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ご褒美スウィーツ




※「私が知らない私の名前」茉糖さんからいただきました。ヒロインコラボです。
よろしければどうぞ。














黒瀬湊ちゃん。
あたしと同じ、E組の生徒で印象はクール。でも優しい。
あたしが湊ちゃんと彼女の事を呼べるのは単(ひとえ)に彼女のご厚意の上で成り立ってる。


彼女についてあたしが知ってること。

そのいち。料理上手でお菓子作りが得意。
なんか見た目はほんとうにケーキ屋さんで置いててもおかしくない程の出来栄えで、フルーツはキラキラしてるしデコレーションも完璧。クリームの角だって艶やかで光沢を持ってる。いいな、食べてみたい。

そのに。絵がとっても上手。
あんまり漫画について喋ったことないけど、湊ちゃんは漫画が好き。そして彼女の絵を見たところ、本当に上手だった。あんなの中学生の絵じゃない。いやあたしが下手すぎるから基準がおかしいんだろうけど。
あたしも漫画は好き。オタクと言うにはレベルがかなり足りないけど、ジャンル問わずに読み散らす位には好きだし、やはり彼女と話してみたい。……ただ親しげに話しかける勇気はない。

そのさん。とってもカルマくんに好かれてる。それこそびっくりするくらいに。
カルマくんとはそこそこ付き合いが長いけど、彼があんな優しい目をするなんて知らなかった。
「湊しか見えない」と公言する彼はとっても輝いていて、びっくりだとかなんだとか全て飛んでいってすごいなと思った。
あれだけ好かれてて靡かない湊ちゃんって鈍感なのかなと思ってたし、カルマくん不憫だなとか思ってたけど、最近カルマくんの真摯な愛が報われたようだ。良かった良かった。なんだかんだで湊ちゃんもカルマくんのことが好きなのは分かったし。
彼らを見てると切実にあたしは磯貝くんと両想いになりたいと思ってしまうのだ。おこがましくも。

そのよん。国語の神。
神崎さんと並ぶ国語の神。いやそれ以上かもしれない。


もっともっと美点を持ってる彼女だから、あたしなんぞが近付いてよいものかと偶に不安になる。で、なかなか仲良くなれてない。その事でカルマくんに相談したところ、鼻で笑われた。ごめんなさい。アルティメット馬鹿で。
とにかく仲良くなりたいけどあたしのアホな頭では到底彼女に近付く策など思いつかない。
共通の友達のカエデは普通に話せば答えてくれるよ!と背中を押してくれた。あたしの思い人……あ、あたし気持ち悪い。思い人ってなんだよ。じゃなくて、磯貝くんはカエデと同じ意見で、やっぱり普通に話すことが何よりの近道だと感じた。
すみません、普通ってなんですか?
とりあえず話しかけてみれば?彼の言葉に従い漫画を読んでる湊ちゃんの所に歩いて行った。

「えっと、湊ちゃん……」

「どうしたの?」

「えっと……えっと……!」

やばい。てんぱってきた。
湊ちゃん呆れちゃうよ。それはやだ。だって湊ちゃんと話したい。湊ちゃんと仲良くなりたい。

湊ちゃんは少しだけ息を吐いて立ち上がり、しゃがみ込みそうなあたしの肩手を置く。ごめんなさい。迷惑かけちゃって。でも、それでもあたしはあなたと話したい。

「落ち着いて」

「う、うん。あのね、」

あたし、湊ちゃんともっと喋りたいなって。

「いや、変な理由じゃなくて!!あの!あたしも漫画好きだし!そのシリーズ全巻持ってるし!ケーキとか作れてすごいなあとか思ってるし、絵うますぎるし!でも普通に話しかけるとか無理だから……えっと」

やばい、引かれる?絶対引かれた。だってあたしなに言ってるか、じぶんでももうわかんないもん。

ほとんど身長が変わらないあたしと湊ちゃん。目がぱちくりしてる。キョトンとしてる。あ、失敗?やっぱりあたしじゃだめなのかな。

「いや、思ったより変な子だなって」

「え?あたし変!?」

「うん。それにこのシリーズ好きなんだ?」

「好き!」

「私もこのシリーズ好きな子って中々いないから話したかったんだよね」

「どうしてだろう。古いからかな」

「最近久々に読み返してみたらハマってさ」

「あたし最近ハマったの。昔アニメ見てて」

「あ、でもアニメ凄かったよね」

「うん!最終回特にやばかった」

「わかる!エンディングにはほんと感動したわ」

「あたしも!血を飲んでほぼ無敵化してからがすごいよね」

「それ思った。ほぼ最強じゃんね。つか執事若返ったら凄すぎた」

「そうそう!意外に若い頃可愛かったという!」

やっぱり湊ちゃんって優しい。
カルマくんがあんなにべったべたに惚れるのも分かる気がする。
尚更あたしは湊ちゃんが好きになった。




後日湊ちゃんがあたしにケーキを持ってきてくれた。それは本当に美味しくて、一口食べると涙が出そうになった。季節の果物のフルーツタルトはツヤツヤしていてキラキラ光を放っていた。眩しい。やばい、美味しすぎる。

「好きなケーキある?」

湊ちゃんが聞いてくれたので、あたしは少しの期待を込めてティラミスと呟いた。




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すいません。スライディング土下座です。
似非湊ちゃんになってしまった……!
湊ちゃん大好きなのに伝わらないこの思い。そしてすいません。べこはまたうざいです。
そして湊ちゃんの変人ホイホイにべこが引っかかった次第です。そして蛇足ながら話してる漫画はヘルシングです。

ラファさま、湊ちゃん貸し出しありがとうございました!!




べこちゃん天使すぎですねまったく…。それだけに尽きますね。
こんな面倒くさがりでよろしければ末永くいいお友達でいてやってください!!
茉糖さん、本当にありがとうございました!