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気のせいかもしれないハナシ

お昼休みが終わって眠くなる午後の時間。
ふと窓の外を見れば、朝よりもどんよりとしていて今にも雨が降りだしそうな雰囲気だった。
……キヨくん、大丈夫じゃないかも。
ノートを取りつつ、こっそりとメモを書いてチャック付き袋の中に頭痛薬と共に入れた。
帰りのホームルームの時に、それを古森くんに預けたら首をかしげられた。
まぁ、そうなるよね……。
自分より私が本人に渡した方がいいんじゃない?って。


「ほら、天気悪いでしょ?頭痛い気がするってなると思う……低気圧で。だからお守り的なやつで」
「あー……なるほどね。だったら余計に(名前)ちゃん渡した方がいいと思うんだけどなー」
「もし部活中に言い出したら渡してほしいの。気にかけてる人が部活内にもいるんだよってキヨくんが知ってるの大事だと思うから」


苦笑いしながら受け取ってくれた古森くんに別れを告げ、私は帰路へと着く。
道中、見上げた空はやっぱり鈍く曇っていて今にも雨が降りだしそうだった。
こんな空を見たら、低気圧だなんだとキヨくんは気になっちゃうんだろうな。
帰宅した私は一応キヨくんに一言連絡を入れた。
……あまり無理はしないでね、と。
課題を片付けたり、お風呂に入っていたらあっという間に夕飯時になって……食べ終えた私はベッドに寝転がってスマホを触っていたんだけど、何だかリビングが賑やかな気がする。
起き上がって様子を見に行こうとしたら、ガチャリと開いた部屋のドア。
目の前には部屋着をまとったキヨくんの姿があった。


「(名前)ちゃん」
「キヨくん、おかえりなさい!部活もお疲れ様」
「うん。ただいま……あとコレありがと」


私の部屋を訪れたキヨくんは、メモが残ったままのチャック付き袋を手のひらに乗せていた。
中身の頭痛薬も飲まれずにそのまま袋に入っていたけれど。
ゆったりと近付いてきたキヨくんはベッドに腰かけていた私の隣に座ると、ぎゅーっと抱き締めてそのままベッドに倒れ込んだ。
頬に当たるキヨくんの髪の毛がくすぐったい。
顔の横に置かれた手にはいまだに薬を入れた袋が握られている。
スマホと薬だけ持ってきたんだね……。


「(名前)ちゃんの愛を感じた」
「そ、そっか……!」
「俺に直接渡してほしかったけど。でもこのメッセージ嬉しかったからこのまま取っておく」


袋の中にキレイに残っているメモには当たり障りのない事しか書いてなかったのに、どうやらキヨくんは気に入ってくれたらしい。
ちらりとメモを眺めては私に擦り寄って頬に何度も唇を落としている。
効果があったと古森くんからお礼の連絡は届いていたけれど、こんなに効果が出るなんて正直なところ思ってはいなかったからビックリはしている。
思った事をキヨくんに伝えるとどうやら頭が痛い気がするから甘えたい、らしい。


「あったかい」
「キヨくんもあったかいよ」
「ん……(名前)ちゃんの体温は安心する」


体温をさらに求めてか、キヨくんは私の首筋に鼻をくっつけて顔をぐりぐりと押し当ててくる。
薬を握っていた手はいつの間にか背中を撫で回し、足はがっちりと絡んで身動きが取れない。
首筋に当たる熱い息づかいに無意識に掴んでしまったシーツ。
その手を見逃さず、キヨくんはするりと指を間に滑り込ませて握り込んできた。
おでこ同士が合わさって、じーっと見つめられる。
……何で眉間にシワ寄ってるの?


「掴むなら俺の手握って」
「掴める位置にキヨくんの手なかったもん」
「……腕でも背中でも俺の体掴めばいいだろ」


なんかムチャな事を言われてる。
拗ねた私が唇を突き出せば、すかさずキヨくんの唇が噛みつくように降ってきた。
乱暴にキスをしてきたのに、下唇を吸ったりこじ開けてくる舌はどことなく優しい。
それでも足の間にねじ込まれていた膝は不規則に動いて刺激を与えてくる。
膝から与えられている刺激に反応をすれば、にんまりと笑みを浮かべるキヨくんがいた。
あぁ、きっとこのままキヨくんの思い通りになってしまうんだろうな……。



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