アルコールA※/京流
「ぅ…ッう"ァ…!!」
腰を浮かせて、動こうとすると激痛。
でも、このままだと京さんを気持ち良くねぇし。
上で動く事とかした事ねぇから、動き方がわかんねぇ。
おずおずと腰を動かすと、切れてるらしい結合部からは濡れた音。
と、痛み。
男を受け入れる器官じゃねぇソコは、何度も京さんとしたけど全然慣れない。
痛いだけ。
慣らし無しだから、尚更。
でも相手は京さんだから。
京さんの腹筋に手を付いて、腰を前後に動かす。
断続的に締め付ける自分の秘部がリアルに感じられて、眉を寄せて出るのは喘ぎとは程遠い声。
「チッ。何やねんお前。満足に騎乗位も出来んのか。役立たずが。女の方がよっぽどえぇわ」
「……ッ」
京さんの言葉に、更に涙が出て来てしまう。
泣いたってどうしようも無い。
京さんの怒りを買うだけなのに。
一切動く気が無い京さんの上で、無様に腰を揺らす俺。
いつもは京さんが乱暴に俺を抱くだけだから、こんな風に自分が動くって事に戸惑う。
何なんだろ。
これセックス?
自分の立場が惨めで虚しくて、京さんが見つめる中、出入りを繰り返すその行為。
「上に乗らしたっとんのに何しとんねん」
「あ"ッ、ごめ…っなさぁ…!」
「早よ動けや。萎えるで」
「や、ゃだ…ッ」
「どいつもこいつも…イライラさせんな!!」
「あ"ァあぁ…ッ!!」
上に乗った体勢から、業を煮やした京さんはそのままソファの前のガラステーブルへと俺の身体を押し倒す。
テーブルの上の灰皿とか、薬とか、当たって音を立てて下に落ちてる気がした。
あー…もう。
何で俺はこうなんだろ。
金渡して、男だから生中出ししても妊娠はしねぇし多少殴っても蹴っても、丈夫な身体。
京さんにとって、便利な俺でありたいのに、実際京さんを怒らせて…どうしようも無い。
ガラステーブルが軋む音を響かせる中、足を広げられ京さんにむちゃくちゃに突き上げられて痛みと圧迫感に押し潰されそう。
「ッあ"、ぁあ、きょ、さ…!きょ…ッ」
「は…っ」
涙で滲む視界には京さんの顔。
近くて、遠い。
手が伸ばせない。
振り払われる事が、怖くて。
暫らく中を擦り上げられる中、動くスピードが早くなり、最奥に熱を出されたのを感じた。
俺の身体で、イってくれた事に安心感。
逆に笑える。
京さんの荒い息が聞こえて、中から引き抜かれる。
まだ入ってる感覚がして、ジンジンと痛い。
テーブルの上で、暫らくボーッとしておきたかったけど、そうもいかない。
痛む身体に鞭打って、身体を起こす。
「京、さん…」
声をかけてみても反応が無く取り敢えずテーブルの下に落ちた灰皿と灰を拾う。
下半身は何も着てなくて、そんな状態で、何やってんだ、俺。
「…水」
「え?あ、はい。ちょっと待って下さい」
京さんの呟かれた言葉に、急いで下着を穿くとキッチンへ行きグラスに水を注ぐ。
京さんに渡すと、テーブルの上と下に散らばった薬を手に取りプチプチ何錠か取り出す。
酒入ってる時に、飲んで大丈夫なんだろうか。
酒に飲まれる程、薬に頼らなきゃいけない程、何があったの、京さん。
「京さん…」
「……なん、もう帰れば」
「…すみません。帰ります」
「………ほんま、アホやん」
「……」
自嘲気味。
そんな言葉が似合う程、擦れた声。
服を着て、荷物を持って部屋を後にする頃は京さんは寝室へ。
後どのくらい通えば、その弱さの原因を教えてくれますか。
京さんの痛みを全部受け入れる器になりたい。
知れば知る程。
惹かれて行く貴方への感情は、ただの蜜の範囲を越えて。
京さんの心をそこまで乱す、わからない原因に嫉妬した。
終
20090120
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