リボーン複数主 | ナノ


▼ 標的97

くるみ達が近づく頃にはだいぶ落ち着いたようで、どうしてこうなっているのか、ここはどこなのかという事を話していた。そんなツナ達の疑問に対し、リボーンが山本にモニターに映せるかと聞き、全員の目が壁面に設置されたモニターに向かう。
映し出されたのはどこかの住宅街。しかし現在、夜中ということもあって暗くて分かりづらい。未だ疑問符を浮かべるツナと獄寺に、これなら分かるだろうとパッと画面を切り替える。

「な、並中ー!?」

映し出された自分達の母校(ツナ達からすると通学している学校だが)を見て、自分達が今どこにいるのか分かったツナ達は驚きつつも、知っている土地にいるということもあってか少し緊張が解れたようだった。しかし、それを再び引き締めるかのようにリボーンが厳しい言葉を告げる。

「過去に戻れない以上、ここで起こってることは、お前たちの問題だぞ。」
「!俺たちの…」

息を呑むツナ達に、リボーンに続いて山本、くるみが話し出す。

「現在、全世界のボンゴレ側の重要拠点が同時に攻撃を受けている。」
「勿論ここでも、ボンゴレ狩りは進行中だよ。」
「ボンゴレ…」
「狩り…?」

不穏な言葉に戸惑うツナ達に、リボーンがこの時代のツナが入っていた棺桶の事を話した途端、獄寺が目を吊り上げて山本に向かっていった。その行動が分かっていたから、山本の前にすぐさま飛び出し、目を瞑ったくるみだが、その肩に大きな暖かい手が触れ、ぐっと後ろに引っ張られる事で目を開く。次の瞬間、ガッ!と頬を殴られる山本の姿を捉えた。

「!武っ!」
「獄寺君!」
「てめぇら何してやがった!なんで10代目があんな事に!」

獄寺の責める言葉に、殴られた山本も、慌てて駆け寄ったくるみも押し黙る。

「ごめん。」
「すまない。」

口をついて出た言葉はそれだけで、勿論聞いた獄寺は謝って済むわけがないだろうと激昂するが、リボーンにお前も同じだったのだと宥められ、項垂れる。獄寺と、やり取りを見て困惑するツナにくるみが言葉をかけようとする前に、リボーンがミルフィオーレの脅威について説明し、話を進めてしまう。くるみが沈んでいる間、山本も補足するようにリボーンの話に説明を足していく。

「奴らの目的は、ボンゴレ側の人間を一人残らず殲滅することだ。」
「!つ、つまり、過去から来た俺達も危ないってこと?」
「それだけじゃねーぞ。お前たちと関わりのあった人間も的にかけられてんだ。」
「!」
「そ、それって…!」

リボーンの言葉に無意識に手を強く握り締めるくるみに、そっと上から山本の手が乗る。同時に驚き狼狽えるツナ、獄寺にリボーンは続けてまだ希望はあると言って落ち着かせていた。
リボーンは2人の様子を見てから、山本にこの時代の守護者の安否について再度確認する。全員音信不通となっているが、死んだという情報は誰一人として入っていない。それが分かるとやることは一つだとツナに向き直る。

「ツナ。お前はちりぢりになった8人の守護者を集めるんだ。」
「えっ!?」

驚き声を上げるツナに、リボーンは淡々と歴代ボスもそうしてきたんだと言って聞かせる。勿論守護者だけでは数で見れば圧倒的に不利で、不安がるツナにリボーンは確信を持ったように守護者しか渡り合える実力者はいないと言った。

「この時代の戦い方は特殊だが、だからこそお前たち9人にも分があると俺は思ってる。」

その言葉にピクリと反応を示すくるみに気づいたのは手が触れている山本だけだ。目を向けると自分を責めるように顔を歪めている。そんな彼女に言葉をかけるのではなく、手に少し力を込めることで大丈夫だと伝え、それが分かったのか山本を見たくるみの表情が和らいだ。

「それより、俺達の知人もボンゴレ狩りの的になるって言ってたけど…それって母さんや京子ちゃん達も入ってんのか!?」

リボーンの言葉に安心するよりも、ツナの頭はマフィアとは無関係のはずの母や友人らのことでいっぱいだった。その心配をそのままリボーンにぶつけたが、返ってきたのは恐らくそうだという最悪の答え。焦るツナにリボーンは手はうってあると言って次いで山本も、今はいないここにいたはずのランボやイーピンを京子、ハルの捜索に向かわせたと説明し落ち着かせる。説明を受けたツナも、聞いていた獄寺も、そういえばこの時代ではランボもイーピンも成長していたのだったと気づく。

「ビアンキとフゥ太、神崎は情報収集に出ている。」
「姉貴達は無事なのか!?」
「今のところはね。」

くるみの言葉にひとまず安堵したように息を吐いた獄寺を見て、違和感を感じたが、それはすぐに追いやった。他の仲間だが、と次いで話した山本は、話しながらもぐっとくるみに触れている手に力を込める。気づいたくるみは山本を見やり、ちょうどその時山本が言葉を区切った。

「10年間にできた知人の殆ども消された…」
「山本の親父も…」

山本に続いて話したリボーンが1度言葉を区切りくるみを見て、またツナに向き合った。

「なまえもな…」
「っ…」
「!そ、そん、な…」

ツナと獄寺は信じられない思いでくるみと山本に視線を向けるが、くるみは顔を俯かせたまま、上げられなかった。
ああ、あの話は本当だったのか…
頭の中に浮かぶのはそんな言葉で、心のどこかは酷く落ち着いているような心地でいた。しかし、山本といつの間にか繋がれている手は山本の手を折らんばかりにギリギリと力が込められている。

「くるみちゃん…!」

なんと声をかけたらいいのか、しかしこのままでは山本の手が大変なことになるのではと焦ったツナが呼びかけた。ツナの声に気づいたくるみはようやっと山本の手を解放し、ツナにへらりと笑って見せた。

「ごめんね!驚かせちゃった…!2人とも色んな話聞いて疲れたでしょ?今日はもう遅いし、また明日、この人の話も聞きながらこれからの事決めていこうよ!」
「でもっ…」
「それもそーだな。お前ら今日はもう寝ろ。今後についてはまた明日話すから、寝坊すんなよ。」
「ちょっ、リボーン!」

ツナがくるみに何か言うよりも早く、同意したリボーンが山本にツナ達を部屋に案内するよう言ってしまった為、ツナは抗議の声も虚しく山本に連れられて部屋を出ていった。部屋を出る間際、ツナの気遣わしげな目線を感じながらもくるみはまた明日とにこやかに手を振った。

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