意見不一致/京流




今日はオフの日。
るきは仕事で家におらんし、家で仕事なんかした無いし、恒例のDVD鑑賞。
暫らく見てへんかったから溜まっとるし。

あぁ、何や1人でこうするん久々かもしれん。








「ただいまー」

DVDに没頭していた数時間後。
ガチャガチャと鍵を開ける音と何やスーパーの袋が擦れる音を響かせて心底明るい顔でアホが帰って来た。


「京さん、ただいま」
「ん」
「あれ、昼飯食って無いんですか?」
「あぁ…」

DVDに夢中で忘れとった。
そう言えば書き置きに『チンして食べて下さい』とか書いとった気ぃする。

テレビから目線を外さず答えとったけど、飯の事考えたら何や腹減って来た。
DVDもおもろなかったし、えぇわ、もう。

DVDを停止して、キッチンへ向かうとるきがテーブルの上に買ったモン並べとる。


「…なん?強力粉?」
「あ、はい」
「こんなモン何するん。必要無いやん」
「いやちょっと献立考えるのにネットとか見てたら、手作り餃子とか言うのあって」
「……」
「作ってみたいなー、なんて」
「お前に出来んのか」
「やってみなけりゃわかりませんよ!」


ふーん。
ってか、献立考えるんにネット見るとか、お前はどこぞの主婦か!
アホらし。

よう見りゃ挽肉とか白菜とか、そんなんようけ買って来とる。
餃子とか作らんでも買えばえぇやん。
その方がよっぽど経済的やで。


「餃子の皮から作るんで…」
「は?皮から?」
「はい、だから美味しいの出来ると思うんすよ。待ってて下さいね!」
「はぁ…」


皮からとか…作れるんかお前ホンマに。
ってか時間かかりそうやし、今腹減っとるしで昼飯用にるきが作っとった炒飯の皿を手に取りレンジん中に入れて温める。


「京さん!?今から食べるんですか!?」
「うん、腹減ったし」
「晩ご飯食べれなくなりますよ」
「ガキちゃうわ。うっさい」
「手作り餃子なんですから、晩ご飯もちゃんと食べて下さいね!」
「美味かったらな」


何かまだるきがブツブツ言うとるけど、何かレンジがチンって鳴ったし皿取り出してスプーン持ってリビングへ。
映画つまらんから、ニュースでいいわ。
ぼーっとテレビ見ながら炒飯食っとると、キッチンでは何かるきが一生懸命作る音が聞こえて来た。

今、18時過ぎ。
いつんなったら出来るんやろなぁ…何か時々「アレ?」って聞こえるんやけど。
食えるモン作れよホンマに。


昼飯用の炒飯を食べ終えて暫らくテレビ見とったけど、それも飽きたからソファに座ったまま振り返ると、何や真剣な顔して餃子の具を包むるきが見えた。
取り敢えず観察。
何やホンマえらい真剣なんやけど…お前、物事一途に没頭しすぎやろ。
なして料理作るんそんな顔なん。
餃子やろ。
やっぱ買った方が早いやん。


でも、そんなるきを観察するんがおもろくて、じっと見つめる。

あ、失敗したんや。
顔歪んだ。
舌打ちかいお前。
その癖は直した方がえぇで。

まぁ僕も人の事は言えんけど。


…ってか。
るき見ながら笑う僕とかキモい事に気ぃついて、観察終わり。
何がおもろいねん。











「京さん!ご飯出来ました!」
「遅…」
「皮がちょっと難しくて分厚くなっちゃいましたけど、美味しいですよ餃子!」
「ふーん」


るきが飯出来た言うたんは21時過ぎ。
手作りなんかするからやろ。
まぁ炒飯食ったから、そんな腹減っとるってワケちゃうけど。

呼ばれてテーブルに向かえば、大皿に盛られた不恰好な餃子。
…の、山盛り。
何、この餃子の山…明らかに作り過ぎやろ。
誰がこんな食うねん。

それと豆腐とワカメの味噌汁と、白米。
うん。


「…るき、おかずは?」
「は?餃子あるじゃ無いですか」
「…はァ?餃子はオマケやろ!主食無いやん!」
「餃子が主食ですよ!!」
「何でやねん!ほならお前ラーメン屋行った時にラーメン食わず餃子メインで食うんか!」
「ラーメン屋行ったらラーメン食べますよ!ってか餃子こんなにあるんだから他のいらねっす!」
「お前が作り過ぎただけやろ」


あー…何やねんここに来て育った環境の違いかコラ。
餃子は主食ちゃうやろ。


「……じゃー何か作ります」
「もうえぇ。疲れた。食う」


言い合いしとんアホらしくなった。
餃子で言い合いて。

『疲れた』って台詞に釈然とせぇへん顔のるきが、黙って食べ始める。
拗ねんなめんどい奴やな。


るきが最初っから作った不細工な餃子を食ってみると皮はもちもちしとって意外と美味かった。


「…京さん、美味しいですか?」
「普通」
…に、美味いけど。

伺う様に聞いて来るるきに答えて、無言で食っていく。

美味かったから、皿に盛っとるアホみたいな量をほぼ食ったら、同じくアホみたいなるきは嬉しそうやったん。

アホやなぁ。

僕も。

食い過ぎた。
暫らく餃子いらんで。




20090110

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