リボーン複数主 | ナノ


▼ 標的107

けたたましい警告音を発していたのはミーティングルームで、急いで向かっていたくるみと山本は途中同じく駆けてきた獄寺、ラルと合流し、部屋に駆け込んだ。何があったのかというラルの問いに答えたのは先に部屋にいたツナで、どうやらヒバリの鳥、ヒバードから救援要請を受信したらしい。ラルが場所の特定をする為にジャンニーニに解析を頼むが、7丁目を移動している途中でどんどん高度が下がり、反応が消えてしまった。

「消滅した場所には何があるんだ?」
「待って下さいね、今出しますんで。」

あのヒバリからのSOS、更にそれが消えてしまったということで只事では無いのではと焦るツナ達に代わり、リボーンが冷静に場所の特定を急がせる。少しして解析が終わったようで判明したのは並盛神社。

「信号が弱まっていたので、単に発信機のバッテリーが切れたのかもしれません。」

解析を行っていたジャンニーニの予想に確かにそうかもしれないと、あのヒバリがSOSを出すなどという思いから考えつくが、その後のリボーン、ラルの言葉に一気に場に緊張が走る。

「もしくは敵に撃ち落とされたのかもな。」
「敵の罠ということもある。」
「!」
「罠ー!?」

様々な可能性が示唆され、そのどれも確信が持てないためかツナは一体どうすればいいのかと狼狽える。しかしいずれにせよ、ヒバリの唯一の手がかりを逃す訳にはいかないと地上に出るべきとリボーンが結論づける。だが現状は地上の敵が余りにも多く、更に隊長レベルのリング反応もあることから、迂闊に外にでる事は憚られる。

「γだな。」
「ガンマ…?」

リングの反応とジャンニーニの推測に該当する人物名を言ったのはラルで、初めて聞く名前にツナ達は疑問をぶつける。

「お前たちの戦った第3アフェランドラ隊隊長、電光のγ。」
「相当な実力者で、名のある殺し屋だったりマフィア幹部を何人も殺したって聞いてるよ。」
「そ、そんなヤバい奴が…!?」

青ざめるツナに、くるみはかける言葉なく目を伏せる。確かあの男も、あの席にいたはずだ。
不安がるツナに声をかけたのは獄寺と山本で、ツナに内緒で特訓していたからと安心させるように言う姿は頼もしさを感じる。しかし、この時代で嫌という程戦ってきたくるみからすれば、2人の強さは精々下っ端の相手が出来る程度で、隊長クラスまでは程遠い。だからこそ原作でγに負けたのだ。

「ツナさん!!」
「ハル!」
「ハルちゃん…」

その時、ハルが血相を変えて部屋に飛び込んできた。ヒバードの件だと思っているツナ達と違い、状況を理解しているくるみは今この場にいない京子のことを頭に思い浮かべた。
その考えが合っているとでも言うように、タイミングよくハルが京子がいないと叫ぶ。疑うように聞く山本、獄寺に対し、京子の書き置きがあったと答えたハルはその内容をそのまま読んだ。

「一度家に行ってきます。ランボ君達のおやつも貰ってくるねって…」

内容を聞いたツナ達は絶句し、信じられないと言うように声を零す。しかしリボーンとくるみは心当たりがあった。

「よほど了平の事が心配だったんだな。」
「昨日の夜、私もどうしてるか聞かれたけど、確かに様子がおかしかった気がする…」
「はい…思えば京子ちゃん、昨日途中から急に元気なくなって…」

くるみやハルの言葉に気づけなかったとショックを受けるツナは焦りどうしようと狼狽えるが、ラルがそれを落ち着かせ、ヒバリの事もあるから総合的に判断すべきだと言う。
そこから始まる話し合いはツナがまるで作戦会議のようだと思う程、まるでドラマや映画のような真剣なものだった。

「この場合、最優先事項は京子を連れ戻すことだな。その次にヒバードの捜索だ。」
「京子ちゃんがまだ敵に捕まってないとしても、今はまだ戦闘を避けないと。」
「ああ。敵に見つからぬよう少数で連れ戻すのがベターだな。」
「それはヒバード探索にも言える。少人数で動いた方がいいッス。」
「んじゃいっそのこと二手に別れて両方いっぺんにやるってのはどーだ?」

元より闘いに慣れている、慣れてしまったリボーンやラル、くるみに加え、頭脳派な獄寺、感覚的ではあるが才能のある山本がそれぞれ意見を出し合っていけば話は纏まっていく。ツナが怪我をしていることも考慮していたが、全員方針を決定することはせず、この場で決定権を持つツナにどうするか委ねる。皆に言われ狼狽えていたツナはえっと…と口を開く。

「じゃあ俺も行く!京子ちゃんとヒバード、両方一緒に進めよう!」

ツナの決定に頷いた5人は準備を進めようと動き出す。その中で、ツナはラルに細かい作戦を考えてほしいと言い、リボーンは山本に声をかけた。くるみはツナにくっついたハルのことも気にかかっていたので場に残り、無意識にリボーンが声をかけた山本の方に向かう。

「お前武器持ってねーだろ。」
「あ…」
「まーな。」

リボーンの言葉に気づいたくるみは声を上げたが、山本は気づいていないようでリボーンに現状持っている武器について整理するよう説明する。今山本が持つのは10年後の山本が使っていた匣が2つ、そして練習用の刀が一振。山本が未来に飛ばされる直前持っていたのは時雨金時ではなくただのバット。練習の為に持っていたものだけだ。
そんな山本にリボーンがアジトの中から見つけたという時雨金時を投げて渡す。10年後の山本は今使う雨系リングと相性が悪かった為使わずしまっておいた。しかし持ち歩きはせずとも手入れ等はしていたので充分使える。

「ボンゴレリングとの相性はまだ未知数だ。使うかどうかはお前が決めろ。」
「リングを使うようになった時、もうボンゴレリングは壊してしまっていたから、時雨金時との相性がどうかは分からないんだけど、きっと大丈夫だと思うよ。この時代の武は、たぶんイケると思うからってぼやいてたし…」

リボーンとくるみの話にそっかと返し、暫く考え込んだ山本はニッと笑う。

「連れてくわ。俺は親父の…時雨蒼燕流の後継者だからな。」

山本の言葉、そして表情に何も言えないくるみはグッと唇を噛んだ。その間にツナがラルと話し合って決めた作戦を説明する。

「俺とラル・ミルチで京子ちゃんを追う。獄寺君と山本でヒバードを探してほしいんだ。」
「山本とスか…?じゅ、10代目の命令とあれば喜んで!!」
「すっごい嫌そうな顔してるけど…それよりもツナくん、私は?」

ツナの決定はラルと話したものだけでなく、これまで過ごした2人との関係性を鑑みたものでもあるのだが、それでも納得いかない様子で獄寺が声を振り絞って出していた。それに戸惑ったツナだが、フォローを入れるより早く、どちらにも呼ばれなかったくるみが聞いたことで意識が逸れた。

「あ…くるみちゃんはハルとここで待っててほしいんだ。ランボ達もいるし、ハルだけじゃ大変だろうから。」

それに、炎を使うとくるみちゃんは…
その言葉はツナの心の中に留めていたが、くるみは気づいていた。
確かに火力だけで言えばこの場で一番強いのはくるみだが、炎を出した後のことを考えるとくるみはまだ出るべきではない。それはラルもリボーンから説明を受けた際感じており、更にリボーンはくるみが現在こうして動けるようにする為に雨の炎で痛みを抑えていることも知っていた。これらを考え、ラルはツナにくるみを待機させるべきと進言したのだ。勿論ツナも、昨日くるみから少し説明を受けていたので元から入れるつもりはなかった。
詳細は知らずとも、仲間を第一に考えるツナのことは理解しているつもりだった。その為くるみはやっぱりそうなるか、と諦めたように笑って分かったと頷いた。

「みんないってらっしゃい!」
「お気をつけて!」

くるみ、ハルの言葉を背に、4人はそれぞれ駆け出した。

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