拍手お礼短文ログ | ナノ
 ゆきみだいふく

星くずすちゃすちゃすちゃ
踊るいちまつの夜に
あぁまだ帰りたくないと
口には出せないなぁ

「何その歌?」

歌いながら冷凍庫を開けていたら、台所に入ってきたカカシに突っ込まれた。

「知らないの?」
「知らない」

買ってきたばかりのアイスをビニール袋ごと突っ込もうとして、……同じように袋ごと突っ込まれていた何かに気づき、袋の口を開けてみた。

「あれ、カカシも買ったの?」

この時期にしか売ってない二個入りの、大福の中にアイスがつっこまれてる例のヤツ。もともと冷凍庫にあった袋の中にはそれが2パック入っていた。私も同じく2パック買って帰ってきたので、ちょっとびっくりしてしまう。

バニラ味ときなこ味が売っていたので迷わず二種類買ってきたのだけど、既にあった袋の中にはやっぱり、まったく同じように、バニラときなこの二種類が入っていた。

「……考えること一緒だね」

何だかほっこりしてしまって振り向くと、カカシは戸棚からマグカップを取り出しているところだった。

「ん?……あぁ、それね。好きだったなと思って買っておいた」

ふっと目を細めて笑う表情があんまり優しいから、恋人になって随分たつというのにきゅんとしてしまう。

私のために買ってきてくれてたのか。たしかにカカシは甘い物があまり好きでは無い。アイスはたまに食べるけれど……。

「カカシも一個食べる?」
「ん、じゃーもらう」

二人ぶんのコーヒーを入れているカカシの後ろにたって、背中におでこを寄せてみる。

「炬燵あったまってるよ」

カカシの声にじんわりと心が温かくなる。
コーヒーのいい匂いが辺りに漂った。

「ありがとう」

二人で越える冬は、寒いけれど暖かい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

歌詞はオレスカバンドの「ピノキオ」から。

prev / next


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -