×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -




部活でも空いた時間にチームで分かれて話す事も多かったから、サムくんと過ごす時間が圧倒的に増えて……ツムくんの感情が爆発した時もあったけれど、晴天に恵まれた体育祭当日を迎えた。


「(名前)とはチーム分かれてしもたけれど俺の応援頼んだで!」
「自分で敵言うとるやん。味方に頼めや。(名前)はおんなじチームの俺の応援しかせえへんから」
「あっ、と……お互い頑張ろうね!ツムくんの白組には負けないから」


開会式などを終えて、午後に本選をやる個人100m予選ではやっぱり白組からはツムくんがエントリーしていて、他を寄せ付けないスピードで1位通過していた。
もちろん、サムくんも角名くんも予選通過で余裕そうな表情のまま応援席に戻ってきて一緒に競技を見始めた。
障害物競争を見ていたら赤木さんがするすると障害物を抜けていく姿を応援席から動画を録ったりしながら楽しんでいたら、あっという間に二人三脚の競技が回ってきてサムくんと移動する。


「じゃあ結ぶな?」
「うん、お願い」


足元にしゃがんで手拭いを結ぶサムくんに全てお任せをして私はその様子を見ていたんだけれど、立ち上がる前にじーっと私の太ももを見ていたサムくんに声をかけようとしたら、その前にするりと手が太ももに回って顔が近付いた。
……音を立てて吸い付かれて、くっきりと赤く存在を主張するサムくんの……キスマーク。
それを見て一人納得して立ち上がるサムくんの腕を掴んで抗議をするも、肩に回った手が私の体を力強く引き寄せるから、言葉も途中で止まってしまった。


「って……な、に考えてるの〜っ!」
「(名前)んコト。いっつも(名前)んコト考えとる」
「そうじゃなくて……!」
「真っ白で美味そうやったんやからしゃあないやん。真横に(名前)の足あったんやもん。つまみ食いくらいすんやろ」


恥ずかしくても足首が繋がれているから、顔を背けるしか出来なくて……でもサムくんがそんな事で諦めるタイプじゃないから、長い腕が肩を通って私の顔を上に向けさせる。
しばらく見つめ合っていたと思ったら、そのまま体を屈めて近付いてくるサムくんを受け入れるしか私には選択肢はなくて……来る衝撃に備えて目を閉じた。
私たちに気が付いたグラウンドの生徒たちが囃し立てていて、それに気を良くしたサムくんの息が唇に当たる。


「……(名前)、今日は俺といっぱいイチャイチャしよな?」
「サ、ムく……」
「俺の目の前でイチャつくなやサム!」
「うっさいわ。俺と(名前)はもう繋がれて離れられないねんからそこから諦めて見てろや。…………(名前)、顔隠してどうしたん?真っ赤になったかわええ顔、俺に見して?」


応援席から飛んできたツムくんの声と大きな声でやり合っている間にしていた小さな抵抗もサムくんからしたら些細なもので、簡単に手を掴まれて外されてしまう。
手を掴まれたままサムくんの腰に誘導させられて、私が離れるより先に背中に腕が回ったから2人で抱き締め合いながら待機する事になってしまった。
去年も二人三脚はサムくんとやったけれど、その時はこんなにスキンシップはなかったのに。
けれど、よく考えなくても去年とは明らかにサムくんたちとの関係はただの幼馴染みから変わったんだから、今の距離感がサムくんにとっては望んでいた距離感なのかもしれない……。
そう思ったら、隣にいるサムくんを意識しちゃって気持ちとか色んなものが落ち着かなくなった。


「待って……そんなかわええ顔で俺を見んとって。見ててもええけど、今すぐ棄権して人気のないトコまで連れ去りたくなる……だからって他の奴は見たらアカンで」
「あ、うん……なんか、ドキドキしてきちゃって……去年となんか違う、から」
「そらそうやろ。俺と(名前)、心だけやなくて体も繋がったんやから去年とおんなじやと困る」


はっきり言葉にされると、余計にサムくんの事を意識しちゃって緊張する。
このままで本当に去年みたいに息を合わせて上手く走れる?
……ううん。それ以前にちゃんとサムくんに接する事、出来る?
何でこういうタイミングで色んな事を考えちゃったんだろう。
それでも慣れ親しんだサムくんの体温は安心しかなくて、ぎゅっと回していた腕に力を入れてしまった。
それに気が付いたサムくんに「手ぇ貸して」って言われたから片手を目の前に掲げたら、指先を絡め取られてしっかりと握られた。


「せやけど、何も変わらへんよ。今はちょっとドキドキしすぎて(名前)ン中で色んなもんがびっくりしとるだけやんな?俺らが順調に愛を育んどる証拠やから」
「……う、ん」
「これからも俺とゆっくり愛を育んでいこな?せやから俺に身を委ねとったらええよ。ちゃんと受け止めたるから」


目を見て頷けば、絡んでいた指先に唇が落ちてきた後にぎゅっと強く抱き締められて、サムくんと私はスタートラインに並んだ。



|



MAIN | TOP