Re;Project
お姫さまのお遊戯
「nameちゃん、それは…?」

彼女が胸に抱きしめているものは、抱きしめるとゴツゴツとした感触が気持ちいい、ボクのお気に入りのポケモン・ダンバル。

「あぁ、これ?可愛いでしょー!」

でも、nameちゃんの胸にあるダンバルはゴツゴツした感触がなさそうで、ピカピカに光る鋼鉄のボディでもない、鋼の特徴を失っているような…。

「ダンバルの抱き枕ー!ミナモデパートで見つけてねー!」

うーん、ボクは確かにダンバルが好きだ。ダンバルを抱きしめた時のゴツゴツした感触とボクを拒絶するかのようなひんやりとした質感がお気に入りなんだけど…。

「硬いダンバルを抱き枕にするって斜め上の発想!」
「んー、でもねnameちゃん」
「ん?なに?」
「確かにダンバルは可愛いよ。でも、本物のダンバルは鋼タイプ特有の硬さと光沢があってね、ボクはその硬さと光沢が好きなんだ。抱きしめた時のゴツゴツと、触れた時のスベスベツルツル感が好きなんだよね。だからダンバル抱き枕は、はっきり言ってあまり嬉しくないんだよね…」
「ふーん、そう。別にダイゴのために買ってきたわけじゃないし」
「へ?」
「これを見せてダイゴが気に入ったようだったらあげよーって思ったけど、まぁ予想通りっちゃ予想通りの反応だし、あたしがたくさん可愛がるからー」

あれ?え?へ?これってちょっとご機嫌斜めになっちゃった?
nameちゃんはくるっと後ろに振り向いた。彼女の前ではボクのダンバルがふよふよと浮かんでいて自分とそっくりの抱き枕に興味津々だ。

「あ、ホントにね、あたしが欲しくて買ってきたものだからそんなに深く考えないでね。ダイゴがそういう反応するってわかってて言ってみたあたしが悪いんだから」

ダンバル見て見てー、とボクのダンバルに抱き枕ダンバルを見せている。自分とそっくりの抱き枕に不思議がるダンバル。だけど敵対心は抱いてないみたいだ。なぜならボクのダンバルはちょっとだけ血の気が多いんだけど、今は攻撃する素振りを見せないから。

「ふーん…」

断然本物のダンバルが可愛いのに、nameちゃんってばぬいぐるみにデレデレしちゃって。


* * * * * * *


「おやすみーダイゴー」

ボクの家にダンバル抱き枕が来てからというものの、nameちゃんは寝るときにダンバル抱き枕を抱いて寝ている。もう今日で3日目、かな…?

当然、ボクは蚊帳の外だから、ご無沙汰なワケで。

「ねーnameちゃーん!」
「なーにー?」
「ダンバル抱き枕ばっか構ってさ、たまにはボクにも構ってよー!」
「えー。だってこのダンバル柔らかくて気持ちいいんだもーん。でもダイゴは嫌なんでしょ?ダンバル抱き枕」
「うっ…」
「当分この子と一緒に寝るから、しばらくお預けね」
「えっ」

そりゃないよnameちゃん!ボクが我慢できないってこと知っててそう言ってるでしょ!酷いよnameちゃーん!


お姫さまのお遊戯

(ボクだってダンバル好きだけどさー…グスッ)
(だって、今しよって言われてもできる状態じゃないし…)
PREVTOPNEXT
- ナノ -