星降る夜に | ナノ


 もし夢主が雄英に入学したら

「なまえ……!!?」
「……転弧くん?」

なんでこんなところに、とはお互いに思っている事だろう。
私なんか大した個性ではないし、第一、年齢が年齢だし。

雄英高校でのヒーロー基礎学。USJで突如現れた敵連合には、かつて一緒に暮らしていた転弧くんがいた。会わなくなって何年か経つけれど見間違えようもない。


「大きくなったわね……」


けれどちょっと痩せすぎじゃない?肌の調子も顔色もあまり良くない。ちゃんと食べている?眠れている?


「あ、だめよこの子は。友達なの」

「……ッ」


梅雨ちゃんに向けられた手をそっと握った。
緑谷くんと峰田くんがぎょっとして私を見てる。この学校の子は皆聡いから、こんなやりとりをしたらすぐに縁者だって分かってしまうわね。
敵と関係してるなんて知れたら、もうここには居られない……かしら。どっちにしろ除籍は免れなさそう。

そう思っていたらオールマイトが駆けつけてきた。
物凄い怒気。そう思った瞬間には私たちは救出され、転弧くんとの間に距離が出来てしまった。

もうこの距離は埋められないのだろうか。
いや、きっと、それは私次第。


「ねえ、私も連れていってくれる?」

「は……?」


何でもないように近付いて話しかける。


「なまえちゃん……!?危険だわ!」
「何言ってんだよみょうじ!」
「みょうじさん!?」

「みょうじ少女、君は、」


唖然とする皆へ振り返って告げる。


「私、この子の、元保護者なの」


静まり返った緊張感の中、更に近付いていく。
脳が剥き出しの大柄な男に押さえられている担任の先生。その横を通りちらりと見ると、意識がほとんどないながらも私を見ていた。
相澤先生、ごめんなさい。ご迷惑を掛けるでしょうね……

そのまま進んで、転弧くんの目の前に立つ。


「雄英生徒を1人敵堕ちにしたってことで、この場は収めてちょうだい?」

「ほんとに来てくれんの」

「ええ」


にこりと笑みを作ると、転弧くんは私を抱き寄せた。痛いくらいに。力も強くなってまあ……家を出ていってから何があったのかしっかり聞かせてもらわないと。


「オールマイト先生、私の事は除籍処分ということで。ご迷惑、おかけします」


私は、とうに身寄りもないし、ほとんどアンダーグラウンドで暮らしていたようなもの。退学扱いにすれば対外的にはなんとかなるだろう。

さて、新生活は始まったばかりだったけれど、もう一度新しい生活を始めましょう。

愛しいキミと一緒に。

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