無邪気な中毒者 | ナノ

12.その苦しみの場所から強くなれる者もいる。※


俺の唇に向けて、あらゆる角度から口付けが落とされる。繰り返されるそれからは優しさと愛おしさが感じられて、心が穏やかになった。

ちろちろと控え目に出し入れされる舌に、気まぐれで吸い付くと、その人は照れたように身を引く。けれど次はもっと深く舌を突き入れるようになって、流し込まれる唾液が溢れかえる。それでもその人が動きを止めることはなく、ぢゅっぢゅっと吸い付く音が響いていた。

キスに夢中のその人の胸に、そっと指を這わせた。
鍛え抜かれた身体は硬くて、自分よりがっしりとしているのに、とても可愛らしく思える。胸の膨らみは女性のものとは違うが、Bの興奮を誘うには充分すぎた。褐色の胸を伝う汗が月の光に当てられて、艶めかしさをより一層際立て、内の熱をもう一段高揚させた。

柔く揉んでみるとその人は動作を止め、擽ったそうに身を捩る。つんつんと胸の頂きをいじめても、まだ明確な快楽は得られないようだったが、その行為に興奮したのだろうか、Bを挟む股が反応して、腰が少し跳ねて、アルジュナは照れくさそうに眉をよせた。

もう隠す必要などないと、お互い生まれたままの姿になって、肌を密着させあった。どちらの汗だったかももうわからなくなるほど絡み合って、愛撫して、舐めとって、口付けて、もう何日もそうしているような気分だ。

アルジュナの股の付け根に手を付けた頃、アルジュナが引き出しから綿棒を取りだした。使って欲しい、と。アルジュナは綿棒を自身の尿道口につんつんと突き立ててそういった。
あの日、ほじくりまわされて、放置されて、クセになってしまったのだ。

「んあ、あ、はぁあ、気持ちい、です。」

アルジュナの体液でベタベタの綿棒がぬちゅっ、ぬちゅっと音をたてる。
無意識だろうか、足を折り曲げて、アナルまで丸出しのそのポーズは、あの日、街灯の下でみたのと同じだった。
あのとき大きな淫具と大量の液体を飲み込んでいたそこは、今はぴったりと閉じて、外からのものを受け入れられるようには見えなかった。

「ねえ、アルジュナくん。」

「アっ、はい!」

綿棒を持ってない方の指先の腹で、締りを押さえつけた。
アルジュナは困ったような顔をしていたが、その目は情に溺れて、俺の言葉を心待ちにしているようだった。

「ここ、準備してくれる?俺のが入るように。」

アルジュナは恥じらいながらも、いてもたってもいられないといった様子で頷いて、閉じた穴を自ら解し始めた。

自分で頼んでおいてなんだが、想像以上に目に毒だ。
アルジュナの指が、自らの秘所を拡げて受け入れる準備をしている。ぐにぃっと拡げられたところから時節内側までみえて、
ここに、いれるのだ。

「来てください、B。」

みていたのに気づいていたのだろう。アルジュナは両手の指で大きくアナを広げてそういった。

誘われるがまま、自身の剛直をその人の身体に打ち込んでいた。

「ン"ッ"ア"ァア"ッ!!アっ!!」

その人を抱きしめて、押さえつけて、ゴッ、ゴッ、とでもいいそうなほどの勢いでピストンを続ける。
アルジュナは背に回した腕に力を入れ、脚をクロスにし、詰め込んだままであった綿棒を引き抜くと、アルジュナの精液が溢れ出て、あのときよりずっと扇動的だった。
顔はぐちゃぐちゃで、喘ぎ声は絶叫に近かったが、Bももう腰を止められなくて、そのまま鳴いてもらうしかなかった。

少し、後悔している。

「激しッ!!オ"コ"ッ!B!!はぁあ"っ!きもち"い!!」

「アルジュナ……!!うん、俺も、はぁ、俺もきもちいよ!!」

抱擁がきつくなって、全身べったりとくっついた。
どちらからともなく熱いキスをして、アルジュナは密着した腹に、俺はアルジュナの最奥に濃い液体をぶちまけた。

それからもしばらく腕を緩めることはなく、絶頂の余韻に浸りながら、時間も忘れて舌を絡め続けていた。

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汗や精液だけ拭き取り、丸裸のまま2人で横になった。アルジュナはもう、腕の中で寝息をあげている。

澄み渡った意識の中で、ひとつだけ、違和感を思い出した。

メモにあった、兄を拘束した、とはどういうことだったのだろう。

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