あわあわ@※/敏京




「京君、ラブホ行こ」
「はァ?嫌じゃボケ死ね1人で行け」
「1人で行ったって意味ねぇし!俺は京君と行きたいの!」
「嫌や」
「行こうよー。新しく超綺麗なラブホ出来たんだよ!男同士でも入れるんだよ!京君と一緒にデカい風呂入りたい!!」
「家の風呂1人で入っとけ」
「やだよ。京君とデカい風呂入るの!」
「ウッザ…」


ちょぉマジでコイツ何なん。
僕んち来たら開口一番これやで。
なしてわざわざラブホ行かなアカンの。
家でえぇやん…寧ろ真っ昼間なんですけどね、敏弥さん。

外出るん怠いし、やたらテンション高い敏弥にうんざりして溜め息を吐いてゲーム再開。
無視や無視。


「京君ー」
「……」
「ねぇ京君行こうよー」
「……」
「………」


無視しとったら敏弥も黙って、諦めたんやろかってチラッと横目で見る。
…と、敏弥の顔が間近にあったんにビビった。

何やねん。
顔、近い。


「ラブホ、行こ?」
「嫌しつこいウザい」
「…行ってくんねぇと、こうするよー?」
「はァ?」
「えい」
「ちょ、としッ─────あははははっ、ひゃッ、ちょぉっ、やめぇやぁ!!」
「やめなーい」
「ははははッ、ちょ、も、苦し…あはっ」


敏弥が思い切り擽って来やがった…!!
めっちゃ擽ったぁて、コントローラーを思い切り握り締めて床に倒れた身体を捩らせたけど逃げられへん。

ムカつく…!!
けど擽ったい。
疲れた笑いすぎて苦しい…!!


「ねぇ京君、ラブホ行くよね?」
「行く行くッ、は、行くからやめろやぁッ!!」
「よっしゃ!」
「ッは…はー…は…お前…マジでムカつく!」


やっとで擽り地獄から解放されて、荒く息を吐きながらも敏弥を睨み付け、持っていたコントローラーを投げ付ける。
も、ゲームの途中やったから終わってもうとるし…マジムカつくアホ敏弥。


「痛っ、いいじゃん行きたいんだもん。京君も気に入るって」
「はぁ…」
「ってか京君涙目で息荒くて超ーエロい」
「……」


もうコイツ…ほんま頭痛い…何でこんなんなん。
自分でこんなんと付き合っとん感心するわ。

敏弥の言葉に呆れて身体起こすんもめんどくて冷めた目で見つめとっても、頭ん中はラブホでいっぱいのアホは、僕の視線なんて気にせんと自分に当たったコントローラーを片付けとる。
いや、何か…おめでたい頭やな。


「京君、早く準備して」
「…チッ」
「舌打ちしないのー行くって言ったじゃん」
「はいはい」
「楽しみだなー」


ってか。
ラブホって…いくら男同士で入れる言うても、入るトコ見られるんとか気まずいやん…。
あぁー…嫌やなぁ…。

準備をしながらチラリと敏弥を見ると、キラッキラした目で僕が服着替えるん見よったから仕方無いって諦める。
何やねん。
その期待した目!
行く言うてしもたんは仕方無いから、腹決めて行こか。

取り敢えず、帽子被ってサングラスかけてマフラーしとったら…いけるかなぁ…。


「京君準備出来た?」
「ん」
「じゃ、行こ」
「……」


えらい嬉しそうやな敏弥。
まぁ…ラブホ初めてってワケや無いんはお互いやけど、敏弥と2人ではラブホ行った事無い気ぃする。

まぁ…敏弥が喜ぶならえぇかって思う僕も末期や。
何やねんソレ。
キモい自分。


「何かねーその新しいラブホ、ジャグジー風呂とかあるらしいよ」
「…よう知っとるやんお前」
「そりゃ京君と行く為なら調べまくるよ」
「あっそ」
「家の風呂2人で入ると狭いじゃん?広い風呂で京君とマッタリしたいなーって」
「…どうせヤるんやろ」
「当然」


別に狭い風呂でもえぇやん。
何で?って聞かれるん嫌やから言わんけど。


「あ、京君あそこだよー」
「……趣味悪…」

何なんアレ。
外観めっちゃ悪趣味やん。
まぁラブホあんなモンっちゃー、あんなモンやけど。


「ラブホだもん。行くよ」
「はぁ…」


うきうきしとる敏弥とは対照的に、憂鬱な僕の手を引いて入り口を通り過ぎる。
周りに誰もおらんくてよかった。






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