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荒船隊と文化祭の季節

草木が緑から赤や黄など色とりどりに揺れる美しい季節。食べ物もおいしく、世の中ではスポーツだったり読書にも向いているとされる万能な季節。それが秋。

その秋に行われる学生のお祭りである一大イベントとは何だろうか?

「はい」

スッと穂刈が手を挙げた。

「はい!穂刈隊員!」
「文化祭だな」
「正解!!!!」
「おい」

ピンポンピンポン!とでかい声で名前が穂刈に花の首飾りを渡す。それを見ていた荒船が「何の茶番だ?」と問うと「クイズ番組ごっこ」と名前が返した。

「文化祭だからもうテンション上がっちゃって」
「お前本当好きだなイベント事」
「穂刈似合うよそれ」
「そうか。ありがとう」

名前含む多くのボーダー隊員が通う高校は、もうすぐ文化祭の季節に入る。その季節になると多くのボーダー隊員たちはそわそわするため大人たちは「もうそんな季節か」とここで秋になったことに気付く。

「そりゃテンション上がるよ。あの学校イベント少ないもん」

ボーダー隊員が多いとは、すなわち任務で学校に出られない生徒が多いと言う事だった。学校を離れるイベントができない分、運動会や文化祭などは貴重な学校行事だ。

「穂刈のクラスも執事喫茶とかやってくんない? 村上くんのついでに見に行くから」
「ついでか」
「喫茶店とかお前の得意分野じゃねぇの?」

荒船が普段お菓子だのなんだのを作る名前を想像して言うと、「いや」と名前が否定した。

「それも一瞬考えたけど、負けるから」
「何にだよ」
「とりまるくん」
「烏丸?」

突然出てきた後輩の名前に二人が首を傾げる。ちなみにここは荒船隊の隊室で、加賀美は紙粘土に、半崎は新作ゲームに夢中になっていた。

「あのクラス執事喫茶やるんだって。とりまるくん使って」
「「あ〜……」」

納得したように二人の言葉が重なる。イケメンなうえに普段から喫茶店等でバイトしているスキルを活用する気であることが目に見える。女子生徒からの強い希望により烏丸の所属するクラスは執事喫茶に決まったらしい。

「だから穂刈のクラスもって言ってたのか」
「そうそう。しかも時枝くんまで使うらしい」
「駄目押しじゃねぇか」

嵐山隊で顔の売れている時枝まで使う気でいるという1年B組の本気度に名前はどうしたもんかと悩んだ。

「もうボーダー隊員によるアクション大会でもやろうかと思ってる」
「トリオン体になるのはまずいだろ」
「だから生身で」
「多分それ死ぬぞ、当真が」

名前と同じクラスのボーダー隊員は当真と国近と今だ。国近と今はオペレーターなのでなしとすると、当真は名前とバトり合うことになる。

当真は生身になると体力やパワーはあまりなかった。しかし名前は生身でもあまり変わらないくらいには強いため結果としては当真がボコられるという未来が見えた。

「どうするかなー……荒船のとこは何すんの?」
「うちはそういうイベントには力入れてねぇからな。展示会でもするんじゃないか?」
「でも去年はやってたよな、上映会みたいなの」
「アクション映画上映会だな。俺チョイスの」
「出たな映画馬鹿」

「なんなら今から観るか?」とDVDの棚を親指で指すこの作戦室の隊長に「遠慮します」と穂刈と名前の声が揃った。

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