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テストとバルス

それからは毎日ローテーションで非番の同い年組、たまに年上組が勉強を見てくれている。テスト勉強に関しては同級生のほうが詳しいだろうという判断だった。

『こちら当真。犬飼が怖い』
「こちら名字。荒船が怖い」
「遠くで話してんじゃねぇぞ」

当真と名前は近くにいると遊ぶという理由で席をめちゃくちゃ、それはもう遠くに離された。辛うじて当真のリーゼント上部がちらちら見えるかどうかなレベルだった。

「村上くんがいい……今ちゃん……私も鈴鳴第一入隊する……」

普段ならば今に当真国近ともどもお世話になっているのだが、今回は別役隊員というかなり成績が残念なお方がいるため、村上と2人がかりでお世話をしているらしく断られてしまった。

「お前なんで応用ができて基礎問題が解けねぇんだよ。どうなってんだ」
「型にはまらないタイプなんで」
「良い風に言うんじゃねぇよ」

サラサラと公式を書く荒船は成績が隊全体として優秀らしく、下級生の面倒を見る必要が無いため指導者として白羽の矢が立ったらしい。ちなみに犬飼も同じ理由である。

「応用が出来んなら基礎はすぐだ。終わったら英語だからな」
「悲しい……悲しみに心がはち切れそう……」
「勝手にはち切れろ」
「荒船バルス」
「犬飼と交代するぞ」
「荒船様お見捨てなさらないで」

犬飼の場合こうして軽口を叩くと「ねぇ、俺名字のために時間割いてるんだけど、それに対してどういう口の利き方してるわけ? ねえ、どういうつもり?」と二宮隊の専売特許であるド正論ですごく質問攻めしてくる。反論を許さない。犬飼マジ怖いマジ無理と名前は心の中で怯えた。

「にしてもこれ、マジでやばいだろ。今回のテストパスできたとしてもお前受験とかどうすんだ?」

荒船が前回の名前の成績を見ながら言う。わりと冗談にならない成績で、荒船は「0点取る奴とか初めて見た」と逆に感心していた。

「ばかやろー。うちには太刀川大先生という学力0から大学に滑り込んだ猛者がいるんだよ」
「いくら太刀川さんでももう少し出来てたと思うぞ」
「うわ、今の告げ口してやるからな」
「おいやめろ」

文句を垂れながら名前が次の問題の解答を見せる。非情にもそれはぺけをつけられた。



___後日。

「荒船先輩みてください。平均30点超えましたよ」
「そうか。平均じゃなく全教科は?」
「……」
「全教科は?」
「……2つほど赤点を」
「バルス」
「目がぁ!目がぁ!!」

取ってしまった赤点の分は、学校側が「毎回平均一桁だったのに……!!」と感動したことにより、脱退は見逃してもらえた。だがトリオン体とはいえ容赦なく目を攻撃してきた荒船先輩はヤクザかなんかだと思った。

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