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Malice de l'Ange

【注意!】
この夢小説は香水「Malice de l'Ange」にまつわるお話です。MKの好みをふんだんに詰め込んでるので、「自分の中でダイゴさんの香水はコレ!」って決まってる方は読まない方が無難です。それでも大丈夫!な方は、自分の好きな柑橘系と爽やか系の香りを想像しながら読んでください!

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ぎゅう。

デスクで仕事を片付けてると、珍しくnameちゃんからボクに抱きついてきた。まるで仕事を邪魔するように真っ正面からぎゅうっと。「ぎゅう」も擬音語に相応しいけど、もう1つ加えるなら「ごろにゃん」みたいな感じ。エネコみたいで可愛い。仕事を邪魔されても全然気にならないや。
ぎゅうっと抱きしめ返してみたら、ボクの胸にスリスリと顔を刷り寄せた。はぁ…可愛い…。いつもはボクから抱きつくのに今日はどうしたんだろう。

「nameちゃんちょっと待ってて。あと少しで仕事終わるから」
「……ダイゴって香水つけてる?」
「え?うん今日は…」
「いいにおいする…」

そう言って、目を細めてスカーフに鼻をあてた。今日はこの仕事が終わったらカナズミに行くから香水をつけたんだけど…。

「nameちゃん、このにおい、好き?」
「うん、ダイゴっぽくて好き…」

はぁもう可愛い可愛い可愛い!そんな可愛い顔してスリスリされたら襲いたくなっちゃうから!

「スカーフにつけてるの?」
「うん。本当は素肌につけるべきなんだけど、これはそれ用のスカーフだから」
「におったことないにおいだけど、どんな香水つけてるの?」
「インターネットで買う香水なんだけど…見たい?」

うんってコクリと頷く。はぁ…もう可愛いなー可愛いよー食べちゃいたいなー。あー仕事中だったのすっかり忘れてた。もういいや、あとでやろう。
寝室に移動して、サイドテーブルにしまってある箱から小瓶を手に取った。液体はまるでアクアマリンのような淡い蒼色をしている。

「綺麗な色…」

やっぱりnameちゃんもそう思うんだ。この香水、会社に取引に来たどこかの会社の社長がサンプルに持ってきてくれたもの。実はこの色に惹かれてもらったんだよね。そしたら香りもいい感じだったからラッキー、みたいな。これ2本目なんだよね。

「もとは柑橘系の香りで、時間が経つと爽やかな香りに変わるんだよ」

nameちゃんは小瓶のフタを開けて、吹き出し口の辺りに鼻を近づけてにおった。

「…うーん、変わったあとの方のにおいがダイゴっぽいな。でも最初のにおいも好き」
「そうかい?ありがとう。nameちゃんもつけてみる?」
「え?」

香水なんてつけたことないですよ、みたいな顔をしている。そんなとぼけた顔も…いいな。

「香水つけたことないの?」
「うん…なんか自分のにおいに酔いそうで」
「自分でにおえないからっていっぱいつける人はそうなっちゃうんだよね。最初は手首に1プッシュくらいつけたらいいよ。ほら、手首出してみて」
「え、でもこれって」
「ユニセックス用に作られてるから大丈夫だよ」

ボクよりも細い手首にシュッと1回だけ香水を吹きかけた。同じ香水をつけるのって、なんだか、いい。nameちゃんもそう思ってるみたいで、目を閉じて香りをかぐと、幸せそうな顔をした。

「どう?」
「うん、いいにおい…。でも毎日つけるってわけにはいかないなー」
「それがいいかもね。毎日つけてるとにおい慣れちゃってつけすぎてしまうから」
「ねぇ。もしこれ欲しいって言ったらどうする?」
「ボクのこれあげるよ。まだ使い始めたばかりだから」
「ホントに!?ありがとうダイゴー!」

ぐふぅっ。いつもより力を込めて抱きしめられたからちょっと苦しいけど、それだけ嬉しいってことだよね。
他の人なら使いかけの香水をあげるって言われたらなんでー!って怒るのに、『ボクが使ってた』香水だから嬉しかったのかな。ボクもnameちゃんの使いかけのものをもらうと嬉しいし。お互い好きだからこういうこと思えるんだよね。

「そういえば、なんでいきなりボクに甘えてきたの?」
「んー?なんかそういう気持ちになったから。嬉しくないの?」
「そりゃ嬉しいけど…いや、一応仕事中だったし…」
「じゃあ、香水のフェロモンに誘われたんじゃない?」

上目遣いでそう言った彼女は、まるでこの香水の名前のようだった。


天使のいたずら

(そういえば、コットンに香水染み込ませて胸に挟むっていう香水のつけ方もあるんだよ)
(…絶対にしないからね)
(そうしたらぎゅって抱きしめた時にふわっと香るんだよ?)
(……)

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