リボーン複数主 | ナノ


▼ 標的108

ツナ達が京子、ヒバードの捜索の為アジトを飛び出していた頃、漸く日本に到着した由良は今まで共に行動していたビアンキ、フゥ太と別れ、1人住宅街を歩いていた。向かうは今朝方ヒバリも訪れていたこの時代のヒバリとなまえが暮らしていた家。
ツナが殺されたと知り、それから日本に来るまで敵の目を掻い潜りながらも出来るだけ集めた情報の中で1つ、確かめたいことがあったからだ。これが真実だとすれば、いずれ過去から来るだろうなまえに一言言わなければならない。
ここに来る少し前に回復し、本調子を取り戻した幻覚を駆使して敵から隠れつつ、難なく2人の家に着いた。

「っ………これは…」

辿り着いた場所は建物があったとは思えない程酷い有様で、家のほとんどの物が壊され、地面に積み上がっている瓦礫と化している。かろうじて残された建物の枠組みもその9割が焦げて真っ黒になっており、今にも崩れそうだ。
あまりの惨状に顔を顰め、それでも建物内に足を踏み入れる。瓦礫に躓かないようバランスも考えつつ進むが、ついいつもの癖でヒールのあるブーツを履いてきてしまったことを後悔した。

「ふぅ…」

一通り見て息を吐いた由良は、今度は深い溜め息を吐き出した。はぁ〜と吐き出される音は息だけのはずなのに低い声も混じっているように聞こえ、由良の顔にはビキリと青筋が立っている。

「あんのバカ…!」

苛立ちを隠すことなく一言吐き出すと、くるりと踵を返して歩き出す。
その足は真っ直ぐとビアンキ、フゥ太が先に向かっていたボンゴレ地下アジトに進んでいた。


所変わってボンゴレ地下アジト。ツナ達を見送ったくるみは昨日皆で食事をした部屋で、不安げな表情で京子の身を案じているハルの背を撫でながら、気づかれないようそっと目を伏せた。椅子に座っている2人の下の方では、事情を把握出来ていないランボとイーピンが走り回り、はしゃいでいた。

「ねぇねぇ京子はー?」
「!ランボちゃん…」

不安そうにしていたからか、それとも純粋に気になったのか、ランボがくるみの服の裾を引っ張って聞いてきた。それに反応したハルはランボの名前を呟くと、ぺちんと自分の頬を叩いて立ち上がる。

「京子ちゃんはツナさん達とかくれんぼをしてるんです。ハル達は、ツナさんが京子ちゃんを見つけてくるまで待ってるのがミッションですよ!」
「おもしろそうだもんね!ランボさんいっちばーん!」
「!ランボ!ダメ!」

色んなことに興味津々で、特に遊びやおやつという言葉に目がないランボが飛びついても危険な目に遭わないようにする言葉を選び、2人が不安がらないように明るく振る舞うハルの姿にくるみは驚き、悲しげに笑んだ。視線の先には元気になったように見せるハルがランボやイーピンと笑って話している。くるみはハルの心情を察してグッと拳を握りしめ、何事も無かったかのように近づいた。

「みんな、京子ちゃんが戻ってくるまでただ待つだけだと退屈でしょう?京子ちゃん達が戻ってきた時に喜んでもらえるようなことしよう!」

にこやかに声をかければ、3人とも首を傾げるが、京子達が喜ぶという言葉を信じ、すぐに表情を変えて頷いた。

「よし!じゃあまずは皆手を洗って、エプロンを着よう!」
「はい!」
「分かったんだもんね!」
「ーー!」

くるみの言葉に意気揚々に返した3人ははしゃぎながら手を洗いに行った。そんな3人、特にハルの様子を注視したくるみは1人頑張ろうと気合いを入れ直し、意気込んだ。

「お。美味そうな匂いだな。」
「!リボーンちゃん!」
「あ!リボーン!ちねぇ!」
「あ!ダメだよランボくん!」

作業を始めて暫く、ランボやイーピンのフォローをしつつ、それでも手を休めずに続けていればハルもくるみも幾分か気が紛れ、いつの間にか没頭していた。背後からリボーンが声をかけるまで気づかずにいたようで、驚き振り向いた彼女らの顔にリボーンは内心安堵する。
先程冷静に話してはいたものの、やはり巻き込まれてしまったハルや、以前より思い詰めることが多かったくるみが気になっていたのだ。まだ不安はあるだろうが、ひどく思いつめている訳ではなさそうな2人にニッと笑ったリボーンはくるみについて来るよう言う。

「?うん。分かった。あとは仕上げだけだから、ハルちゃんお願いね。」
「悪いな、ハル。」
「大丈夫です。任せてください!」

にこりと笑って答えたハルにもう一度謝って、くるみはリボーンと共に部屋を出た。扉が閉まり、リボーンを抱えて指示された部屋に向かう道中リボーンから話を聞く。

「さっきツナ達が戻った。京子はラルが連れて戻るらしくてもう暫くかかるみてーだ。」
「そっか、京子ちゃん無事だったんだね…ヒバードの方は?」

ホッと安堵の息を零したくるみは、ヒバードの捜索に向かった2人、正確には山本を思い浮かべながら問いかける。リボーンはアイツらはな、と言葉を区切り顔を下に向ける。

「γと遭遇しちまってコテンパンにやられて今医務室だ。」
「!っ……そ、っか…」

リボーンの言葉に一瞬立ち止まったくるみは絞り出すように言って動き出した。どうやら今2人が向かっているのは山本と獄寺がいるという医務室のようで、個室を使っているからかツナとくるみでそれぞれの様子を見てもらいたいとのことだった。くるみは分かったと頷くが、その表情は暗く、それ以上何も話すことなく静かに獄寺の医務室にリボーンを送り届け、1人で山本がいる医務室に向かった。

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