無邪気な中毒者 | ナノ

1.崩壊、欠落。※


Aにであう3年前。

つけられている。

カルナが気がついたのは学校を出てすぐの事だった。
暗い帰り道、決して人が少ないわけでは無い。
そういう道を選んでいた。

家を悟られないように、人通りの少ない道に出ないように。

…まさかそれが裏目にでるなんて、考えもしていなかった。


すれ違いざまに腕を押えられる。
会社帰りだと思っていた女に。

猿轡を噛まされて視野を塞がれた。
学校帰りだと思っていた男に。

引き摺られて車に押し込まれる。
誰も声をあげない。全員が共犯者なのだ。
車は進む。どれだけ不安でも、縛られた足では震えることさえできない。口は猿轡で塞がれて、意味のある言葉を紡げない。どこへ向かっているのだろう。体感で2時間ほど経過したところで車は停車した。

視界が開いたのは薄暗く、されど財力にものを言わせギラギラと瞬く部屋。その中心にいる男こそ、自分を連れ出した本人なのだと、一目見てわかった。

拘束が全て解かれる。
数時間ぶりにカルナは自立した。縛られていた腕も、脚も、それほど痛くはない。強引ながらも、酷く丁寧な扱いだったのだ。陶器を扱うようなそれは、返って不気味だった。
自立したはいいが、両脇に扉の前、男の背後にもまた共犯らしき人物がみえる。抵抗は無意味だろう。逃げ出すのはもう、手遅れだ。

「カルナさん、だね?」

無論、その男に名乗った覚えはない。
返答する間もなく、男の手はカルナの頬に伸びた。
男の指が輪郭から首へ、肩から脇へと全身を確かめるようになぞる。
自分がどういう意図でここに連れられたのか、なんとなく察する。全身に悪寒が走る。それを見て男は笑った。

ずっとみていたよ。そういうと男は持っていたリモコンで画面を操作した。そこに映っていたのはカルナだ。日付は3ヶ月前から、毎日。毎日何十枚も盗撮されていた。日常の風景から明らかに校内で撮られたもの、果ては自室、浴室、便所……怒りか、羞恥か、その頬はいつの間にか朱を帯びていた。
生気も感じぬほど整った顔がこの時だけ、花が綻んだように、溶けるように、崩れるように……人のように見えるのだ。

たまらない。男はそう思った。

制服の上から、男はカルナの薄い胸を、その掌で包んだ。全体を解すように揉みしだく。
女性に対する、男性の手つきだ。カルナとて意図がわからないわけではない。たっぷりの欲情、手馴れた愛撫。……しかし何も感じない。その身体はピクリとも動かず、興奮するように手を動かす男を訝しげに見つめていた。

「揉まれるのは初めて?」

「ああ。」

「冷静だね。思った通りだ。」

「男にこのようなことを強いても無意味だと思うが。」

「そうかな?僕は楽しいよ。」

男はカルナを寝台に運ぶと、その口に己の口を押し付けた。初めての他人の熱い舌の感覚に、ビクリと舌が逃げる。逃げた舌を男は己の舌で絡めとる。カルナの口の端からだらりと混ざり泡立った唾液が零れた。
カルナの口を吸いながらも男は器用にネクタイを緩め制服をはだけさせる。揉みしだかれた胸に、男の手が直に触れる。男の手が絹のような肌を押して、マッサージをするように摩擦する。暖かい手、気持ちが良くないといえば、嘘になる。
男の手が止まる。白い胸の小さな突起を見つけたのだ。肌の色に同化したそれは、完全な処女性を訴えている。けれど、それも今日で終わりだ。かわいらしい突起を、男は両手でつまみ上げた。
そこからの動きは決して優しいものではなかった。小さな突起が抓りあげられて、未知の悲鳴をあげる。カルナの脳が痛みの中に、感じたことの無い甘美を受け取って白黒する。そしてそれは、男が満足するまで、警戒心の尽くを失うまで続けられた。

貪られ続けた顎は痛み、ぐりぐりと引っ張られ続けた乳頭は伸びてしまったようにも感じられる。解放された時にはすでにカルナはくたくただった。

主犯の男が「かわいいね。」とタブレットで写真を撮る。すると写した写真をカルナに見せつけた。

唾液を零す唇は媚びるように水気を帯び、いままで合わされていたものを求めるように、だらしなく、寂しげに開かれている。それをみて慌てて口を閉じた。
白く小さかった突起は赤く充血し、存在を主張していた。

「狂っている。」

思ったままを正直に述べる。けれどその鋭い眼光も、核心を紡ぐ口も、ベットの上で乳首を尖らせたままではなんの力ももてない。

「照れなくてもいいのに。」

男はそんなカルナの反応に気を良くして、カルナのズボンに手をかける。太股に指を這わせるように、ズボンから脚を引き抜いた。露わになった下着は、中心が少し持ち上がっている。男の手馴れた開発に、もう身体が反応していたのだ。
乳首にキスをされ、唾液を絡められ、時に吸われる。下着の上から尻たぶを掴まれ、弾力を、谷間を確認される。太股を舐められて、時に強く吸われる。……中心の熱は、下着の下で目に見えて大きくなり、やがてシミをつくった。男は1枚写真を撮ると下着を引き下げる。張り詰めて我慢汁を流しているにもかかわらず、美しい色をしたそれが天を仰ぐ。拭いきれない羞恥に、カルナは目を閉じたが、パシャリパシャリと音がして、シャッターが切られているのがいやでもわかる。弄ばれるがまま、反り勃ったかわいそうなそれが、画像として残されていく。

「興奮してるんだね……ぴくぴくしてる。最高だ。」

男は指先で尿道口を抑えるとソレをぐるぐると弄んだ。抵抗できないそれは指先に従うまま無様に、踊るようにうごめく。ぬちぬちと音をだすそこが絶頂したいと喚く。カルナはこれ以上の羞恥を晒さないよう歯を食いしばって耐えることしかできなかった。

「こんなに汚して……女のコになる前にだしちゃおうか。」

「女……?、っ!?」

男の指が弱点に刺激を与える。迷いなく的確に、慣れた指先がまだ幼さを残した陰茎を蹂躙する。カルナはシーツを掴みなんとか耐え忍ぼうと必死だ。けれど限界なのは見て取れた。男は無意味にもこらえるカルナがおかしくてわらいながら、ぴんっと亀頭を弾いた。それを合図に、タガが外れたように白濁が噴水を作る。いつの間にか男がタブレットを構えていた。シャッター音がしない。動画を撮っているのだろう。びゅるっびゅるるっとながらく我慢させられたソコが憐れにも歓喜の涙を流してから、力なくだらりと落ちるまでの一部始終が余すことなく映される。それにボロボロと生理的な涙を流す顔を隠すくらいしかできない。きっと近い間にこの顔も映されるのだろう。この屈辱に慣れる以外にもう道はなかった。

桶が用意されて、指示通りそれに跨る。
女のコになる前に。
先程男はそう言っていたが、それがどういう意味か、当時中学生のカルナは完全に理解できていなかった。男が男に、など想像の範疇になかった。けれどこれで理解する。女のコになるとは……男のモノがどこにはいるのか、理解するのだ。

「じゃ、準備しよっか。」

臀部が押し広げられて、無知なしまりが露わになる。
冷たい空気に疼いたそこに、浣腸器が当てられた。
無機質な先端がくにくにと閉じた口を押し広げる。
細い管に、初めての逆流を許す。

眉を寄せ、瞼を伏せ、注入に備える。
ある意味で、それはこの行為を受け入れる体制だった。

「普通なら、ここで全部理解して絶望するか、泣きわめくかのどちらかなんだけど。」

男はいまだ先端で突き弄び撮影するばかりで、手にしたそれを流し込もうとはしない。カルナは男が手にするそれが、いつ注がれるかわからず気が気ではなかった。

「抵抗しないんだね。」

「その抵抗に意味はないのだろ、ぅ、くぅ、んあぁぁぁ……」

声を出しているときを狙ったのだろう。男が動いた。男の思惑通り、カルナは声を抑えきれずあられもない声をあげる。ぬるい液体が腸内に注がれる。カルナにはわからないが、その量は2リットル。成長過程にある身体には重い負荷だった。

「ははははは!思っていたよりずっと情けない声だ!蓋してやろうと思っていたがもういい、だしてもいいぞ!」

気を良くした男が笑いながらタブレットを構える。
腹が苦しくて桶に構えた。締りから零れた浣腸液が尻臀を伝う。腹を括った。出すしかない、分かっていたことだ。

力を抜くと、酷い音が響きだす。体の中身全てが噴き出ているような気分だ。生理的な涙が溢れる。液体が跳ねて太股を伝う。見られている、撮影されている、悪いことをされている、恥ずべきことをしている、それなのにどうしても、その行為は気持ちがいい。
再び無機質な先端に突かれる。
今度は入れると同時に注入が始まった。
腸の奥深くまでが、今度はゆっくりと侵されてゆく。きっとまた男が満足するまで、この行為が続けられるのだろう。

注入されて、噴き出して、注入されて、噴き出して、もう何度目かもわからない。

とっくに力んでも内容物は出てこなくなっていた。
出てくるのは注入されただけの液体のみ。鹿威しにでもなった気分だ。
液体を全て吐き出し、再び尻を上げる。幾度も繰り返した動きだ。けれど、男は再び無機物を突き立てることはなかった。

代わりに、なんの前触れもなく、自らの杭を打ちつけていた。

「お"ッッッ!?!っっっツ!」

小さな入口が男の形に拡がった。
血液がこぼれる。カルナのペニスを滴りシーツを汚す。それでもソレは容赦なく奥へと押し進む。
いかにも初めてといったカルナの反応に、男は実に愉快そうだ。

「カルナさんは我慢強い子だからね。ちょっと痛くても大丈夫と思って、すぐいれちゃった。」

男は繋がったままカルナを持ち上げ、自分の膝に座らせると、カルナの手を掴み、カルナ自身の腹に触れさせた。
カルナの薄く白い腹は男の男性器によって不自然に、張り裂けそうに膨らんでいる。
その腹を、男はつかんだカルナの手で、妊婦の腹のようによしよしと撫でる。

「今日から僕のお嫁さんになるんだよ、カルナさん……愛してる。」

絶望の日々が始まった。
身体を、瞳を、心を破壊する、最悪の幕開けだ。

男はカルナの首に革の紐を一周させると、カチャリと鍵をかけた。首が締められる感覚に嘔吐くも、激痛の快楽に囚われたカルナの頭にはずっと、鍵をかける音だけが木霊していた。

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