【組長の右腕×若頭会長】
派手な音を立てる部屋に乗り込もうとした途端、ばぁん！と襖を突き破って飛び出てきた痩身をしっかりとキャッチする。腕が触れてたことでひくりと震える身体に漏れる熱い息は、何があったのかを理解するには十分なものだった。「チッ…暴れたせいで回りやがった…」悪態をつく元気はあるらしい。そのまま抱き抱えて撤退しようとするも、ぐっと体を手で押し返される。薬を盛られた身体はそれだけで十分辛いはずなのに、しっかりと立ち上がった若頭は声を張り上げる。「交渉は決裂だぁ！野郎共やっちまえ！」―――さながら獅子。その声に鼓舞された者共は雄叫びを上げながら突っ込んでいった。「風紀の野郎…こんな所まで邪魔しやがって…っ」部下たちが入っていくのを見届けた後ぼそりと何か呟いて、組を背負うにはまだ細く頼りない身体が糸が切れたように倒れ込んでくる。「若…っ！」慌てて受け止め覗きこめば、ふっと苦笑して俺の頬に手を伸ばす。「ばか、んな顔すんな。心配要らねぇよ」「あんたはまたこんな無茶を！」「ははっ…だがこのままじゃダメなのは事実だろ？」目を細めて笑うその人の言葉を否定することは出来ない。生きるか死ぬかのこの世界。確かに安易な言葉を告げることは出来ない。けれど、この人が少し生き急ぎすぎてる気がするのはきっと俺だけじゃないだろう。しかし今はそんなことを考えている場合ではない。「…っは、ま、とりあえず…頼むぜ…？」我慢できない、という風に目尻を朱に染め、腰を擦り付けてくる未来の組長を抱き上げる。「ったく、自業自得だ…優しくはしませんよ？」耳元でそう囁けば、ふるりと期待に震える正直な体。「…望むところだ」

※連投を繋げたものです

◎ 2012/09/22 (22:23) その他