無邪気な中毒者 | ナノ

9.ただ動いているだけでは、行動とは言えない。※


Bは1人、家路を辿っていた。
頭が悶々として使い物にならない。
帰ったらアルジュナになんて言えばいいのか、全くわからなかった。

とぼとぼと暗い道を歩いていると、少し離れた街灯の下をかけていく集団に出会った。
見た事のある顔だ。物好きなのか、アルジュナの良さに気づけなかったのか、哀れんでいたのかは知らないが、最後まで自分についてくれた人達だ。不審に思ったが、学校に忘れ物でもしたのだろう。それにしたって人数が多いが、彼らは自分に気づいていないようだし、声をかけようとも思えなかった。

「アルジュナ、ただいま。」

玄関を開け、声をかけたが返事はない。眠っているのだろうか。
玄関はあきっぱなし、電気はつきっぱなし、机の上に置いておいた昼飯には手がつけられていない。

アルジュナの荷物や上着はそのまま残されているのに、アルジュナ自身はどこにもいなかった。

律儀なアルジュナがこのようなことをするとは思えない。なにかがおかしいと見回すと、1枚のメモを発見した。

『お前の兄を拘束した。助けたいなら今すぐ……』

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「アルジュナ、返事をしてくれ!!!」

メモの場所に、アルジュナはいなかった。
駆け回って探しても見つかる保証なんてない。
いつ連れ去られたかもわからない、もう手遅れかもしれない。

「アルジュナ……!」

それでも探し回らずにはいられなかった。

思い出す、昨晩の弱ったあの人を。
あれは、昨日今日で治るものには見えなかった。
今もどこかで苦しんでいるはずだ。



街灯の下、倒れている人影を発見した。
白いワイシャツ1枚に下半身はなにも身につけておらず、血液や体液でぐちゃぐちゃになっていた。
ヤリ捨てられたとしか言い様がないそれは、静かな街路では異質で、幻でも見ているのではないかと思われた。

でも、その人は間違いなくアルジュナだった。

「アル、ジュナ。」

その呼び掛けに、黒曜の瞳が覗く。その人が口を開いたが、声が枯れすぎて伝わらなかった。

その身体が地につかないようそっと抱き上げた。
どうすることもできなくて、よしよしと頭を撫でながら、下半身に目をやった。
褐色の、Bのモノより大きな男性器には精液がべったりと付着していて、尿道には綿棒が詰まっており、テープで固定されていた。
肛門にはこれでもかというほど大きな淫具が押し込まれており、結合部は血を流し、股も閉じられないようだった。

どうして、こんなことに。
愕然とするBの耳に、アルジュナの嗚咽が届いた。
口の動きと、掠れた声から、なんとか情報を得ようと集中する。

アルジュナはこういっていた。

ぬいてください。

理解して、そっと頷いた。



傷をつけないように、1枚ずつテープを剥がす。
精液がかけられる前に貼られたのだろう。肌に密着していて、どうしてもベリベリと嫌な音が響く。
痛くないかと問うと、アルジュナは頷いた。
嘘かもしれない。けれど信じる他なかった。

やっとのことでテープを剥がし、綿棒を引き抜くと、ちょろちょろと体液ではないであろう透明な液体が吹き出した。暖かい……アルジュナの体温で温められたのだろうか、薬品かもしれない。どちらにせよ病院には行かせなければならない。

次は後ろの淫具。大きすぎて、引き抜くためにはどうしても周りを解さなければならない。
アルジュナに少し我慢するよう伝えると、頷いた。

ぐりぐりと淫具を動かして様子を見る。力を入れて、引き抜こうとすると、あ……とアルジュナは吐息を零す。こんなときなのに、アルジュナの声と、動きに合わせて入口が形を変えるのが下半身にきて、ダメな男だと頭を揺らす。
それを、アルジュナはしっかりと見ていた。

淫具を引き抜くと、コポッっと音を立てて液体が流れ出した。夥しい量の精液に血液、それに先程の透明な液体だろうか。排出した感覚で、アルジュナが悶えているのがわかる。
アスファルトの上でべちゃ、ベちゃッとそれらが跳ねる音が聞こえた。
涙が一筋、アルジュナの頬を伝った。

アルジュナは排泄の感覚で打ち震え、綺麗な顔を崩して、所謂アヘ顔のような面持ちになっている。

それを美しいと思った。
自分が、気持ち悪かった。

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