蜜の蜜@※/京流




50万〜200万。
俺が京さんに会う度に渡す金額。

明日。
来いって言われた。
毎回毎回、虐待と言える様な扱いを受ける為に会って、金を渡す。

自分が望んだ事。

それでも自分のする事に嫌悪感。
でも止められ無い。


自分の部屋。
携帯を握って京さんからの呼び出しメールを見つめる。
時間と場所の指定。
それしか書いて無いメールでも俺にはとても大切なモンで。


俺は金を準備する為に、呼び出す。


グループA
高額蜜の女


京さんの貢ぎになる為に、貢ぎの女を呼び出すって笑える。
俺も同類だから。

悪いなんて思わない。
だってソレをする事で京さんと繋がれる。
寧ろよかったとさえ思う。
自分のこのステータスが。



「…遅ぇし」


チャイムが鳴り、扉を開けると呼び出した女。
化粧も、髪型も、服装も、全て俺好み。
でも今はそんな全てが無意味で、俺の全ては京さんだけ。


さっさと終わらせたい。
そんな思いしか、今は無い。

凄ぇ饒舌に喋るグロスに濡れた唇も、声も、姿も、何もかもあの人とか違うのに思うのはあの人の事ばかり。
何でこうなったのか、なんて考えんのも面倒臭ぇ。

好きになってしまったから。
ただ、それだけ。


あんまり女が煩いから、唇を塞いだ。
特有の鼻にかかった声。
背中に回る細い腕。
押し倒す柔らかな身体。


前までは、それが普通。
でも今は違和感しか感じ無い。

男として終わってんな、と思いながら京さんの事を考えて、女を抱く。
服は脱がずに。
脱げないって言った方が正しいけど。
無数の痣。
京さんに殴られて出来た跡。
それさえも、愛しい。

それをされるのは俺だから…って思っていいですか、京さん。


女の喘ぎ声とベッドの軋む音、肌のぶつかる音が部屋に響く中、考えんのを放棄してただ目の前の快感を追い続けた。















「はい」
「ん、ありがと」


終わってベッドの端に座り、煙草をふかしてると裸の女がカバンから紙袋を手渡して来た。
それは確認するまでも無く、厚みがあって重い。


「んーん、またお金が入るなら呼んでね」
「あぁ」


手渡すと、満足そうに笑う女をチラリと見て、渡された札束の入った封筒を見下ろす。
本当、女は俺に金を渡す事で満足感を得て笑うけれど。
俺は京さんに金を渡して、抱いて貰って女みたいな事をして。
それでも、満足はいかない。

もっと。
もっと深いトコまで行きたい。

簡単にヤれて金を貢いでくれる、便利な後輩。
と言うか貢ぎ。
そのポジションは『俺で無きゃダメ』な物にしたい。


煙草の灰が落ちそうになるのを、女の手が唇から煙草を奪い取るのと同時に携帯が鳴る。
ビクッと反応してディスプレイを見ると、あの人の名前。


『京さん』


「ッ、もしもし」
『おぅ、今すぐ来い』
「え…っ?」
『聞こえんかったんか。今すぐ来い言うとんじゃボケ』
「すいません。わかりました」


プツッ。
返事を待たずに切られた。
呼び出すは明日だったけど、気紛れなのはいつもの事、だけど。
まさか、このタイミングで。



「…悪ィけど、もう帰って。約束出来た」
「え、シャワー…」
「御免、無理。帰って」
「……」


女の脱いだ服を渡し、渋々着替える女を横目に自分も出掛ける準備をする。

シャワー浴びてぇ…。
女の匂いがついてる。
でも時間が無い。
一刻も早く、京さんの所に行かなければならない。

自分のいつもつけてる香水を強めにかける。



「…じゃぁ帰るけど」
「あぁ、御免。また連絡するから」
「ん…」


釈然としない表情のままの女に、宥める様に軽くキスをして帰らせると、中身を確認しないままの封筒から金を出して、今まで用意した金と一緒にカバンの中に入れる。

鏡で身なりを整えて、玄関へと向かう。


本当、馬鹿らしい。

惚れた弱みとか、そんな次元じゃ無い。


急いで、京さんの家へと向かう。






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