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アテンション!甘過ぎる恋
「クリスマスはどうしよっか?」
「とりあえず外には出たくない」

え…い、今なんて…?

「だってクリスマスなんてどこ行っても人多いし寒いし」
「でっ、でもほら、キンセツとかミナモのイルミネーションとかさ」

nameちゃんはこう…どこか冷めてるというか、あまりクリスマスには興味がないみたいだ。キレイなイルミネーションを大好きな恋人と一緒に見たいのは、普通の女の子だったら誰もが憧れること。なのに!

「だってクリスマス当日は絶対に混むよ?人混み嫌いだし…」

うーん、確かにゆっくりイルミネーションは見れないけどねぇ…もっと恋人らしいことをしたいと思うのはボクだけ?nameちゃんはボクとこういうことしたくないのかな?あ、人混みが嫌いって言ってるけどnameちゃんは引きこもりじゃないからね!ただちょっと変わってる子。そんな感じ。本当は人懐っこくて明るい子なんだ。

「あ、ダイゴのコーヒーなくなってるじゃん。煎れてくるね」

2人で色違いのマグカップ。ボクのカップにはコーヒー、nameちゃんのカップには紅茶。それぞれ無くなっちゃったから、カップを持ってキッチンに入っていった。

「はぁ…」

さてどうしようか。別に、イルミネーションに特別な仕掛けがあってnameちゃんをビックリさせることはしないけど、悲しいなぁ。
じゃあクリスマスはどうやって過ごそうか。出掛けるのがイヤならここで過ごすしかないよね。飾り付けしてケーキを食べてお酒飲んでそれから…ってこれじゃいつもと変わらないよ。
nameちゃんがここまで冷めた子なんて知らなかったなぁ…。

「ダイゴ……」
「ん?どうしたの?」

煎れたてのコーヒーは香りがいい。ここまで香りがするということは、彼女がすぐそばにいるってことだ。

「ダイゴ、あのね…」

テーブルにカップを2つ置いて、神妙な顔でボクに話し始めた。人混みはどうしても苦手でイルミネーションは見に行けないってことを訴えてくるのだろうか。

「えっと、その…」
「いいんだよ、無理強いはさせるつもりはないからさ。苦手なものは苦手なんだししょうがないよ」

…ちょっと冷たかったかな?でもイルミネーションを見たいのは事実だし、ここで過ごすクリスマスなんて普段と変わらないし。

「ち、違うの!イルミネーションは見たいよ!だけど、さ…」
「……」
「その…そんな人が集まるところに行ったらさ、ダイゴは有名人なんだし、たぶんいっぱい女の子が集まって来るでしょ…?」
「あ」
「だからね、2人でゆっくり見られないからさ、クリスマスはここで2人っきりでゆっくりしたいなぁって…」

かかかか可愛い!それって女の子たちに嫉妬してんの!?うわぁそうやって目を伏せて顔を真っ赤にしてるとこ可愛い…!

そうかすっかり忘れてたよ。たまにnameちゃんと行くデートで『ダイゴさんですよね!?』って、nameちゃんがいるにも関わらず女の子たちが集まってくるから…。そうか、女の子がたくさん集まるイルミネーションに行ったらなおさらそうだよね。
いやぁそれにしても、いつもボクに群がる女の子を見ても平気な顔をしてるnameちゃんが、実は嫉妬しててくれたなんて…。

「確かにここだとやることはいつもと一緒だけどさ、ぅぐっ!」
「なーんだ、nameちゃんって実は女の子たちに嫉妬してたんだね!」

そ、そういうワケじゃない!って、ボクの腕の中でジタバタしてるけどバレバレだからね。耳まで赤いし、nameちゃんは照れを隠す時はボクと目を合わせないもんね。ホントに可愛い生き物め!

「ダイゴー!」
「そうだね、やることはいつもと変わらないし何か新しいことしてみよっか!例えば…コスプレとかさ」
「コス…!」
「あ、もちろんコスプレはnameちゃんだけだからね!」
「はぁ!?なんで!?」
「だって家で過ごすクリスマスはnameちゃんのわがままでしょ?だからボクはここでわがままを言わせてもらおうと思ってー」
「な…っ」

さぁどんな格好をしてもらおうかなー?サンタさんは確定だけど、布が少なめのサンタにしようかな?ミニスカサンタとか絶対可愛いよね!うん、そうしよう!

なんだかボクの計画していたクリスマスよりも楽しみになってきた。頭をポンポンと撫でてあげてるこのnameちゃんが一体どんな格好になるのかも楽しみだけど、ボクからのプレゼントでどれだけ喜んでくれるのか。実はそれが1番楽しみだったりする。


アテンション!甘過ぎる

(サイズ大丈夫かな…)
(なによ!確かに太ったけど服のサイズは変わってないんだからね!)
(あ、いやぁ、そういう話でもあるんだけどそういう話でもないんだよね)
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