しゅごキャラ夢小説 | ナノ

5話


ガーディアンの総会は、正直退屈。隣に座るあむはそうでもないみたいだけど。今も、さっきのことで後悔していたのが嘘のように、目を輝かせて辺里君の方を見ている。話している内容は制服のアンケートに関してなんだけど。でも辺里君はすごいな。同じ学年なのに、こうやってまとめて話すことが出来て。私やあむとは全然違う。教室よりもちょっと雰囲気違うけど、大勢の前で話すのに、堂々としててすごいな。


「はい!さっきはごめんなさい!あなたが好きです、王子様!」

「………………あむ…?」

「えっ、何、今の…」


意見がある人は手を挙げてとは言われたけど、あむが言っていたことは、今話していることと全く関係の無いことだ。それよりも、普段のあむなら、こんな風に目立つようなところで変な発言をする子じゃない。しようと思ってもできない。それなのに、いきなり手を挙げて発言するなんて、どうしたんだろう。ひょっとして、今朝の様子と何か関係してる?


「今は総会中です。議題に関係の無い発言は、慎んでください。それと、僕には好きな人がいます。ごめんなさい。」

「っ………」

「あむ!」


辺里君の返事を聞いた瞬間、鞄を持って飛び出していったあむ。隣で見ていた私も、思わず追いかける。とにかく、追いついて、落ち着かせて、しっかり話を聞こう。何があったのか。今朝、ずっと言いたかったはずなんだから、話してくれる。私で解決できるかわからないけど、さっきのことを慰めるくらいなら、できるはず。


「穴ぁあああああああ!?」

「あむ!?」


今朝から行われていた、校門前の工事の穴に、おそらく落ちてしまったであろうあむ。無事に追いつけそうだと思って安心し、少しスピードを緩めて走る。あむの様子みてから、工事の人に助けてもらおう。さすがに私も落ちそうだし。そう思って穴に近づくと、穴の中にいたのはあむだけではなかったようで、背の高い男の子がいた。

あむの下敷きになっていたかと思えば、あむに抱きついた。え、あむの知り合い?と思って見れば、あむも動揺している様子で、絶対知り合いじゃない。


「あむ!大丈夫!?」

「あめ!大丈夫、じゃない!」

「待ってて!今工事の人、呼んでくるから!防犯ブザーないの!?最近変質者多いって聞いてたよ!」

「わ、忘れた…」

「あむ…」


私1人ではどうしようもできないと思って、とりあえずあむに声をかけて工事の人を呼ぼうとした。防犯ブザー忘れたあむには、あとで説教をしよう。今決めた。あの男の子、何か持っていた気がするけど、なんだったんだろう。


「ぇえええええええええええ!?」

「あむ!?」


工事の人を探していると、いきなり叫び声が聞こえてきた。見ると、あむが空高く飛び上がっていた。思わず叫んだ。朝から叫びっぱなしだな、私たち。でもしょうがないと思う。工事の人を探すのをやめて、あむの元へ向かう。

そしてとっても危ない電線の上に、あむは着地していた。あむ、そんなにバランス感覚よかったっけ?っていうか、そこ電気通ってるから感電死しちゃう。そう思って声をかけようとすると、先程の男の子がものすごい速さであむに近づいた。別の意味であむが危ない。
あむの近くに行こうとした途端、あむが乗っていた電線が切れて、あむが落ちそうになった。悲鳴を上げながら落ちるあむを、ただ見るしかできない私。
そんな私の目の前に、強い光を放つ物が向かってきた。と、思ったら、次に見えたのは青い空と、白い雲、と色とりどりの屋根。


「えっ…」

「生まれたてを狙うのはルール違反だ、泥棒猫。」


頭がついていかず、固まっていると、下から聞き慣れた声が聞こえた。見てみると、辺里君があむを抱えて、こちらを見ていた。え、なんで私を見ているんだろう、とか、私泥棒してない、とか思ってたけど、だんだん状況が理解できてきた。うまく動かない頭を動かせば、さっきの男の子の顔が、すごく近くにあった。あと、地面に足がついている感じがしなくて、膝裏と、肩あたりになんか変な感触があるということは、つまり…


「よぉ、お子様キング。」


この人が、私を助けてくれたんだ。きっと。

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