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どうか切れない赤い糸を
「うー、さむっ」

ホウエンは暖かいからいいよねーなんて誰が言ったのだろう。そんなことは断じてない。ホウエンだろうがシンオウだろうが冬の夜は寒い。シンオウの人達が想像するような格好で歩けば間違いなく風邪をひくし、笑い者になる。ここトクサネも例外ではない。夜出歩くにはコート、手袋、マフラーは必需品だ。

今日は星空がきれいだ。だから「星を見よう」なんてボクが誘ったんだよね。

「さむいー!」

白いダッフルコートを着たnameちゃんがそう言いながらドアをバタンと閉めた。白のダッフルコートによく映える赤チェックのマフラー。マフラーで顔が半分隠れてる女の子は可愛いって言うけど、nameちゃんは一段と可愛い。寒さに耐えるとこがいいというか、守ってあげたくなっちゃう。

はーっと吐息で手を温めてる。あれ?手袋持ってないのかな?

「nameちゃん、手袋は?」
「あ…持ってない…」
「そっか。綺麗な手が霜焼けになったら大変だ」

ボクのはめてる片方の手袋を彼女の右手にはめてあげる。ボクがはめてたからちょっとは温もってるはずだ。

「でもダイゴが」
「だからこうすればいいよ」

nameちゃんの左手を掴むと、さっき吐息で温めていたからか微かに温かかったけど、すぐにボクの体温で上書きした。それから指を絡ませるように手を繋いでボクが着ている黒いPコートの右ポケットに、一緒に手を突っ込んだ。

「どう?」
「うん、暖かい…」

こうすると密着度が上がるし心拍数が高まって、ドキドキしてさらに暖かくなれる。これは、大好きなnameちゃんだからこそ。

「ホントに星がキレイね」
「トクサネは空気が澄んでるし明かりがあまりないからね。海に行ったらもっとキレイに見えるから行ってみない?」
「んもー。風邪ひいちゃったらダイゴに看病してもらうからね」
「ふふ、仰せのままに」

冷たい唇にちゅっとキスをすれば顔がほころんで幸せな顔に変わっていく。嬉しいな、こうやってボクのすることに喜んでくれるなんて。ボクも笑顔になっちゃうよ。

ポケットの中の手をぎゅっと握って散歩に出発。風邪をひいたnameちゃんを看病するのもいいけど、それだとnameちゃんが苦しんじゃうから、風邪をひかないように時々抱き締めて温めてあげよう。それからキスもたくさん。


どうか切れない赤い糸

(ずっとこの先もこうやって、握った手が離れないように結んでしまいたい)
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