本の本格的な修業が始まろうとしていた。

「予告通り、本日より新しい修業、"強襲用個別強化プログラム"を開始する。」

トレーニングルームに集められたツナ、獄寺、山本、くるみ、由良の前で今までツナを見ていたラル・ミルチの言葉にツナが疑問を持つ。ツナの考えとしては、今まで自分を見ていたラルが主体となって自分とまとめて獄寺と山本も見るかと思っていたらしい。しかしそれでは個々の成長度合い、またそれぞれの戦闘スタイルもばらばらということもあり返って効率が悪い。そこでラルとリボーンが話し合った結果、リング争奪戦の時と同じように3人それぞれ1人ずつ家庭教師をつけ、鍛えることにしたのだ。

「例えば俺が鍛えるのは山本だぞ。」

リボーンの説明、そして最後の言葉に驚いたのは山本ではなくツナだった。普段のスパルタという言葉が軽く聞こえるほど厳しいリボーンが友人の家庭教師と知り、リボーンの実力を身をもって知っているとはいえ、友人がボロボロにされるのではないかと不安になり、大丈夫かと声を上げる。しかし当の本人である山本はよろしくなーとにこやかに笑っているだけだった。

「隼人の担当は私よ。」
「ビ、ビアンキー!?」
「ふげぇ!!」

そんな彼らの前に現れたのは京子やハルのフォローに入っている筈のビアンキで、ゴーグルも被り物もしていない状態で獄寺の前に出たため、姉の姿がもろに視界に入ってしまった獄寺はその場に蹲る。しかしツナがいる手前なんとか耐えてながら冗談だと思おうとしていたが、現実は無情だった。ビアンキは姉弟だからと嵐属性の波動が一番強いと相性がいいと結論付けて名乗り出たらしい。そしてこの修業が終われば獄寺に渡したいものがあるとも言ってきた。

「お父様からよ。」
「!」

ビアンキの言葉に動きを止めた獄寺だが、やはり耐えきれなかったのかうめき声をあげて倒れてしまう。そんな獄寺を心配したツナが声をかけるより早く、由良が獄寺の体を抱き上げる。

「由良!さん…」
「由良でいいって。獄寺は私も見ておくから、安心して。」
「えっ!?」

これまですれ違いが続き、漸く過去のツナと会えた由良だが、己以上に戸惑っているツナの様子に少し笑ってしまう。小さく笑って付け足して伝えた説明にまたもや驚いた様子のツナに、リボーンが説明を加える。

「炎が使えないと言っても、2人は腐ってもボンゴレの守護者だからな。お前らの修業には付き合ってもらうつもりだ。あくまでお前らの家庭教師は俺やビアンキだが、未来のお前らの戦い方をより間近で見てきたのは由良とくるみだからな。だから由良には獄寺、くるみには山本を見てもらうことにした。」

リボーンの言葉に合わせるように由良はビアンキの、そしてくるみはリボーンではなく山本の隣に移動する。これには山本も驚いたようで、ポカンと呆気にとられた様子だった。それを見たくるみはくすりと小さく笑みを零し、山本は照れ臭くなって咄嗟に目を逸らした。

「で、でも!やっぱり中止した方が…!」
「お前は自分の修業に集中しやがれ。」

なおも食い下がるツナに容赦なくリボーンが死ぬ気弾を撃ち込めば、ツナは吹っ飛び、次の瞬間、より迫力が増した超死ぬ気モードの姿となった。それに山本と意識を取り戻した獄寺が喜びの声を上げたが、くるみと由良は硬い表情で見つめていた。
今の彼には遠く及ばない。
その胸中は2人とも同じもので、それはこの10日間ツナの修業を見ていたラルも感じていたらしい。ツナに始めようと言われた彼女は指導を下りると言い、反論するツナにお前の力はこんなものではない!と強く主張した。
そんな言い合いをしているツナに突如ものすごい勢いで何かが突っ込んでくる。

「!!」

咄嗟にグローブに炎を灯し、その推進力で上に避けたが、ソレは避けたはずのツナを追いかけ、更にはツナがグローブの炎で防御していてもその勢いは衰えることなく凄まじい力でツナは苦戦する。そこにかかる静かな声。

「気を抜けば死ぬよ。」
「お前は!!」
「君の才能を、こじ開ける。」

ツナの眼下にいたのはヒバリで、よく見れば、ツナを攻撃しているのはヒバリが使っていた匣兵器でもあるハリネズミだ。ツナが苦戦している様子を見て、ヒバリもくるみ達と同じようにこの時代のツナとは程遠いとこぼす。それが聞こえていたからか、ツナは相手の死ぬ気の炎を吸収し、凍らせる零地点突破初代エディションを使うが、雲の炎の特性である増殖の方が一枚上手だった。外側に太い棘がいくつも突出している紫色の硬い雲がツナの周囲を取り囲み、零地点突破が追い付かない。

「!!」
「これって…」
「初めて見た…」

ツナを取り込んだまま大きな針を突出させた球体となったそれはズゥン、と土ぼこりを立てて落下した。中にいるツナの様子は誰にも分らず、皆がツナの安否を心配し、驚き声をかける中、由良とくるみは何かを知っているような言葉を呟いた。
球針態とヒバリが命名したそれは、絶対的遮断力を持った雲の炎を混合した密閉球体で、今のツナの炎と腕力では壊すことは叶わない。しかし内部の酸素量は密閉されていることで限られており、脱出しなければ死んでしまうというものだった。
勿論それに焦った獄寺、山本はヒバリに抗議の声を上げるが、ヒバリは聞く耳を持たない。

「第一沢田綱吉を殺す理由があっても、生かす理由が僕にはない。」

それどころか味方とは思えないほど冷たい発言をするヒバリに、抗議していた獄寺と山本の背筋が凍る。そんな2人に、リボーンがそろそろ修業を始めると声をかける。慌てる2人だが、リボーンはだからヒバリなんだと静かに言う。

「歴代ボスが越えてきたボンゴレの試練には、混じり気のない本当の殺意が必要だからな。」

その言葉に何かを感じ取るより早く、ビアンキが獄寺の至近距離で顔を見せたことにより強制的に気絶させられ、由良が運んでいく。それに心配して声をかけた山本も、リボーンとくるみが声をかけ、修業場所に連れて行った。

prev / next

[ back to top ]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -