あわあわA※/敏京




「おー、すっげ広いね、京君!」
「そやなぁ」


敏弥がイイって言うた部屋が空いとって、そこ選んで入ったけど確かに広いし綺麗。
ムード作りか知らんけど、室内薄暗くて照明ピンクやねんけど。
ピンクて(笑)

アカン。
何か楽しみになって来た。
ラブホに入ったって、事柄だけで『これからヤリます』発言しとんやから、無意識にでもソッチの事考えるし、いつもと違う感じが、イイ。


「京君ー風呂広いよーお湯溜めるね!」
「おー」


それ以上に何かテンション上がっとるアホ1人。
もとい敏弥。
何か…ラブホ行きたいからってこんなトコ調べ上げて来る行動力と思考回路が凄いな。

1人そう考えながら、一番ピンクの照明に照らされたクイーンサイズのベッドに腰掛ける。
帽子とサングラス、マフラーを外してベッドサイドに置くと、風呂場で湯を溜めとった敏弥が来た。


「ねぇ此処、いい所でしょ」
「あー…まぁな」
「京君と2人で来たかったんだー」
「ふーん」


嬉しそうに話す敏弥の顔を見よったら、視線に気付いた敏弥が笑った。
そのまま近づいて来たと思ったら自然に重なる唇。
目ぇ開けたまま、間近のぼやけた顔を見つめて角度を変えながら何度も軽いキスを繰り返す。


「…京君、目閉じてよ」
「やって…見ときたいねん」
「ダメ」
「んッ」


ゆっくりとベッドに押し倒されると同時に、目を手で塞がれる。
真っ暗な視界の中、身体に伸し掛かる敏弥の重みと、唇をゆっくりと這う敏弥の舌。

目ぇ塞がれとるってだけで、ゾクゾクする。

敏弥の舌を受け入れる様に口を開け、滑り込んで来たソレに吸い付く。
身体に腕を回して、足と足を絡めて、そうすればお互いのテンションも上がって。
口内を貪る。
僕の目を隠しとった手は髪を撫でて来て。


「ッは…とし…!」
「ん…っ」


息が出来ん程のキスでお互い酸素を求めて口を開くくど、お互いの唇で塞がれる。
頭ん中がふわふわして来る、そんなキスが好き。


「ん…」


音を立てて唇が離れた時は、2何共が息上がっとって。
目を細めて笑う敏弥の顔が間近で、手を伸ばして頬を撫でる。
好きやねん、この笑った顔。
絶対言うたらんけど。


「京君、風呂入ろ」
「ん、別にえぇやん」
今したい。
「ダメ。一緒に入ろ?」
「んー…」
「ね?」

そう言えばコイツ、風呂が目的やったっけ。

ぼーっとした頭で考えとると、敏弥の手が僕の服を脱がして行く。


「えぇし。自分で脱ぐ」
「やだ」
「…我儘言うなや」
「脱がしたいのー」
「んッ」


ちょっと思考回路巡らすんがめんどくなって来たから、敏弥の好きにさせる。
僕の服を脱がせながら、首筋や鎖骨にキスして来る感覚が気持ちえぇ。


「イイ子だね。京君」
「とし…」
「立てる?」
「ん」


敏弥が服脱ぐんを見つめて、2人して全裸んなると風呂場へ向かう。

湯も溜まっとって、湯気で室内はあったかい。


「ホンマ広いなぁ」
「ね!ちょっと待ってね〜」
「何するん?」
「ん?泡風呂」


敏弥は何か入浴剤みたいな袋を湯ん中に入れて、ボタンを押す。
そうするとジャグジーが動いて、音と共に白い泡が作られて行く。


「すっごいなぁ…めっちゃ泡やん!!」
「家ではコレ出来無いんだよね」
「うわー、初めて見たんやけど!早よ入ろうやぁ」
「身体流してからね」


何か一気にテンション上がったんやけど。
泡風呂初めてやし、楽しみや。

シャワーで適当に身体を洗い流して、結構な泡の量になった広い泡風呂ん中に入る。
図体のデカい敏弥と2人で入っても十分余裕のある風呂は、確かに自宅の風呂では無理やしむっちゃリラックス出来る。


「これ凄いやん。泡ばっかやで」
「楽しそうでよかったよ」
「うりゃッ」
「うわ、何すんのさ京君!」
「ははッ、敏弥が泡まみれや〜」


泡が表面に浮いたままの湯を、敏弥に向かって引っ掛けると頭とかに泡がついた。
何か笑える。
こんなおもろいモンがあるんやったら、たまにはラブホもえぇなぁ。






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