火影室のドアを開けると、書類の山の中でカカシが頭を抱えていた。 「火影様。お疲れのようですね」 「……読んでも読んでも書類の束が無くならないからね。でも」 カカシは立ち上がって、私の事を抱き締めた。 「疲れが吹っ飛ぶよ」 「仕事中でしょ……」 「俺の事癒やしにきたんじゃないの?」 「まぁ……」 さえない顔してたからたまには顔出してやったらどうだ、とガイに言われたのだと言ったら、カカシは驚くだろうか。ガイって実はとても気が利く。 「来てくれたのは嬉しいけど、一人であまり出歩かないでほしいな」 「カカシは過保護すぎるよ。ちょっとは動かないとさ」 「でも、もうこんなに大きいんだから」 カカシに優しくお腹を撫でられる。「いや、一人じゃ無かったね」とカカシが微笑んだ。 「うん、今外でミライちゃんに会って、遊んで貰ってるよ」 「そっか。声がしたような気がした」 「父さんみたいなかっこいい忍になるんだって、毎日泥だらけになって走り回ってるよ」 「あんまり構ってやれなくてすまない……」 「あの子はちゃんとわかってるよ。お父さんが里を守る為に頑張ってるって事」 「……父さんよりも、母さんの方が強いっていつ気づくんだろうね?」 「どういうことー?」 そりゃあ私だって、いずれは忍に復帰するつもりでいるけれど。 「妹か弟が出来るからって張り切っちゃってるのよ、あの子」 「そっか。……じゃー、次の休みは修行でもつけてあげようかね」 「それ聞いたら喜ぶと思う。……次のお休みしっかりとれるように今はお仕事頑張って頂戴」 にっと笑ってカカシを見上げると、 「やっぱり葵には勝てないよ」と、カカシは眉を下げて笑った。 end. →後書き |