爆発寸前サティスファクション
今日はジム休業日だが、改造途中の箇所が気になって仕方ないからジムへと足を運んだ。暇でしゃーないであろう仕事休みが久々なnameを連れて。
それが間違いだった。
ひまヒマ暇と暇を連呼するヤツは勝手にオレのライチュウをボールから出してじゃれあい始めた。じゃれあうなら自分のポケモンにしろって言っても「自分のポケモンはいつでもじゃれあえるけどデンジのはいつでもって訳にはいかないでしょ」って言いやがった。
ジムに来いって誘ったのは俺だから仕方ないとは思うが…ムカつくな。
オレの特等席であるnameの腕の中。疲れたり煮詰まった時にはいつも世話になってる腕の中。もちろんそれ以外の時もな。柔らかくてうずくまるとふわふわした気分になれる。首筋にも近いし、手を伸ばせばイタズラし放題だし。
それが今、ライチュウに乗っ取られているのだ。ぎゅーっとライチュウを抱き締めてじゃれあっているname。いやポケモンに嫉妬してる訳じゃあ…ないぞ。しかし、オレの目の前でオレ以外の奴とイチャつくとはいい度胸だ。
「おい」
作業を中断し、ヤツらの方を向いて呼び掛けてみた。すると、ライチュウもnameも『なに?今ラブラブ中なんだけど』という顔をしてきた。ムカつく。
「喉が渇いた、なんか買ってきてくれ」
本当は喉なんて渇いてない。何か飲みたいのは事実だけどヤツの気をこっちに引きたいだけ。
「なに言ってんの?喉が渇いたなら自分で買いに行けばいいじゃん。あたしはライチュウとラブラブ中なんだからだーめー。ねーライチュウ?」
「らいらいー!」
くっコイツら…自分たちの主人に向かって完全に舐めきった態度だなおい。つーかライチュウ、オマエの主人はオレだろうが。なんでそんなにnameになついてるんだよ。オレにはそんな頬擦りとかしてくれないだろ。
「あーちくしょう分かったよ自分で行けばいいんだろ」
ちっと舌を鳴らして外に出た。あームカつく。
自販機でサイコソーダを買う。キンキンに冷えてるから手に取ったら湿り気が感じられる。ドライバーを握り締めて赤くなった手を冷やしてくれて気持ちいい。
「んっとにアイツらは主人をなんだと思ってるんだよ…」
あームカつく。初めて会った時から思ってたが超の付く生意気な女だよなnameは。
ライチュウだってそうだ。自分が可愛いのがわかってるから色んなヤツに愛想振りまいてさ。
「……」
そうだよライチュウだよnameだよ!あんなに楽しそうにイチャつきやがって!あぁこれは嫉妬だ。そうだよオレはライチュウに嫉妬してんだよ!あーまたイライラしてきた!空き缶を乱暴にゴミ箱に投げ捨てた。ガコンッ!ってすげー音したなおい。
「あ、おかえり」
なっ…なんでレントラーまで一緒になってじゃれあってるんだよ!?
「デンジが出ていった後にレントラーのボールが『オレも交ぜろー!』ってカタカタ動いてたから出してあげたんだー」
だからって…。クールでカッコいいオレのレントラーが喉鳴らしてnameにじゃれてる…だと!?ライチュウにしろレントラーにしろ…なんなんだコイツら…!
ついにオレの中の何かがプチッと切れた。
たぶん今、オレはかなり険しい顔してるだろう。
モンスターボールから出た赤いビームがライチュウとレントラーに直撃し、赤い光になってボールに吸収された。
「ちょっと!なにすんだデン……!」
言い切る前にキスで口を塞いだ。小言は聞きたくねぇ。悪いのはオマエだ。
「な、なにす…っ」
口唇を話しても何か言ってくるからまたキスで口を塞ぐ。今度は下唇を吸い上げるように。生意気なオマエへのお仕置きだ。
「んうぅっ…」
次は俗に言うべろちゅー。ねっとりとした絡みが気持ちいい。そんな快楽に体を支配されたnameの細い腰を支える。あーコイツ、腰抜けてら。
「ムカつくんだよ」
「な、にが…?」
口唇が触れそうな距離で話す。
「なんでオレがオマエをジムに誘ったかわかってんのか?」
「…?そんな…」
ジリジリと壁に追いやっていく。nameの目が、顔が怯えてる。あぁ楽しい。
「オマエと一緒にいたかったからだよ。最近任務任務で全然構ってくれなかっただろ?」
「だからって、ジムに来てもデンジは機械ばっかり相手にしてるから…」
「近くにいるだけでいいんだよ。オレだけを見てろ、オレだけ…」
耳に近づいて言う。そしたら体が小さく反応した。次は右手を左脚に這わせる。脚っつっても太ももの内側な。
「あっ…」
「ここで犯す」
「やっ、だめ!」
「もうおせぇよ、バーカ」
そう言って胸に手を伸ばそうとした瞬間、バチィィッと電気が走る音がして一瞬にして辺りが暗くなった。停電だ。
改造、途中半端なとこで止めてるからな…またやっちまった…。でも真っ暗な方がムードあるか。よし、犯そう。
「コルァァァデンジィィィ!!」
聞き覚えのある男の声…オーバだ!なんでここにいるんだよ!?
「外でなんか飲んでるオマエを見て、ジム休業日なのになんで来てるのかと思ったらやっぱり改造か!」
どうやら停電前に裏口から入ったみたいだ。ちくしょうなんでアイツなんかに見られて…。
「オーバぁぁぁぁ!助けてぇぇぇぇ!」
「えっ!?な、なに言ってんだバカ、name!」
叫ぶnameの口を押さえたが、遅かったみたいでピカッと小さくて強い光がオレたちを照らした。オーバが、非常時用に用意しているジムの懐中電灯を使っているみたいだ。
「デンジィ!オマエは停電だけじゃなくて何やって…ん、だ…?」
行為に及ぼうとしてたオレたちを見て固まっている。まぁ、nameの豊乳にオレの手が触れてるからな、はは…。
「デンジーーーーー!!ここをどこだと思ってんだーーーーー!?」
後日、リーグ協会からお叱りを受けました。しかもあれからnameは体に触らせてくれねぇし。恋人同士で同棲してるのに。あーあ、欲求不満。