8.悪とは何か。後味の悪いことだ。※
カルナの吐息と喘ぎ声、そしてぐちゅりぐちゅりという水音が響いている。
アルジュナはカルナが心配だと言っていた。
Bはそれがどうしても気になって、生徒会室の前まで戻ってきてしまっていたのだ。
息を潜めて、耳をすませる。
相手は……男?
生徒会以外で男といえば、1人しかいまい。
A、カルナの親友と聞いた。
いつ来てもカルナの帰りを待っていた、
いつ来ても、アルジュナに睨まれていた男。
アルジュナはこれを知っていたのか?
「ん、んっ、はう、ああっ、もう、」
「指だけでイけるな?」
「ああ、イける、とも。」
「ちゃんとみてるぞ……いつも。」
リップ音が聞こえた。
それを聞いて、何となく、帰ろうと思った。
これ以上聞いているのが申し訳ないのもあるが、なによりその音も声も、とても耽美で艶かしいのに、聞いていて苦しくて、悲しくて、辛くて、続ける気にはならなかった。
助けるにしても、どうすればいいのかわからなくて、逃げ出したかったのだ。
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「……行った、か。」
「?、どうしたカルナ。」
「んっ……いや、お前が気にすることでは、ない。
っ、はぁ、オレも、気にしないよ。」
指をいれたままの穴がキュッと締まって、奥へと促された。
急かされている。有耶無耶にされたようで、どこか引っかかった。
「A?ガッ、あぁっ!!!うあ、あはぁ、A、A、どうした。あまり乱暴にするな、傷がついてしまう……!」
「そうか?さっきよりよさそうだぞ?つけて欲しいんじゃないのか?」
優しく撫でていた指が大きく折り曲げられて、内壁を強く押し広げた。押し広げられているのが分かってゾクゾクする。
ぐちっ、ぐちっと引っ掻き回されて、腰が勝手に跳ねた。
強引で、無茶苦茶で、痛みもあるのに、それがどうしても心地よくて……初めて抱かれた時を思い出した。
気持ちよかった。乱雑に扱われて、転がされて、存在感のなかった乳首が腫れるほど抓られても、未開で窮屈だった尻穴がほじられて裂けても、気持ちよかった。
自分に快楽を与えるのは、Aでなくてもできるのだ。
Aでないといやだなんて、この身体は思っていないのだ。
頬を伝うものが生理的なものと思えなくなって、すぐ袖で拭った。
「おい、なに考えてるんだよ…!」
「ン"ァ"ッ!すまない、許してくれ、許してくれ…!」
「…やっぱ指だけじゃ無理か、一旦やめて家に」
「待て、ちゃんとイける。イける、から、続けろ!」
そういったカルナの瞳からこぼれる雫が、いつもより大粒になったように思って、
「お前の手で、イかせてほしい…!」
黙って続けることにした。
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bkm