Episode 25





「神羅をつぶすチャンスらしい。」

「勘違いするなよ。
神羅は生まれ変わる、私の手で。」


仲間を逃がして、ルーファウスを追い詰める。
後ろに踏み出せば真っ逆さま。
やったか、と思った瞬間、奴はヘリコプターに捕まって逃げてしまった。


くそ、あと1歩だった。


どうにか攻撃できないかと奴を見上げるが、
その途端、銃撃が浴びせられる。
咄嗟にバスターソードで防いだはいいものの、相手はヘリに積まれたマシンガン。
ついに足元が崩れて、落ちかけた俺は咄嗟に飛び出た鉄骨を掴んだ。


このまま落ちれば、命はない。
だが先の戦闘のダメージがあり、思うように腕は動いてくれない。
グローブが滑って、ずる、ずる、と落ちていく。


もう駄目か。

そう思った時だった。



「クラウドーーー!!!」


ついに滑り落ちた俺の手を咄嗟に掴んだのは、ここに居るはずの無いナマエだった。








「ナマエ!?」

ビルの屋上にどうにか辿り着いて、目に入ったのは銃撃に押されるクラウドの姿だった。

こんなに全力で走ったこと無いくらいのダッシュで、落ちたクラウドの元へ走る。


クラウドーーー!!!!と死に物狂いで叫んで、その辛うじてぶら下がる彼の腕を掴んだ。


「んぐぬぅっ」

間抜けな声で彼の腕を引き上げようと力を入れる。

だが、たかが会社員の女ひとりの力だ。
大剣も一緒のクラウドを引き上げられるはずが無い。


「ナマエ、無理だ!離せ!」

「ぃぃいいやだ!!!!」

「ナマエまで落ちるぞ!」

必死な顔で、クラウドが私を見上げる。
それでも、私は離す気なんて無かった。
だって、

「クラウドだって……私と一緒に落ちてくれた!!」

「あの時とは状況が違う、分かってるのか!」

「うるさいっ!!!!」


もういい、どうにでもなれ。



「好きな人を、見殺しに出来るわけないでしょ!!!!」

「好っ……!?」


もうだめだ、落ちる。


そう思った途端、誰かが私の足を掴んだ。


「ナマエ、クラウド……!!」

「ティファ!?」

「ふたりとも、かっこ悪いぞ……ヒーローなのに……!!」





「クラウド、ティファ、これからどうするの?」

どうにかクラウドを引き上げて……というか、ティファに私たちを引き上げて貰って、膝の砂埃を払う。


「エアリス達が下で待ってるの。
迎えに行かなくちゃ。」

「エアリスさんが!?」

「古代種の生き残りだと連れてこられていたんだ。
俺たちは、それを助けに来た。」



エアリスさん、古代種……ちょっと、考えることが多い!


「とにかくよく分かんないけど、エアリスさん達はどこに!?」

「もうビルを降りているはずだ」

クラウドがティファに頷く。


「うん、もう無事に着いてるはず。
でも、ここからどうやって降りよう?
きっとエレベーターは止められてるし……」


どうしよう。早く助けに行かないと。

知恵を急いで巡らせて、はっと思いついた。



「クラウド、ティファ、運転できるよね。」









- ナノ -