078.クーデター(4)


「じゃあ、何だ。てめえもこいつに騙されたクチか?それならこの男が首謀者ってわけか?」

「いえいえ、僕はしがない運び屋です。この庭の主人は神さまで、僕は神さまを騙したことは一度もありません」

「は?かみ……何だって?」

「そうか、まだタオくんには名乗っていなかったな。それは混乱しても仕方ないだろう。ぼくは神さまだ」

「……」

「更に混乱しているようですよ、神さま」

「ぼくはそんなに難しいことを言っただろうか」

 顔を硬直させたタオを見つめると、次の瞬間、タオは吹き出して笑い始めた。

「……なんだ、売人どもよりもタチが悪ぃじゃねえか。要はあれか、狂った子供の戯言に付き合ってやってるってだけなんだな?そうだろ?」

「狂っても戯言を言った覚えもないが、納得出来たのなら喜ばしいことだ」

「……いえいえ神さま、喜んじゃいけません。この人、たぶん信じてません」

「だが、ぼくは見えているようだぞ」

 神さまの言う通り、タオは二人の会話など無視して、神さまに指をつきつけた。

「狂ってるよ。そりゃ仕方ねえよな、あんなことがあった後じゃ俺だって狂いてえ。そっちの方が絶対楽だ。でもな、俺はまだ狂っちゃいない。助けてくれなんて言った覚えもねえよ」

 だがまあ、と声の調子を変えてタオは腕組みをした。

「てめえらの気が変わらねえうちに、しばらく厄介になってやるよ。で?俺はてめえを神さまって呼べばいいのか?」

「ぼくにはそれしか名がない。彼は運び屋と呼ばれている」

「そりゃ業種だろ」

「そうですが、運び屋と呼んで下さい。必要なものがあれば、何でも運びます」

「あんたも難儀だな、こんなガキに付き合わされて」

「いえいえ」

「改めて、俺はタオだ。しばらく神さまごっこに付き合ってやるよ」

 タオが差し出した手を、神さまは初めて見るような目でまじまじと見つめてから自分も手を出す。すると、小さな手をごつごつとした手が握り返した。

 タオの手は夜気にあたり、冷たかった。


終り

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