Re;Project
メレンゲみたいな恋を希望
泡風呂って浴槽の全部が泡ってわけじゃなかったんだね。表面だけあわあわしてあとはお湯。知らなかった。

そんな泡風呂に入ってるのはあたしとダイゴ。「毎日一緒に入ってたらnameちゃんの裸を見飽きちゃうからイヤ」なんてよく分からない理由で今まで別々に入ってたけど、泡風呂っていう特別なお風呂の場合は別みたい。で、今はお互い向かい合う形で泡風呂に浸かってる。

「泡風呂ってすごいねー、僕初めて入ったよ」

目の前には裸のダイゴがいる。首から下は泡で隠れてるけど。その濡れた首筋が妙に色っぽくできゅんとしてしまう。こんなにドキドキしてるのはあたしだけ?ドキドキするのは久しぶりに一緒にお風呂に入ったからだけじゃない、彼のアクアマリン色の瞳でじっと見つめられているから。

「もっとこっちにおいでよnameちゃん」
「イヤですー。そうしたら誰かさんが我慢できなくなってここでヤりかねないからー」

ケチ、なんて唇を尖らせて不満を呟いた。性欲なさそうに見えて性欲がある男、それがダイゴ。ただ性欲があるだけならいい。彼の性欲は底知れません。

それにしても、泡風呂って気持ちいい。泡はふわふわしてちょっとしたメルヘンだし、この入浴剤は甘い香りだから、絵本の世界に住んでるお姫様の気分になれる。
お姫様って王子様と一緒にお風呂に入ってたのかな?、入ってたとしてももっと広いお風呂場でもっと広い浴槽で…。あれ、絵本の世界には浴槽なんてあったのかな?

「ねーnameちゃーん」
「はいはい今度はなに?」

あたしがお姫様気分なら目の前にいる男は王子様?王子様なんて聞こえはいいけど、ダイゴの場合は石王子だな。普段は石ばっかり相手にして、こういう時はあたしにべったり構ってくるの。

「泡風呂ってこの泡で体洗っていいの?」
「この泡で洗っても外で洗ってもどっちでもいいってシロナは言ってたよ」
「そっか。じゃあここでnameちゃんの背中流してあげるね」
「いやっ、いい!いい!遠慮します!」
「恥ずかしがらなくてもいいじゃん。ね!」

と言って強引にあたしを抱き寄せた。絶対体を洗うだけじゃ済まない気がする…なんて思ってたら、ちゅ、と軽く触れるだけの口づけを落とされた。ダイゴの軽い口づけは、あたしに機嫌を直して欲しい時とか安心して欲しい時にする、優しい王子様みたいなキス。どうやら姫はそんなキスに弱いらしい。ふわふわとした甘い気分になって、まるでこの泡に溶けていくみたい。顔をあげたら柔らかい笑顔のダイゴ…。なんだか、その眼差しに蕩けてしまいそう。

…優しくて甘いキスを信じて、体を預けてみようかな?


メレンゲみたいなを希望

(お風呂から出るまで我慢するから)
(我慢できなかったら今日はお預けだからね!)
(えー…)
PREVTOPNEXT
- ナノ -