▼ 閑話・三輪隊
※主人公出ません。
大規模侵攻に関する会議が終わった三輪は、自分の作戦室に戻ってきた。
「お、秀次おかえり」
結局空閑とランク戦が出来なかった米屋もまた、作戦室に戻ってきていた。古寺や奈良坂も次いで「お疲れ様です」「お疲れ」と声をかける。
「ああ」
三輪が小さく返事を返す。この間から三輪は思いつめたような表情を見せることが多く、会話もあまり元気が無かった。
古寺が心配したように声を掛けようか迷っていると、米屋が「何それ?」とシリアス顔な三輪を無視して声をかけた。
「……」
「会議の資料か?」
三輪の手元にある紙袋を見て奈良坂も声をかけるが、三輪は少し黙ったのち「いや」と否定した。
「……これは、名字が」
「先輩?」
「名前さん……なるほど」
奈良坂が納得したように少し頷く。紙袋をテーブルに置く三輪は機嫌を悪そうにしていて、奈良坂は押し付けたんだろうな、と何かと三輪を気にかけている彼女を想像した。
「おお! 何これうまそう」
紙袋の中身を勝手に取り出した米屋が中に入っていた料理を見て言う。三輪はもう帰るつもりなのか自分の荷物を取りに行こうとした。
「お前たちで食べろ」
「何言ってんだよ。秀次がもらったんだろ?」
「勝手に押し付けられただけだ」
「またまたぁ。モテるな秀次」
「…………」
「ごめんって」
本気で嫌そうな顔をした三輪に米屋が謝る。三輪の名前嫌いも名前の三輪構いも今に始まったことではない。
しかしさすがに三輪も食べないというのは心苦しいらしく捨てるという選択肢は持っていないようだった。
「秀次そういや最近食ってるとこ見ねぇな。丁度いいし今からこれ食おうぜ」
「…………腹は減っていない」
「……古寺、皿持ってきてくれ」
「わかりました」
「おい、だから」
「はーい秀次は座ってー。蓮さんも呼ぼうぜ」
「ああ」
勝手にセッティングされていく料理たちに三輪は「俺はもう帰る」と訴えたが米屋だけでなく今回は奈良坂も古寺も帰してはくれなかった。ついには「待たせたわね」と颯爽と月見までやって来てしまい、とうとう三輪は帰ると言う選択肢も奪われてしまったのだった。
(お、これうめぇ! 秀次これ食えこれ)
(三輪くん、これも美味しいわよ)
(お茶おかわりいりますか?)
(おい三輪___)
(〜〜好きに食べさせろ!!)
(そうかそうか。そんなに食べたいか秀次)
(三輪くん、次よそうわよ)
(……!!)
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