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今年もまた盛り上がる熱い季節がやってきた……!


「はーい注目!これが体育祭の種目や。運動部の人らはリレー系必須やから頼むで!狙うは優勝それだけや!」


バシッと黒板を叩いて気合いの入った学級委員長の声が教室に響く。
体育委員より気合いの入った学級委員長って……頼もしすぎる。
去年も同じクラスだったから、委員長に任せておけばもう大丈夫でしょ。とか思いながら、黒板をぼんやり見る。
サムくんと角名くんはバレー部のレギュラーだし、花形の種目に出るのはほぼ決まりだろうなぁ……。
目の前にいる角名くんは興味なさそうに頬杖をついて黒板を見ている……あ、もしかしたら寝てるかも。
隣にいるサムくんに顔を向けたら、ずっとこっちを見ていたみたいでバチッと視線が絡んだ。


「!やっと目ぇ合った……(名前)と二人三脚は決まりやな」
「今年もやるんだ……なら頑張ろうね」
「見てみぃ、いいんちょのやる気ヤバいやろ。得点高いとこから人埋めていくと思うで。俺と(名前)、去年1位やったの知っとるし」
「あー……二人三脚、男女混合だから高かったよね」


配られたプリントをパラパラと読んでいく。
紅白のチーム分けは奇数クラスが紅だから3年の先輩だと……5組の尾白さんと7組の北さん大耳さんが一緒だ!
当日、一緒に写真撮りたいなぁ。
少し意識を飛ばしていたら、大きな歓声と拍手が教室内に響き渡った。
選手選出のたびに盛り上がっているクラスの熱気に思わず笑って前を向いたら、今度は委員長と目が合ってニヤリと笑われた。


「選抜の応援合戦も紅組がもろたで!双子は紅白で分かれてもうたけど、こっちには(名前)がおんねん!去年のミスコン覇者や!どうせ今年も連覇すんやろ……文化祭に向けて治とセットでアピールしてこい!ベストカップルも連覇や!行事モンは2年1組が全部かっさらうで〜!」
「……(名前)とセットやって。そんなん当たり前やんな?俺と今年もベストカップル取ろな」


ガタガタと椅子ごと体を寄せてきたサムくんが嬉しそうに私を抱き締めて、頬にちゅーをしてくる。
しかも、何も言ってないのにサムくんと私の名前が二人三脚の欄に書かれていた。クラスが盛り上がったのはこれを見てだったらしい。
あぁ……こんなにサムくんの機嫌良くして、走る系の競技に片っ端から出させるつもりだ。
それに、やっぱり寝ていた角名くんもクラスの声の大きさに起きたみたいで、今はこっちを向いてスマホを触っているけれど、勝手に名前書かれてるよ……。
勝つためなら容赦ないなぁ。


「ねぇ、侑からメッセージ届いたんだけど」
「なんて?」
「治と(名前)を二人三脚に出させるなって言ってるよ。見たくないって。隣まで今の盛り上がり聞こえて来たってさ」
「そうは言われても……」
「俺と(名前)は学校が認めたベストカップルやで?俺らがやらんで誰がやるっちゅうねん。ツム、入り込む隙間がないからって羨ましがってるだけやん。(名前)もそう思うやろ〜」


サムくんは私にもたれ掛かりながらと同意を求めてきた。
目の前にある腕を「そうですね〜」と同意しながら触れれば、強く抱き締められて潰されそうになる。
話している間にも種目の欄はどんどん埋められていっている。
しかも「去年みたいに盛り上げてくれそうだから」の理由だけでサムくんと私は借り物競争に出る事になっているし。
そこは勝ちたいよりも面白さ優先なんだ。


「今年は(名前)があのお題引いて俺んトコ来てな?」
「去年サムくんが引いたやつの事言ってる?」
「俺らにぴったしなやつやったやん。結婚相手にしたい人……今年も入ってたらええな。そしたらまた一緒にゴールインしよな」


頬に添えられた手が私の顔の向きを変えて、かぷりと噛まれるようにちゅーされた。
サムくんのテンションがめっちゃ上がってる。身に纏う空気がそれを物語っている。
……それにしても、よくあのお題の中から引いたよね。
確かにあの時のグラウンドの盛り上がりはすごかったし、いまだに言われる時もあるくらいには皆の記憶に残る出来事だったみたいだけど、だからって盛り上がりそうなお題を今年もまた引けるかなぁ?
人を借りてくるお題は難しい分、クリアしたら配点も高いしチームに貢献出来るのは分かるんだけど……。
私がサムくんとゴール出来るお題を引く事はサムくんの中で決まっているんだね。


「体育祭、楽しみやな」
「うん!頑張ろうね」



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