かくして迷子は家に帰った | ナノ
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▼ ピエロは愉快に笑う

対人型戦が始まる。初っ端は緑川が突っ込むだろう、と任せることにしよう。

「私は私の仕事をしようかね」

早速突っ込んだ緑川と米屋に人型が弾を撃つ。追撃で弾を撃った出水の方向にも遮蔽物なんてお構いなしに全て吹き飛ばす。

「バイパー」

「っ!」

飛ばした弾は勿論ふさがれる。だがガードが遅れたのか一つだけ人型の頬をかすった。まあ、複数いればイーグレットも通さないガードにも穴が出来るという認識をしてもらえれば上出来だろう。

「ナイス囮」

『先輩性格悪いぞー』

「見せ場は年功序列なのよ少年。さ、どう来るかな」

相手の死角に入り状況を待っていると、ゴオオオオという噴射音。

「うそ、飛んだ」

上空高く飛んだ男はこちらに気付いてはいない。だが、男はそんなことお構いなしらしい。

「やばっ」

すぐさま屋根に潜り空から降って来る光から逃げた。落ちてくる光は雨と形容したくもなるが、それには威力が大きすぎた。

大量の弾を撃つためか、先ほど出水に撃った弾のように屋根ごと破壊はされなかった。恐らく多すぎる場合威力は下がるのだろう。そのあたりはこちらのトリガーと同じだ。

緑川が逃げ込んだ建物に突っ込んでいったのを見ると、各個撃破が目的らしい。しかしすぐに両足を失って出てきたのを見ると、返り討ちにあったようだ。

複数同時に相手にするのもダメ。各個撃破もダメ。そろそろか。

「また飛びやがった! 落とせ弾バカコンビ!」

「敬語で言えっての槍バカ」

「“落としてください”だろ」


「「誘導弾!」」

誘導弾が人型を追いかける。誘導弾はあまり速度を出すと追跡できないが、出水たちのは誘導弾で出せるギリギリの速度なのでそこそこに速い。ずっとスピードを出して移動しないと捕まってしまう。常に誘導弾の存在に意識を割かなければならない。

「!!」

狙撃手の射程距離に入った瞬間に人型が撃たれる。胴体部分は避けたようだが、羽のような武器は撃ち抜かれた。


『出水、名字よくやった。今が攻め時だ、バラけて奴の意識を散らせ』

「了解です東さん」

撃った位置から場所が割れてはいけないので、移動しつつ味方と敵の位置を把握する。

『攻撃手配置完了。弾で獲物を追い込んでくれ』

「あいよー」

東たち狙撃手たちと弾で米屋の援護に回る。飛び回る敵にもう一発誘導弾とバイパーで攻撃をするが、わずかに避けられる。ダメージを受けていても、やはりそう簡単に当たってはくれない。だが、それでいい。

動きを止めれば的になり、動きを止めねば攻撃が当たらない。状況を察した敵が目的地となる来馬にかかった。

上で待機していた米屋が人型目がけて飛びおりる。作戦成功、と思われたとき、人型はにいっと出し抜いたといいたげに笑って米屋に振り返った。

「なるほど。こうして敵を呼び込むわけだな。よく理解できたよ」




「…………と、思うじゃん?」 

にいっと出し抜いたといいたげに、槍を持った男が笑った。


(ピエロは愉快に笑う 勝利はピエロの手に)

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